生命保険の論文解釈について
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生命保険の論文解釈についてご教示ください
有斐閣発行の「生命保険新実務講座 7 法律」に以下のような論文があり、保険事故(死亡)が発生した場合の論文か否かでモメもめています。特に生命保険に詳しい弁護士様、ご教示よろしくお願いいたします。
「第9章 保険募集の取締に関する法律 3.2.4 告知義務違反を勧める行為の禁止(16条1項2号・3号)」
加入者が損害を被るというのはどのような意味においてであろうか。正当に告知すれば謝絶体(元来加入できなかったような健康状態)に該当していたはずであったとすれば、保険契約が解除されても損害となるのは支払った保険料相当額であろう。一方、正当に告知すれば標準下体(保険料割増等の条件をつければ加入が認められる健康状態)に該当したはずであったとすれば、保険契約が解除された場合、解除されなければ支払われたはずの保険金相当額が損害となる。この損害に関する理解が正しいとすれば、後述の所属保険会社の責任にも関連する。
※後述論文↓
生命保険役職員等が故意または過失によって加入者に損害を被らせた場合には、加入者に対して不法行為をなした者として損害を賠償する責任を負う。例えば、3.2.4で論じた、募集人の告知妨害による告知義務違反がなかったならば割増保険料方式の標準下体として成立したはずであった、という事例で考えれば、保険金から割増保険料累計額を控除した額が賠償すべき金額である。
以上の論文が、「契約を不当に解除しても事故が発生していなければ保険金が支払われるはずがないから、『保険事故(死亡)が発生している場合の論文である。』」という意見と「存在すべき契約を不当に解除してしまった場合は契約に基ずく保険金相当額が損害になると論じているから、『保険事故が発生していない場合の論文である。』」という二つの意見に分かれています。どうか論文の解釈よろしくお願いいたします。