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「バイトがあるから、修習に専念できない」司法修習生の「給費制」復活求め集会
給費制復活を訴える「ビギナーズネット」のメンバーは、そろいの水色のTシャツに身を包んでいた

「バイトがあるから、修習に専念できない」司法修習生の「給費制」復活求め集会

日本弁護士連合会は6月3日、司法試験の合格者が、「無給・原則バイト禁止」の状態で司法修習を受けなければならない問題について、東京・永田町で国会議員との意見交換会を開いた。会場には、法曹関係者など400人が集まり、国が給与を支払う給費制の復活を訴えた。

司法試験の合格者は、合格後すぐに弁護士・検事・裁判官の「法曹」になれるわけではなく、1年間、実地研修である「司法修習」を受ける必要がある。

かつては、修習中に国が給与を支払う「給費制」がとられていたが、2011年の合格者から、国からお金を借りる「貸与制」に移行した。しかし、「修習に専念する義務」があるとして、アルバイトが原則として禁止されている。

●「5時になったらすぐに帰る修習生が増えている」

集会では、国からお金を借りて司法修習を受けた中禮啓文(ちゅうれい)弁護士が「借金を作ることを懸念して、(例外的に)裁判所の許可をもらって、アルバイトをする人がいる。アルバイトに時間をとられて、充実した修習が送れないという現状がある」と訴えた。

また、貸与制は修習生のモチベーションにも影響を与えていると主張した。

「給与がもらえないということで、修習に身が入らず、『適当にこなせばいい』という修習生が増えているように感じる。『アルバイトがあるから』『残業しても無駄だから』と、午後5時になったらすぐに帰る人もいた。修習の講義中に、司法試験予備校の答案添削をしている人もいた」

修習を終えて弁護士になった後も、「貸与制」を利用して国から借りたお金は、弁護士活動に影響を与えるケースもあるという。

「借金の返済のことばかりが頭にあって、経済的な利益にばかり目を奪われる弁護士が増えているように感じる。

中には、『自白事件の国選弁護で、下手に示談でまとめて不起訴に終わらせるより、起訴させて裁判をしたほうがより多くの報酬がもらえる』と発言をする弁護士もいた。弁護士としての品格を疑う発言だ。そうした弁護士によって、不利益を受けるのは国民だ」

会場に集まった国会議員からは「充実した修習生活を送れるよう、給費制をぜひ復活させたい」などの声があがっていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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