【人事労務担当者向け】障害者の雇用義務に関するルールを解説

従業員が46人を超えている場合、障害者を雇用する義務があります。 必要な人数を雇用しなかったり、行政から雇用を求められたのに対応しなかったりしたような場合、企業名を公表される可能性があります。 この記事では、障害者の雇用に関するルールについて、詳しく解説します。

目次

  1. 従業員が46人を超えていれば障害者を雇用する
    1. 障害者の雇用状況はハローワークに報告する
    2. 雇用率をクリアしないと企業名が公表される可能性がある
  2. 業種によって障害者の雇用義務が軽減される
  3. 対象となる障害者
    1. 短時間勤務は0.5人、重度障害者は2人でカウント
  4. 雇用率をクリアしないと納付金の支払いを求められる可能性がある
    1. 納付金を支払う流れ
    2. 雇用率をクリアすると調整金・報奨金が支払われる
  5. 障害者の雇用についてハローワークなどに相談できる

従業員が46人を超えていれば障害者を雇用する

従業員が一定数以上の場合、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を、法令で定められた割合(法定雇用率)以上にしなければなりません。 一般的な民間企業の法定雇用率は2.2%です。つまり、従業員が46(45.5)人以上いる場合、1人以上の障害者を雇用する必要があります。 従業員数は、1週間の所定労働時間が30時間以上の従業員は1人、20時間以上30時間未満の従業員は0.5人として数えます。20時間未満の人はカウントしません。 雇用する必要がある障害者の人数は、以下の式で計算できます。 雇用する必要がある障害者の人数 = (所定労働時間が30時間以上の従業員数 + 20時間以上30時間未満の従業員数 × 0.5) × 法定雇用率(2.2%) たとえば、所定労働時間が30時間以上の従業員数が50人で、20時間以上30時間未満の従業員が120人の企業だと、雇用する必要がある障害者の人数は以下のようになります。 (50 + 120 × 0.5) × 0.022 = 2(2.42) 上記のケースでは、少なくとも2人の障害者を雇用する必要があります。

法定雇用率は、2021年4月までに0.1%引き上げられる予定です。

障害者の雇用状況はハローワークに報告する

障害者を雇用する必要がある場合、障害者の雇用状況をハローワークに報告しなければなりません。 具体的には、毎年、6月1日時点で雇用している障害者の人数などを、同年の7月15日までに報告する必要があります。 報告のための書類の形式は、ハローワークによって異なる可能性があるので、詳しくは最寄のハローワークに問い合わせましょう。

報告を怠ったり、虚偽の報告をした場合は30万円以下の罰金を科せられる可能性があります。

雇用率をクリアしないと企業名が公表される可能性がある

法定雇用率で決められた数の障害者を雇用していない場合、ハローワークから障害者の雇用に関する計画の作成を命令される可能性があります。 命令を無視して計画を作成しないと、30万円以下の罰金のペナルティを受ける可能性があります。 計画しても、計画通りに障害者を雇用しないと、ハローワークから指導や勧告を受けることになります。 指導・勧告を受けても雇用状況に改善がない場合、企業名が公表される可能性があります。

業種によって障害者の雇用義務が軽減される

雇用する必要がある障害者は、従業員数から計算しますが、業種によっては、従業員数の一部を除外して計算することができます。除外率制度といいます。 たとえば、1000人の従業員がいる会社は、22人(1000 × 0.022)の障害者を雇用する必要があります。 その会社の業種が除外率50%の場合は、従業員の人数を1000人ではなく、50%の500人で計算できます。 そのため、雇用する必要がある障害者の人数も、11人(500 × 0.022)に減ります。 除外率制度の対象になる業種と、除外される割合は以下のようになっています。

除外率制度の対象になる業種 除外率
非鉄金属製造業(非鉄金属第一次製錬精製業を除く)
倉庫業
船舶製造・修理業、船用機関製造業
航空運輸業
国内電気通信業(電気通信回線設備を設置して行うものに限る)
5%
採石業、砂・砂利・玉石採取業
水運業
窯業原料用鉱物鉱業(耐火物・陶磁器・ガラス・セメント原料用に限る)
その他の鉱業
10%
非鉄金属第一次製錬・精製業
貨物運送取扱業(集配利用運送業を除く)
15%
建設業
鉄鋼業
道路貨物運送業
郵便業(信書便事業を含む)
20%
港湾運送業 25%
鉄道業
医療業
高等教育機関
30%
林業(狩猟業を除く) 35%
金属鉱業
児童福祉事業
40%
特別支援学校(専ら視覚障害者に対する教育を行う学校を除く) 45%
石炭・亜炭鉱業 50%
道路旅客運送業
小学校
55%
幼稚園
幼保連携型認定こども園
60%
船員等による船舶運航等の事業 80%

除外率は段階的に引き下げられ、将来的に廃止される予定です。

対象となる障害者

雇用する必要がある障害者の対象は、以下のような人です。

  • 身体障害者手帳を所有している身体障害者
  • 療育手帳を所有している知的障害者
  • 精神障害者保健福祉手帳の所有している精神障害者

短時間勤務は0.5人、重度障害者は2人でカウント

雇用する必要がある障害者を数える方法は、勤務時間や、障害の程度によって異なります。 雇用する必要がある障害者は、1週間の所定労働時間が30時間以上の場合に、1人として扱います。 1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の場合は、0.5人と扱います。 また、重度の身体障害者と知的障害者にあたる場合は、2人と扱います。 重度の身体・知的障害者で、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の場合は、1人として扱います。 なお、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の精神障害者で、以下の条件をいずれも満たす場合は、0.5人ではなく、1人と扱います。

  • 新規に雇用されてからから3年以内、または、精神障害者保健福祉手帳を取得してから3年以内
  • 2023年3月31日までに雇用されて、精神障害者保健福祉手帳を取得した

雇用率をクリアしないと納付金の支払いを求められる可能性がある

法定雇用率で決められた人数の障害者を雇用しないと、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構から、「障害者雇用納付金」の支払いを求められる場合があります。 納付金の支払いは、従業員が100人を超える企業が対象です。100人以下の企業は支払いの対象ではありません。 従業員数は、1週間の所定労働時間が30時間以上の従業員は1人、20時間以上30時間以上の従業員は0.5人としてカウントします。20時間未満の人はカウントしません。 納付金の額は、雇用しなければならない障害者の人数から、不足している人数に対し、1人あたり月5万円です。 3人の障害者を雇用しなければならないのに、1人しか雇用していなければ、2人不足しているので、月10万円の納付金を支払うことになります。 なお、フルタイムの従業員数が100人を超え、200人未満の企業の場合は、2020年3月末まで、納付金が4万円に減額されます。

納付金を支払う流れ

雇用率をクリアしていない場合は、不足している人数などを高齢・障害・求職者雇用支援機構に申告して、納付金を支払うことになります。 申告と支払いの期限は、2019年度は4月1日から5月15日までしたが、年度によって異なることが可能性があります。 具体的なスケジュールや申告・支払いの方法は、高齢・障害・求職者雇用支援機構の各都道府県支部に確認しましょう。 また、申請に必要な書類などは高齢・障害・求職者雇用支援機構のホームページからダウンロードできます。

雇用率をクリアしていないのに、不足している障害者の人数などを高齢・障害・求職者雇用支援機構に申告しない場合や、虚偽の申告をした場合は、30万円以下の罰金を科せられる可能性があります。

雇用率をクリアすると調整金・報奨金が支払われる

法定雇用率を上回る人数の障害者を雇用している場合、上回っている人数に対し、1人あたり2万7000円の「障害者雇用調整金」が支払われます。 調整金が支払われるのは、従業員が100人を超える企業が対象です。 従業員数が100人以下の場合は、一定数を超える障害者を雇用することで、「報奨金」が支払われます。 報奨金が支払われるのは、雇用している障害者の各月ごとの人数を年度間で合計した数が、以下のいずれかを超える場合です。

  1. 雇用している従業員の各月ごとの人数を年度間で合計した数の4%
  2. 72人

報奨金の額は、雇用している障害者の各月ごとの人数を年度間で合計した数から、上記の1または2の多い方を引いた数に対し、2万1000円をかけた金額です。 たとえば、毎月10人の障害者が働いている場合、年度間の合計は120人になります。 もし、雇用している従業員の各月ごとの人数を年度間で合計した数の4%が50人の場合は、72人よりも少ないので、報奨金は72人をベースに計算します。 具体的には、以下のような計算式になります。 (120 - 72)× 2万1000円 = 100万8000円 調整金・報奨金の支給を受ける場合は、高齢・障害・求職者雇用支援機構への申請が必要です。 申請期限や手続きの方法などについては、高齢・障害・求職者雇用支援機構の各都道府県支部に確認しましょう。

障害者の雇用についてハローワークなどに相談できる

障害者を雇用する場合、「どのように採用すればよいか」「雇用した障害者にどのような配慮が必要か」などの疑問があるかもしれません。 障害者の雇用に関する相談について、全国のハローワークや地域障害者職業センターが応じてくれます。

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