司法試験テキストの著作権侵害を公表 オンライン予備校「資格スクエア」

資格試験のオンライン予備校を運営するサイトビジットは8月31日、同社のオンライン学習サービス「資格スクエア」の司法試験予備試験講座などで配布したテキストや教材用アプリの内容において、他社の書籍を不正利用していたことを公表した。


同社の報告書によると、不正利用をもとに作成されたテキストやアプリは、2017年12月から2019年12月にかけて販売されていた。不正利用の中身については、「著作権侵害の問題はもちろんのこと、記述自体の類似性や構成・項目立てから受ける全体的印象に照らしても、著作者の皆様の執筆の成果物を不正に利用したものも存在しています」としている。

不正利用が確認された書籍は、「憲法Ⅰ 基本権」(日本評論社)、「プラクティス民法 債権総論[第4版]」(信山社)など基本書のほか、司法試験の短答式試験の問題集など16点。報告書には「不正利用した書籍の一部については、ご要望により一旦開示を控えます」とある。今回不正利用を公表した書籍について、報告書では「一部」としていることから、この他にも不正利用された書籍があるとみられる。

不正利用が発覚した経緯については、資格スクエアのテキストが「著作権を侵害しているのではないか」と他の出版社から指摘されたと説明。2018年12月ころには、不正利用している可能性が高いことを把握していたとしている。不正利用が生じた原因について、「当社における著作権等に関する知識不足」を背景として、特定の書籍をベースに、短い納期で司法試験受験生などのスタッフに制作を指示していたことや、代表者や担当社員が著作権侵害などの問題がないか確認していなかったことをあげている。

サイトビジットは、弁護士ドットコムタイムズの取材に対し、「著作権者様および出版社様の皆様、受講生の皆様に多大なるご迷惑をおかけしたことを深くお詫びし、それぞれに対して誠心誠意対応できるよう努めてまいります」とコメント。問題の把握から公表まで時間がかかった理由については、「差し控えさせていただきます」と回答しなかった。

日本評論社「サイトビジットとの間に見解の相違ある」


不正利用された書籍を発行している出版社のひとつである日本評論社は、サイトビジットが不正利用を公表した同日に「サイトビジット(資格スクエア)による著作権侵害について」というリリースを発表した。

リリースでは、著作権侵害の範囲などについてサイトビジットとの間に見解の相違がある点を指摘。サイトビジットが公表した書籍以外に、「基本刑法Ⅱ 各論」についても著作権侵害が成立するとの立場を示している。

日本評論社は、ホームページ上に、日本評論社の書籍と「資格スクエア」のテキストの対比のサンプルを公表。弁護士ドットコムタイムズの取材に対し、「当社の立場と資格スクエアの立場のいずれが正しいかは、サンプルを読んだ皆様のご判断に委ねたい」と話した。

また、日本評論社は、2019年10月ころからサイトビジットに対して、著作権侵害の事実を資格スクエアの受講生に対して説明するよう求めてきたが、「(サイトビジットは)消極的な態度を取り続けた」として、その点も問題視している。

日本評論社は「当社としては、当社や著者だけでなく、資格スクエアの受講生もまた被害者であると考えています。資格スクエアは、ウェブサイトなどで、基本書を使う必要はない、資格スクエアのオリジナルテキストを使えばいい、といいながら、実際には当社の基本書の著作権を侵害する行為をし、その結果受講生に迷惑をかけた訳であって、この点は極めて遺憾です」と話した。

現在の状況については、双方代理人を立てて話し合いをしており、「今後状況に応じて何らかの公表をすべき状況が生じればまた公表いたします」と回答した。

不正利用されたとされる書籍の他の出版社は、9月3日までにホームページなどを通じた見解などを公表していない。
(画像/「資格スクエア」サイトのトップページ)

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