今年もバレンタインの季節がやってきた。デパートの特設コーナーには華やかなチョコレートが並び、それを求める女性たちで賑わっている。選ぶのも一苦労だが、あえて“変わり種のチョコ”に挑戦、という人もいるかもしれない。
変わり種チョコといえば、中にお酒が入っているものもある。「お酒チョコ」の特集をしている通販サイトもあり、ブランデーやウイスキーの液体を封じ込めたチョコのほか、焼酎を練り込んだ生チョコ、なんていうのも紹介されている。
香りで人気の「お酒チョコ」だが、アルコール分が含まれており、アルコールに弱い方は注意……と書いてある商品もある。もし、法律で飲酒を禁じられている未成年に、お酒チョコを贈ったら問題とされてしまうのだろうか? 小野智彦弁護士に聞いた。
●「未成年者飲酒禁止法」違反にはならない
「未成年と飲酒に関する法律といえば、まずは『未成年者飲酒禁止法』が思い浮かびますね。
ただ、この法律で処罰されるのは、親権者や代理監督者が未成年者の飲酒行為を制止しなかった場合、あるいは、業務として酒類を販売・供与する営業者が、未成年者が飲むことを知りながら酒類を販売、供与する場合です。
異性の友人にチョコレートを贈るというケースは、いずれにも該当しません」
ということは、この法律には違反しない?
「あえていえば、酒屋の親が息子に『お酒チョコ』を贈るとした場合にはどうか、ということになりますが、この法律で禁じられているのは、飲用の酒類ですので、チョコレートはこれに含まれないと考えられます。
結論としては、いずれにせよこの法律に抵触することはない、ということになります」
●少量をプレゼントする分には「問題ない」
問題となるような場面を、あえて考えるとしたら?
「たとえば、未成年者がお酒チョコを大量に食べて、体内にアルコールが回ったとします。その状態で、もし車両を運転したとすれば、それは酒気帯び運転、あるいは飲酒運転になります。飲用の酒類であろうと、お酒チョコであろうと、体内にアルコールが回れば、酒気帯び状態、飲酒状態とみなされるからです。
したがって、食べた直後に運転をしそうな未成年者に、大量のお酒チョコをプレゼントすれば、酒気帯び運転(飲酒運転)罪のほう助となり、道路交通法65条3項により処罰される可能性も、なくはないでしょう」
ただ、これはあくまで「理論上」のもので、実際に心配しなくてはならないようなレベルの話ではないようだ。
小野弁護士は「お酒チョコは基本的に、あまり食べ過ぎないように少量のパッケージになっているように思います。節度のある量を、オシャレな形でプレゼントする分には、全く問題ないと思います」と結論づけていた。
もし勢いで「お酒チョコ」を買った女子高生がいても、同級生に渡していいのか……「わたし、気になります」なんて、悩む必要はなさそうだ。