一弁は弁護士ドットコムタイムズの取材に対し、破産手続開始申立ての意図について、「東京ミネルヴァの依頼者に過払金が返還されないなどのおそれがあったので、財産を少しでも保全するため」と説明。東京ミネルヴァは弁護士会に納める法人会費を滞納していたので、債権者として申立てを行ったとしている。また、「依頼者に不利益があったことが確認されれば、早ければ7月上旬には懲戒請求することを検討している」と話した。
一弁によると、破産手続開始申立てまでの経緯は以下のとおり。
・5月下旬から「東京ミネルヴァと連絡が取れない」「受け取れるはずのお金が支払われない」などの相談が一弁に寄せられるようになった。
・一弁が調査した結果、6月10日に解散登記がされていることが判明。
・一弁に寄せられた相談に対応するため、6月22日に臨時の電話窓口を設置(6月25日時点で約170件の問い合わせ)。
東京ミネルヴァの代表者や所属弁護士とは連絡が取れない状況で、過払金などを受け取れていない依頼者の数や、未払い金の総額は現時点では不明。今後、破産管財人が調査を進めるとしている。
帝国データバンク「法律事務所の倒産で負債額10億以上、あまりみかけない」
帝国データバンクによると、東京ミネルヴァの負債は約51億円で、弁護士法人の倒産としては過去最大の負債額という。帝国データバンクは「回収した過払金の未払いといった依頼者に対する負債や、テレビコマーシャルなどにかけた多額の広告費により、負債額がここまで膨らんだのではないか」との見方を示す。法律事務所は数億円ほどの負債で倒産するケースが多いといい、「(東京ミネルヴァが)大規模事務所ということもあるだろうが、法律事務所の倒産で負債額が10億円を超える事例はあまりみかけない」としている。
※写真は東京・霞が関の弁護士会館ビル(PIXTA)