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「警察がトラブル相手に住所もらした」 東南アジア出身女性が都提訴「人生最悪の出来事」
原告の女性(2021年9月22日、司法記者クラブ)

「警察がトラブル相手に住所もらした」 東南アジア出身女性が都提訴「人生最悪の出来事」

子どもをめぐる公園でのトラブルで、警視庁の警察官から違法な取り扱いを受けたとして、東南アジア出身の女性が9月22日、国家賠償法に基づいて東京都を相手取り、計440万円を求める裁判を東京地裁に起こした。

訴状などによると、女性は今年6月、公園で3歳の娘を遊ばせていたところ、子連れの男性とトラブルになった。男性は「息子が女性の娘から蹴られた」と主張。これに対し、女性は子ども同士の身体接触すらなかったとしている。

激昂した男性が警察を呼んだが、警察官は男性の主張にばかり耳を傾けていたという。公園での約1時間半ほどの聞き取りののち、さらに警察署で3時間近く事情を聞かれた。

警察署での聞き取りでは、母国語の通訳ではなく、英語での電話通訳で女性側はそのような緊急性はなかったと主張している。事情聴取は一貫してトラブル相手の男性の主張を認めるよう促すものだったといい、3歳の娘を女性から引き離して複数で聴取する場面もあったという。

また、相手方の男性は警察の前でも、外国人差別的な発言を繰り返していたというが、警察はこの男性に、女性の住所や電話番号などの情報を提供しているという。

提訴後の会見で、女性はこの日のことを「人生で最悪の出来事」と表現。「すべての外国人が人間として取り扱われるべき。娘には過呼吸のような症状がある。(連絡先が相手方に渡っているので)危険にさらされているように感じている」と語った。

女性側代理人の中島広勝弁護士は「警察には、外国人は治安を脅かす存在という認識がどこかにある」と話し、警察の対応の根底に外国人への差別意識があるとの見解を示した。

同じく弁護団の西山温子弁護士は、「仲裁に入って通訳してくれた通行人や、女性が警察署から電話した支援者らの証言がある。今回は女性に勇気があったから問題化できたが、実際には氷山の一角ではないか」と話している。

女性らは7月5日に都公安委員会に対して苦情申し出をしているが回答がないという。取材に対し、警視庁は「訴状が届いていないのでコメントできません」とした。

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