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児童ポルノ禁止法改正案 法案要綱(全文)
衆議院のウェブページには法案の審議経過についての情報が掲載されている

児童ポルノ禁止法改正案 法案要綱(全文)

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衆議院本会議で6月5日に可決された「児童ポルノ禁止法」改正案の要綱は、以下の通り。この法案が参議院で可決・成立すると、児童ポルノの「単純所持」にも、罰則が科されることになる。

●児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案要綱

第一 題名及び目的規定の改正

 一 法律の題名を「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」に改めること。(題名関係)

 二 目的規定中「児童買春、児童ポルノに係る行為等を処罰する」を「児童買春、児童ポルノに係る行為等を規制し、及びこれらの行為等を処罰する」に改めること。(第一条関係)

第二 目次及び章区分の新設

  章区分を新設して四章建てとし、第一章の章名を「総則」とするとともにその範囲を第一条から第三条の二までとし、第二章の章名を「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰等」とするとともにその範囲を第四条から第十四条までとし、第三章の章名を「心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置」とするとともにその範囲を第十五条から第十六条の二までとし、第四章の章名を「雑則」とするともにその範囲を第十六条の三及び第十七条すること。

(目次及び章区分関係)

第三 いわゆる三号ポルノの定義の明確化

  いわゆる三号ポルノの定義を「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀(でん)部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」に改めること。(第二条第三項第三号関係)

第四 適用上の注意規定の明確化

  この法律の適用に当たっては、学術研究、文化芸術活動、報道等に関する国民の権利及び自由を不当に侵害しないように留意し、児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護するとの本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならないものとすること。(第三条関係)

第五 児童買春、児童ポルノの所持その他児童に対する性的搾取及び性的虐待に係る行為の禁止

  何人も、児童買春をし、又はみだりに児童ポルノを所持し、若しくはこれに係る電磁的記録を保管することその他児童に対する性的搾取又は性的虐待に係る行為をしてはならないものとすること。(第三条の二関係)

第六 自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノ所持等についての罰則

 一 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処するものとすること。同様の目的で、これに係る電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とすること。(第七条第一項関係)

 二 一に係る国民の国外犯は、これを処罰するものとすること。(第十条関係)

第七 盗撮による児童ポルノ製造罪の新設

  現行の提供目的製造罪及び「児童に姿態をとらせ」製造罪に加えて、ひそかに児童ポルノに係る児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処するものとすること。(第七条第五項関係)

第八 心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する制度の充実及び強化

 一 心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置を講ずる主体及び責任の明確化

   心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置を講ずる主体として、厚生労働省、法務省、都道府県警察、児童相談所及び福祉事務所を例示し、措置を講ずる主体及び責任を明確化すること。(第十五条関係)

 二 心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の検証等

  1 社会保障審議会及び犯罪被害者等施策推進会議は、相互に連携して、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の実施状況等について、当該児童の保護に関する専門的な知識経験を有する者の知見を活用しつつ、定期的に検証及び評価を行うものとすること。(第十六条の二第一項関係)

  2 社会保障審議会又は犯罪被害者等施策推進会議の厚生労働大臣又は関係行政機関に対する意見具申及び当該意見具申があった場合の厚生労働大臣又は関係行政機関が講ずる措置に関する規定を置くこと。(第十六条の二第二項及び第三項関係)

第九 インターネットの利用に係る事業者の努力

  インターネットを利用した不特定の者に対する情報の発信又はその閲覧等のために必要な電気通信役務を提供する事業者は、児童ポルノの所持、提供等の行為による被害がインターネットを通じて容易に拡大し、これにより一旦国内外に児童ポルノが拡散した場合においてはその廃棄、削除等による児童の権利回復は著しく困難になることに鑑み、捜査機関への協力、その管理権限に基づき児童ポルノに係る情報の送信を防止する措置その他インターネットを利用したこれらの行為の防止に資するための措置を講ずるよう努めるものとすること。(第十六条の三関係)

第十 附則

 一 施行期日等

  1 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行すること。(附則第一条第一項関係)

  2 第六の一(自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノ所持等についての罰則)は、この法律の施行の日から一年間は、適用しないものとすること。(附則第一条第二項関係)

 二 検討

  1 政府は、インターネットによる児童ポルノに係る情報の閲覧の制限に関する技術の開発の促進について、十分な配慮をするものとすること。(附則第三条第一項関係)

  2 インターネットによる児童ポルノに係る情報の閲覧の制限については、この法律の施行後三年を目途として、1の技術の開発の状況等を勘案しつつ検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとすること。(附則第三条第二項関係)

 三 その他

   この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるとともに、所要の規定の整備を行うこと。

(弁護士ドットコムニュース)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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