従業員を解雇できるケースとは…業務妨害を予告、無断欠勤を繰り返す従業員のケースをもとに解説【弁護士Q&A】

業務を妨害することを予告したり、職場の人間関係を理由に無断欠勤を繰り返したりする従業員を解雇することはできるのでしょうか。 また、解雇した理由を第三者に伝えることは、会社にとってリスクがあることなのでしょうか。 「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。

目次

  1. 業務妨害を予告する従業員を解雇できるのか?
  2. 無断欠勤を繰り返す従業員を解雇できるのか?
  3. 解雇した理由を第三者に伝えてよいのか?

業務妨害を予告する従業員を解雇できるのか?

会社の業務を妨害すると予告するような従業員は解雇できるのでしょうか。

「業務を妨害してやる」と言っている従業員を解雇できますか

「業務を妨害してやる」と言っている従業員を解雇できますか 解雇理由に当たるのか教えて頂きたく相談しております。

私は病院を経営しております。従業員の中に、「業務妨害をして(私を)困らせてやる」と言っている者がおります。私や上司の前では言いませんが、同僚には堂々と言ってまわっているそうです。

その為、重要な業務を任せられず、周りの他の従業員や私がその業務に振り回されている状態です。

今の所、実際に業務妨害を受けてはおりませんが、「業務を妨害してやる」と言っている従業員にこれ以上仕事を任せられないと考えています。ちょっとした妨害でも患者様の体や命にかかわることになり得るからです。

これは解雇理由になり得るでしょうか。又その際は、「業務を妨害してやる」等の録音データなど、証拠が必要でしょうか。

清水 淳平の写真 弁護士の回答清水 淳平弁護士 懲戒解雇であれば就業規則の特定の条項に該当するものかをまず検討する形になります。
普通解雇であれば「重要な業務を任せられず、周りの他の従業員や私がその業務に振り回されている状態」ということから能力不足、「業務妨害をして(私を)困らせてやる」という点で規律違反といった事情で言い渡しを検討することになろうかと思います。

しかし、懲戒・普通解雇にしても解雇権濫用に該当しないかという点を考える必要があります。濫用といわれないためには、本人に対して改善指導をしたか・改善の余地はあるか・相手の不当な行為の悪質性・執拗性から職場環境が著しく悪化している状況か等、色々な事情で解雇が濫用かどうか判断されることになります。

事情はよく分かりませんが、この観点から解雇権濫用ではないといえるかどうかは何ともいえません。解雇が濫用かどうかはともかく、対象労働者の性格上、解雇をすればおそらく不当解雇と紛争になる可能性は相応にあります。解雇マネジメントの観点から弁護士と相談をされることを強くお勧めします。

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無断欠勤を繰り返す従業員を解雇できるのか?

「働く気はあるけれど、いじめられる」と主張して無断欠勤を繰り返す従業員を解雇する場合、会社にとってリスクはあるのでしょうか。

従業員の解雇について

従業員の解雇について 現在社員で、出勤をしてこない人間がいます。彼は今年のはじめに労災を起こし、傷病休暇として休んでいました。4月末に医師からの許可がおりて、仕事に復帰したものの、あまり仕事に来ず(聞けば、リハビリ、心の問題などと言います)、連絡もあまり取れない状態が続き、無断欠勤が続くようになりました。

そこで、呼んで話をしたところ、「職場でいじめられているから出勤できない」、とのことでした。正直なところ、彼は普段の素行も評判が悪く、職場の仲間からも疎まれてはいると思います。

仕事にも来ない、来ても一人では作業させられない、職場の人間にも疎まれている、けれど聞けば「働く気はあるけれど、いじめられるから」という風でなかなか話しが動きません。

こういった場合は解雇は正当性が認められるのでしょうか?

菊川 一将の写真 弁護士の回答菊川 一将弁護士 今の状況下でいきなり解雇をしてしまうと、手続面で不当解雇とみなされる可能性がありえますので、慎重に動くべきかと思われます。

いじめについては、会社の職場環境配慮義務の問題が生じえます。つまり、いじめがあると言っているのにその点について何ら調査をしないまま労働者を解雇した場合で、後にいじめがあったことが判明したような場合ですと、会社側に上記義務違反による法的責任が生じる他、不当解雇の責任も負うこととなりかねません。

ですので、まずはいじめについて調査されるのが無難かと思われます。その上で、労働者がいじめられないようなできる限りの配慮をした上で、職場復帰を勧告し、それでもなお復帰しないようであれば、解雇も許容されるのではないかと思います。

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解雇した理由を第三者に伝えてよいのか?

会社が、従業員を解雇した理由を第三者に話すことは、何かリスクがあるのでしょうか。

解雇理由の開示について

解雇理由の開示について 協力会社や従業員に対して、解雇対象者の解雇理由を話すことは違法でしょうか。業務の継続の必要性から、解雇対象者が関わった関係者(社内外)に対して説明することは合理的理由と考えています。

影山 博英の写真 弁護士の回答影山 博英弁護士 ある裁判例(泉屋東京店事件東地判S52.12.19労判304号71頁)は次のように述べています。

「一般に、解雇、特に懲戒解雇の事実およびその理由が濫りに公表されることは、その公表の範囲が本件のごとく会社という私的集団社会内に限られるとしても、被解雇者の名誉、信用を著しく低下させる虞れがあるものであるから、その公表の許される範囲は自から限度があり、当該公表行為が正当業務行為もしくは期待可能性の欠如を理由としてその違法性が阻却されるためには、当該公表行為が、その具体的状況のもと、社会的にみて相当と認められる場合、すなわち、公表する側にとつて必要やむを得ない事情があり、必要最小限の表現を用い、かつ被解雇者の名誉、信用を可能な限り尊重した公表方法を用いて事実をありのままに公表した場合に限られると解すべきである。」

解雇した事実のみならず、解雇理由まで告知することについてどのような必要性があるのか、必要性があるとして最小限の範囲はどこまでかを慎重に検討された方がよいでしょう。

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