従業員が逮捕された場合の対処法 | 出勤できない期間の取り扱いや有罪判決が確定した場合の対応を詳しく解説

従業員が逮捕された場合、いつ出勤できるようになるのか、会社の評判はどうなるのか不安に思う人もいるでしょう。会社の対応としては、次のことが考えられます。

  • 従業員が出勤できない間の対応を検討する(有給休暇・休職)
  • 従業員が有罪判決を受けた場合の対応を検討する(解雇など)

この記事では、具体的な検討の手順を詳しく解説します。

目次

  1. 従業員が出勤できるようになる時期
    1. 逮捕から刑事裁判までの流れ
  2. 逮捕された従業員が有給休暇を希望する場合の対応
  3. 休職の定めが就業規則にある場合の対応
  4. 従業員の有罪判決が確定した場合の対応
    1. 懲戒処分による懲戒解雇・降格・異動
    2. 普通解雇
    3. 自主的な退職の選択肢を提示する
    4. 懲戒処分ではない降格・異動など
  5. 従業員の処分を検討する場合は弁護士に相談する

従業員が出勤できるようになる時期

従業員が逮捕されている間、従業員は出勤することができません。 従業員が出勤できるようになる時期は、ケースにより異なります。 従業員の拘束が長引く場合、起訴されたあと、刑事裁判の間も続きます。有罪判決を受けた場合には、そのまま刑務所に行くことになるケースもあります。

逮捕から刑事裁判までの流れ

逮捕の期間は最長で72時間です。 逮捕の期間中に起訴・不起訴の判断がなされない場合、さらに「勾留」という身柄拘束の手続きがとられる場合があります。 勾留の期間は、原則として10日ですが、さらに10日を限度として延長される場合があります。 不起訴になった場合には釈放されて出勤することができます。 起訴された場合には、刑事裁判が行なわれます。刑事裁判が終わるまでの間、引き続き勾留されます。 刑事裁判の途中でも、保釈が認められれば、出勤することができます。 刑事裁判で無罪判決を受けた場合や、有罪判決でも執行猶予がつく場合や、罰金刑の場合には、釈放されて、出勤できるようになります。 有罪判決jを受け、懲役や禁固の実刑となる場合には、そのまま刑務所に行くことになります。

逮捕された従業員が有給休暇を希望する場合の対応

従業員が会社に来られない間は、欠勤となります。 欠勤中の給料は、支払う必要がありません(ノーワーク・ノーペイの原則)。 従業員に有給休暇が付与されている場合、従業員が有給休暇の取得を希望する場合があります。 有給休暇の取得は従業員の権利です。もし希望があった場合には、有給休暇を取得できるように手続きを進めましょう。

休職の定めが就業規則にある場合の対応

就業規則に、従業員が起訴された場合の休職、いわゆる「起訴休職」が定められている場合があります。 その場合には、従業員に休職を命じることができます。 従業員に休職を命じる場合には、就業規則に従って手続きを進めます。

従業員の有罪判決が確定した場合の対応

従業員が有罪判決が確定した場合には、次のような対応が考えられます。

  • 懲戒処分による懲戒解雇・降格・異動など
  • 普通解雇
  • 自主的な退職の選択肢を提示する
  • 懲戒処分ではない降格、異動など

有罪判決が確定するまでは、従業員には無罪が推定されています。有罪判決が確定していない従業員を処分することは避けた方がよいでしょう。

懲戒処分による懲戒解雇・降格・異動

懲戒について就業規則に定めがあり、従業員が逮捕される原因となった事実が懲戒事由に当たる場合には、従業員に懲戒処分をすることができます。 ただし、懲戒処分の理由が客観的に合理的であり、社会通念上相当であることが必要です。 懲戒処分として解雇する場合には、さらに次の条件を満たす必要があります。

  • 就業規則などで解雇の事由を明示していること
  • 解雇権の濫用にあたらないこと
  • 解雇が禁止されている期間にあたらないこと
  • 解雇をする30日前までに解雇の予告をする、または解雇予告手当を支払うこと

懲戒解雇に伴って退職金を支給しない、または減額するという対応は、退職金規定などに規定があり、その規定に当てはまる場合に可能です。

懲戒解雇の場合、労働基準監督署長の認定(除外認定)を受ければ、解雇予告や解雇予告手当を支払う必要はありません。

普通解雇

懲戒解雇ができる場合でも、従業員の今後の生活に配慮して、普通解雇をするケースがあります。 普通解雇をする場合には、次の条件を満たす必要があります。

  • 就業規則などで解雇の事由を明示していること
  • 解雇権の濫用にあたらないこと
  • 解雇が禁止されている期間にあたらないこと
  • 解雇をする30日前までに解雇の予告をする、または解雇予告手当を支払うこと

自主的な退職の選択肢を提示する

解雇の条件を満たす場合でも、よりソフトな対応をしたい場合などに、従業員に対して、自主的な退職の方法を提示する方法があります。 従業員としても、解雇されると次の転職などに影響があることから、自主的に退職することにメリットがある場合があります。 ただし、退職の促し方が相当とはいえない場合には、退職の「強要」として、従業員から不法行為による損害賠償を請求される可能性があります。 たとえば、従業員が退職を拒否しているにもかかわらず何回も呼び出したり、従業員1人に対して多すぎる人数で説得することなどは避けた方がよいでしょう。

懲戒処分ではない降格・異動など

降格や異動も、懲戒処分ではない形で、人事上の措置として行なわれることがあります。 人事上の措置として降格や異動を命じる場合には、人事権の濫用とならないことが必要です。 人事権の濫用となるかどうかは、次のような事情を考慮して判断されます。

  • 会社側における業務上・組織上の必要性の有無・程度
  • 能力・適性の欠如などの従業員側における帰責性の有無・程度
  • 従業員の受ける不利益の性質・程度
  • 会社における昇進・降格の運用状況

従業員の処分を検討する場合は弁護士に相談する

逮捕された従業員に対する処分を検討する場合には、弁護士に相談することをおすすめします。 これまで説明したとおり、懲戒処分や普通解雇、人事上の降格・異動などには、それぞれ有効に行なうための条件があり、条件を満たさない場合には無効となります。 無効な処分を行なった場合、従業員から、その処分がなければ支払われたはずの賃金の支払いを請求されるなど、ドラブルに発展するリスクがあります。 このようなリスクを避けるため、従業員の処分を検討する場合には、あらかじめ弁護士に相談しましょう。

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