「まおゆう魔王勇者」「ログ・ホライズン」など、アニメ化もされた若者向けライトノベルの著者と、著者が社長をつとめる著作権の管理会社が、約1億2000万円の所得を隠していたとして、法人税法違反の疑いで東京国税局から告発された。
報道によると、告発を受けたのは、著作権管理会社「m2ladeJAM(まーまれーどじゃむ)」と、「橙乃ままれ」のペンネームで活動する梅津大輔社長。作品の単行本化などで、2014年までの3年間で約1億2000万円の著作権使用料を得たが、申告せずに法人税約3000万円を免れた疑い。当初は無申告で、指摘を受けて申告したが、所得のうち約1億円は会社名義の口座に預金されていたという。
2ちゃんねるへの投稿が話題となり、出版・アニメ化された作品「まおゆう魔王勇者」では、登場人物が税の仕組みについて語るシーンもあっただけに、ネットでは「やっちまった」といった反応が出ていた。
一般的に「所得を申告しなかったときのペナルティ」は、どのようなものがあるのだろうか。阿久根寛宜税理士に聞いた。
●3種類のペナルティとは?
「3年間、法人税の申告をしていなかったということであれば、きちんと申告・納付をした場合と比べ、次のようなペナルティが課される可能性があります」
阿久根税理士はこのように語る。どんなペナルティだろうか?
(1)無申告加算税
「申告期限までに所得を申告しないと、『無申告加算税』が課されます。
もともと納めるべき税金のほかに、本来納付すべきだった額の約20%が加算されます。(※納付額が50万円までは15%)
仮に本来の納付額が3000万円だとすれば、プラスで約600万円支払う計算になります。
なお、期限後でも、国税庁から指摘を受ける前に自主的に申告していれば、5%で済みます」
(2)重加算税
「所得が発生した事実を隠蔽したり、架空の経費を作り上げるなど、悪質な場合には、もっと重いペナルティである『重加算税』が課されます。
その場合は、(1)の無申告加算税の代わりに本来納付額の40%が課されます。
もし納付額が3000万円だとしたら、重加算税は1200万円になります」
(3)延滞税
「延滞税は実際に税金を納めるまでの利息のようなものです。細かなルールは色々とありますが、およそ年率約9%程度の延滞税が課されます」
●ペナルティは800万円~1500万円にも?
それでは、仮に3年間で3000万円の所得を申告していなかったとしたら、どれぐらいのペナルティになるのだろうか?
「年ごとの納付額や、重加算税が課されるケースだったかどうかによっても変わりますが、結果的に800万円〜1500万円ほど、本来の納付額にプラスして支払いをすることになるでしょう。
今回のケースでは、法人化されていたのに税理士をつけていなかったのか疑問ではありますが、きちんと申告・納税をしないと、結局自分が大きな損をすることになります」
【取材協力税理士】
阿久根 寛宜(あくね・ひろのり)税理士
税理士事務所所長。理系出身の税理士でIT、会計に強みをもつ。経営者のよき理解者、会社のペースメーカーとなることをモットーに質の良い税務会計サービスを提供している。ITを用いた経理の合理化、開業支援業務を得意とし、シンプルかつパワフルな会社経営となるよう丁寧で親身な指導を行う。
事務所名 : 阿久根寛宜税理士事務所
事務所URL:http://akune-tax.com/