税率が5%から8%に上がった消費税。その差はわずかとはいえ、家計への影響をじわり、じわりと感じている人もいるのではないだろうか。
そんな皆さんに朗報(?)がある。まったく同じモノを買う場合でも、「消費税がかからないケース」があるというのだ。消費税は、どういう場合にかかって、どういう場合にかからないのだろうか。「消費税増税時代の買い物」について、中野雅仁税理士に聞いた。
●「個人間の取引」には消費税がかからない
「あらゆるモノ・取引が対象のようにも思える消費税ですが、実は『非課税』となるケースもあります。
消費税がかかる対象は、『国内において事業者が対価を得て行う資産の譲渡等』とされています。具体例がイメージしにくいですが、まずは『事業者』というキーワードに注目してください」
そこに、どんな意味があるのだろうか?
「消費税は、事業者の取引にかかる税だということです。これを裏返すと、事業者でない『個人間での取引』に、消費税はかからないという意味になります。
具体的にいうと、たとえば『ヤフオク!』のようなネットオークションで、個人同士の取引をする場合、消費税はかからないんですよ」
個人相手の取引だと、相手の信頼性など、別の注意点がたくさんある。しかし、消費税が増すほど、個人間取引のメリットが高まると言えるのかもしれない。ただ、ネットオークションでも、取引相手が事業者ならば、やはり消費税がかかるのでご注意を。
●消費税制度が「追い付いていない」点とは?
「もう一つの注目点が『国内において』という部分です。といっても、海外から貨物を輸入する場合には『輸入消費税』が徴収されますが、これに当てはまらない場合もあるんですよ」
具体的には、どういうことだろうか?
「イメージしやすいのは、海外の事業者と契約して、インターネット上のサービス提供を受ける場合ですね。たとえば、総合通販サイトの『Amazon.co.jp』でも、Amazonが販売するKindle本(電子書籍)には、消費税が課税されていません」
電子書籍には消費税がかからない?
「いえ、国内の事業者が販売する電子書籍には、消費税がかかっています。このような差が生じているのは、海外からのデジタル配信というビジネススタイルに、日本の消費税の制度が追い付いていないことが理由です。
しかし、『国内の業者と比べ不公平だ』という声が大きくなっており、政府も近いうちに税制改正をおこなう方針だと、報道されていますね」
消費税がかからないというのは、一般消費者にとってはうれしい話だが、確かに国内業者は不公平に感じるだろう。ほかに、覚えておいたほうが良い「消費税がかからないもの」は、何かあるだろうか?
「原則として課税されないものとして、土地の譲渡・貸付、住宅の貸付、社会保険医療の給付、介護保険事業なども非課税なので、消費税がかかりません」
身近なところだと、「家賃」にも消費税はかからないわけだ。消費者からすれば、支払いは少しでも減らしたいもの。余計な出費を避けるためには、こうした知識も必要かもしれない。
【取材協力税理士】
中野雅仁(なかの・まさのり)税理士
1971年生まれ。クラウド会計ソフト対応のITに強い税理士。「明るく・楽しく・元気よく」をモットーに中小企業の皆様に幅広いサービスと笑顔を提供中。「資金繰り」、「小規模事業者の節税」、「開業にあたっての税金の注意点」等のセミナーを多数開催。
事務所名:税理士法人わかば
事務所URL:http://www.wakaba-tax.com/