従業員がうつ病や適応障害になったとき会社が対応しなければならないこと

従業員がうつ病や適応障害などの精神的な病気になった場合、会社には適切に対応する義務があります。安全配慮義務違反として、損害賠償などの責任を問われる可能性があります。

  • 産業医を受診は必要なのか?
  • 配置転換や休職はどんなとき必要?
  • 労災保険の受給申請は会社がする?

この記事では、こうしたポイントについて詳しく解説します。

目次

  1. 従業員から事情を聞く
  2. 産業医を受診してもらう
  3. 配置転換や休職を検討する
    1. 配置転換の検討
    2. 休職の検討
  4. 労災保険の受給申請を検討する
  5. 弁護士に相談した方がよいケース

従業員から事情を聞く

従業員からうつ病や適応障害になったことを相談されたら、まずは従業員本人から事情を聞きます。今後の対応を決める上で必要な情報を集めるためです。 具体的には、次のようなことを聞き取ります。

  • 病気になった経緯
  • 主治医の診断
  • 今後についての従業員の意向

このときの注意点は、親身になって話を聞くことです。頭ごなしに否定するような接し方をすると、従業員の病状が悪化するおそれがあります。

産業医を受診してもらう

次に、セカンドオピニオンとして、産業医や、産業医が推薦する医師を受診するよう従業員に指示します。 今後の対応として配置転換や休職などを検討する際に、産業医などの専門家の意見を検討することが必要だからです。 主治医の診断書に「業務が原因で」などと書かれている場合には、本当に業務が原因なのか、会社の責任を明らかにする上でも、セカンドオピニオンが重要です。 産業医とは、事業場における従業員の健康管理などについて、専門的な立場から指導・助言を行う医師です。 従業員を常時50人以上雇う事業場には、産業医を選任して、従業員の健康管理を行わせる義務があります。 診断書を発行してもらい、その結果を見て今後の対応を決めます。 従業員が産業医を受診しない場合、就業規則に受診命令についての定めがあれば、従業員に受診命令を出すことができます。

従業員が50人未満の事業場に産業医の選任義務はありませんが、従業員の健康管理 を行うのに必要な医学知識を有する医師などに、従業員の健康管理を行わせる努力義務があります。

産業医がいない場合や、産業医の診断に加えて主治医の判断を聞きたい場合には、従業員の許可を得て、主治医に面談を申し込む場合もあります。

配置転換や休職を検討する

産業医の診断の結果、配置転換や休職が必要な場合には、それらの措置を検討します。 今までと同じ業務では従業員の病気が悪化する可能性があることを会社が知りながら、何も対応しない場合、安全配慮義務違反として、損害賠償などの責任を問われる可能性があります。

配置転換の検討

従業員の職種を入社時に限定していない場合には、治療をしながらでも働けるような他の業務や部署への異動を検討します。 従業員の職種を入社時に限定している場合には、配置転換に従業員の同意が必要です。 異動先は、本人の意向と、産業医・主治医など専門家のアドバイスをよく検討してから決める必要があります。

休職の検討

就業規則に休職の定めがある場合には、休職を検討します。 休職制度がある場合、休職期間を経ないで従業員を解雇することは、原則としてできません。

労災保険の受給申請を検討する

業務や職場が原因で従業員がうつ病や適応障害などになった場合、労働災害(労災)にあたる可能性があります。 労災によるうつ病や適応障害などの場合には、労災保険から治療費などの給付が行われます。 うつ病や適応障害などの精神的な病気が労災にあたるためには、厚生労働省が定める認定基準を満たす必要があります。 認定基準を見ながら、従業員の病気が労災にあたるか検討しましょう。 認定基準は厚生労働省のホームページで見ることができます。 検討の結果、労災の可能性がある場合には、労災保険の給付申請を行います。 申請は従業員が自分で行うこともできますが、本人の負担を軽減するために会社が代行する場合も少なくありません。 申請手続きについては、厚生労働省のホームページをご覧ください。 申請書類は厚生労働省のホームページからダウンロードできます。 書き方などがわからない場合には、労働基準監督署に相談しましょう。

弁護士に相談した方がよいケース

うつ病や適応障害などになった従業員に対応する場合には、対応方針を弁護士に相談しましょう。 会社が配置転換や休職などを実施するには、判例やガイドラインを踏まえて対応することが必要です。 また、従業員とのトラブルに発展することも少なくありません。 弁護士に相談するタイミングは、従業員からの聞き取りを実施し、産業医を受診してもらうなど、事情の調査がある程度完了した段階がよいでしょう。 復職の可否についての相談は、休職期間満了前の2か月前が目安です。

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