業務委託契約

2019年12月04日

発注ミスを理由に元請けが一方的に減額…下請法違反ではないのか?【弁護士Q&A】

下請け業者が依頼された作業を終えた後で、元請け業者の発注書のミスを理由に発注金額を減額することは認められるのでしょうか。 また、元請業者が発注金額を一方的に指定して発注すること(指値発注)は下請法違反なのでしょうか。 「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。

目次

  1. 発注書のミスを理由に後になって減額することは問題ないのか?
  2. 指値発注は下請法違反なのか?

発注書のミスを理由に後になって減額することは問題ないのか?

依頼された作業を終えた後で、発注書のミスを理由に、元請けが発注金額を減額することは認められるのでしょうか。

発注金額のミスによる減額


発注金額のミスによる減額
弊社は元請けから仕事を頂いて作業をしています。つまり下請けという立場で仕事をしています。

先日、いつものように仕事の依頼(発注書)がFaxで届いて指定された日に作業を行いました。

その発注書に作業金額の記載もありました。後日、元請けの担当者から連絡が来て、「この前の発注書の金額は間違えだから」と言われ、作業金額を下げられました。

元請けが発注書の金額を間違えて送ってきて、下請け(弊社)が作業を終えたあとに間違えだからと金額を下げるのは、こちらが受け入れなければいけないのでしょうか?

もし発注書に記載されている金額を貰うことが出来るのであれば、どのくらいの金額まで貰うことが出来るのでしょうか?

※例 相場が50000円位の案件で、発注書に500万円と記載がある場合、全額もらえるのか?上限があるのか?


鎌田 智弁護士
基本的には発注書に書かれた金額を前提に作業を行って、作業も終了しているわけですから、その金額で契約が成立したと認められます。
あとから変更することはできません。

しかし発注書に書かれている金額が通常の金額と比べて明らかに隔たりが大きい場合は別の配慮が必要です。
つまり真実誤記であった場合は、契約に錯誤があるとの主張がなされることが考えられます。

ご質問の内容からすると以前から同様の取引はあったようですが、今回の作業金額について大体の目安はつくでしょうか。

その金額と今回の発注書に記載された金額を比べて単位が違うというような場合は明らかに誤記でしょう。
その場合は実際上は双方協議して代金を改めて決めることになります。

他方、考えられる正当な金額と発注書の金額にそれほど隔たりがない場合は、代金の一方的な減額を要求している可能性があります。

この場合は発注書通りという主張を行い、相手が減額した代金しか支払わない場合は差額を請求することが考えられます。

また下請法の適用がある場合(会社の規模や業種によって分かれます)は、代金の減額は下請法違反になる可能性が有ります。
下請法違反となると、公正取引委員会から勧告などの措置がとられることがあります。

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指値発注は下請法違反なのか?

元請けが金額を一方的に指定して発注すること(指値発注)は問題ないのでしょうか。

指値発注は下請法違反ではないでしょうか。


指値発注は下請法違反ではないでしょうか。
弊社は資本金7,200万円の販売商社です。
重要顧客(資本金3億円以上)からメールで部品単価の「指値」を指示されました。

このような発注が指値発注に当たり、下請法違反に該当するのではないかと思いますが如何でしょうか。

競合他社に発注展開される恐れが有り困っています(弊社は指値に合意は未だしていません)。


高橋 淳弁護士
指値発注をしたことが直ちに下請法に該当することにはなりません。

もっとも、「親事業者の予算単価のみを基準として、一方的に通常の対価より低い単価で下請代金の額を定めること」は、「買いたたき」に該当するおそれがあるとされています
交渉過程からして、発注者が低い価格を一方的に定めてきたような事情があれば、不当な「買いたたき」として違法になり得ます。


岡田 晃朝弁護士
このような発注が指値発注に当たり、下請法違反に該当するのではないかと思いますが如何でしょうか。

基本的に指値自体が下請け法に違反するというものではないでしょう。価格交渉の一環だと思います。

もっとも、それに関連して圧力があり、不当に価格に拘束されざるをえないような事例では違法の可能性は出てくるでしょうが。そのあたりは個別具体的な事例次第かと思われます。


佐野 太一朗弁護士
中小企業の顧問をしているものです。
指値発注そのものが、下請法違反になるわけではございません。

しかし、法は、以下のとおり「買いたたき」(下請法4条1項5号)を禁じています。

「親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、下請事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めることをしてはならない。」

本件は、この「買いたたき」に該当しないか問題となります。

具体的な判断要素としては、下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準および裁判事例から考えると、主に以下の点があげられると考えられます。

① 対価の決定方法の決定における十分な協議の有無
② 貴社と競合他社の差別的取り扱いの有無
③ 通常支払われる対価と当該給付に支払われる対価の乖離状況
④ 当該給付に必要な原材料等の価格動向

以上の事項を踏まえて、買いたたきに該当するかをご検討いただきたいと思います。

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