従業員が独立するときに引き抜きや顧客情報の持ち出し…競業避止義務で防げる?【弁護士Q&A】

従業員が独立の際に、他の従業員を引き抜いたり、顧客情報を持ち出したりしようとしたとき、防ぐ方法はあるのでしょうか。独立する従業員に損害賠償を求めることはできるのでしょうか。 競業避止義務を課すことで、引き抜き行為などを防ぐことはできるのでしょうか。 こうした疑問について、「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。

目次

  1. 従業員が同僚を引き抜いて独立しようとしているケース
  2. 取引先を引き合いを隠して独立の準備していたケース
  3. 競業避止義務を負わせれば解決する?

従業員が同僚を引き抜いて独立しようとしているケース

従業員が、他の従業員を引き抜いて独立しようとした場合、会社はどんな対処ができるのでしょうか。

従業員の独立と顧客情報持ち出し

従業員の独立と顧客情報持ち出し 勝手に数名を連れて独立しようとしている従業員がいます。社内のIDがあるので顧客情報の持ち出しも出来る状態です。

法的に訴えると言う意味ではどんな事が出来ますか?

清水 祐太郎の写真 弁護士の回答清水 祐太郎弁護士 従業員の引き抜きと顧客情報の持ち出しということですが、引き抜きに関しては、雇用契約上の誠実義務違反として債務不履行あるいは不法行為責任を問い、損害賠償請求をすることが考えられます。

ただし、従業員が転職することは本来自由ですから、引き抜きが単なる転職の勧誘の域を超え、社会的相当性を逸脱し極めて背信的方法で行われた場合に限り、損害賠償責任を問うことができます。

具体的に責任が認められるかは、転職する従業員の地位や会社への影響などいろいろな事実を考慮しなくてはならないので、いざ請求するというときには弁護士に相談されるとよいと思います。

顧客の情報に関しては、未だに持ち出されていないのであれば事前の対策をとるべきでしょう。既に持ち出されていて使用されたのであれば、損害賠償請求が可能です。

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取引先を引き合いを隠して独立の準備していたケース

従業員が、在職中から独立の準備のために、取引先の引き合いを隠して独立先の顧客にしようとしたりしている場合、会社はどのように対処すればよいのでしょうか。

在職中の引き合いを転職先で受注する行為

在職中の引き合いを転職先で受注する行為 小さな会社を経営しております。
半年ほど前に会社の中堅社員が退職し、同業種で起業いたしました。さらに、起業した元従業員の後輩も退職したいと申し出てまいりました。転職先は半年前に退職した先輩の会社です。

弊社在職中に引き合いがあったこと自体を隠して、転職先で受注するようにお客様と根回しをしているようです。業務的にその退職者を指名した案件ではあるのですが、法的、就業規定上許されることなのでしょうか。

ちなみに競業避止義務に関する契約は結んでおりません。兼業の禁止と情報の秘匿義務は就業規則に明記されています。退職届は未提出、退職希望時期のみ聞いている状態です。

影山 博英の写真 弁護士の回答影山 博英弁護士 労働者は、労働契約に基づいて、労働契約の存続中、使用者の利益に反する競業行為を差し控える義務を負っています。在職中に、取引先の引合いを隠匿し、退職後に他社で受注しようとする行為は、この義務に違反します。

貴社の就業規則に懲戒に関する規定があれば、懲戒事由に該当する可能性がありますし、本来、受注できたはずの案件を失注することによって損害を被れば、退職後の労働者に対して損害賠償を請求できる可能性もあります。

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競業避止義務を負わせれば解決する?

入社時、または退社時に、従業員に競業避止義務を負わせることで、引き抜きなどを防ぐことはできるのでしょうか。

競業避止義務契約について

競業避止義務契約について 当方、エステサロンを経営しておりますが、
現在働いてくれている従業員に対して、「競業避止義務契約」の締結をお願いすることは可能でしょうか。
以下4点気になっております。

1、雇用中の従業員、またこれから雇用する従業員に対して、そのタイミングで依頼することが可能か

2、競業避止義務契約を義務付けることは可能かまた契約時、必須説明事項はあるか

3、従業員の立場からした場合、契約を拒否する権利を保有するのか

4、両者合意の上契約に至り、契約に違反が合った場合に、ペナルティを課すことは可能か

高橋 淳の写真 弁護士の回答高橋 淳弁護士 > 1、雇用中の従業員、またこれから雇用する従業員に対して、そのタイミングで依頼することが可能か
→可能です。

> 2、競業避止義務契約を義務付けることは可能か、また契約時、必須説明事項はあるか
→義務づけることは可能ですが、職業選択の自由と緊張関係があるので、場所と時間(2年間が多いです)の制限を付けることが通例です。
必須説明事項はありません。

> 3、従業員の立場からした場合、契約を拒否する権利を保有するのか
→あります。

> 4、両者合意の上契約に至り、契約に違反が合った場合に、ペナルティを課すことは可能か
→損害賠償額の予定になるので、できません。

(賠償予定の禁止)
第十六条  使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

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