
会社が第三者割当増資をするときの注意点とは【弁護士Q&A】
会社が特定の人に株式を発行して資金を調達するとき(第三者割当増資)、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。 意思決定をするときに必要な手続きなど、第三者割当増資をするときの注意点を「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。
どのような手続きが必要なのか
第三者割当増資をするとき、どのような手続きが必要になるのでしょうか。
増資手続きについてご教示ください
増資にかかる手続きの質問です。
公開会社が増資する際の手続きとして第三者割当増資(有利発行には当たらない)をする場合に取締役会ではなく株主総会手続きをした場合、その増資は無効となるのでしょうか?
具体的な増資要領は取締役会で決めているものの昔からの慣行で必ず重要事項は株主総会で決議することとしてます(株主が3名のため)。
またこの場合、登記変更にかかる添付書類として取締役会議事録ではなく増資を決定した株主総会の議事録を添付した場合、登記変更はできないのでしょうか?
弁護士の回答岡田 晃朝弁護士
株主総会の決議ならば問題ない可能性が高いかと思います。
登記については法務局の対応次第です。確認してみましょう。適法であっても、形式的に法務局の要件を欠くと受け付けてもらえないことはあります。
払込期間を決める必要はあるのか
払込期間・払込期日は決めておく必要があるのでしょうか。
第三者割当増資する際の募集事項である払込期間・払込期日の設定に関して
第三者割当増資する際の募集事項である払込期間・払込期日の設定に関して
第三者割当増資する際の募集事項である払込期間・払込期日の設定に関してご教示いただければと存じます。払込期間・払込期日はどのくらい長く期間、もしくは期日を設定することが可能なのでしょうか。
弊社は非公開会社でして、通常ですと7日位で設定しているのですが、引受会社の手続きに時間がかかる可能性を考慮し、できるだけ長めに払込期間・払込期日を設定したいと考えております。
弁護士の回答高橋 淳弁護士
原則としては期間が定まっているわけではありません。
ただし、株主総会の委任によって取締役会が募集事項を定める場合、払込期日又は期間の末日が、当該総会決議から1年以内である必要があります。
変則的な振込方法を指定してもよいのか
振込を分割して、別々の口座に振り込むよう指定することは問題ないのでしょうか。
第三者割当増資の際の振込口座について
弊社では2ヶ月以内に、臨時株主総会、取締役会の手続きを経て、第三者割当増資を行う予定をしています。これまで幾度か第三者割当増資を行ってまいりましたが、以下のケースは可能か否かご教示をいただけますと幸いです。
弊社がA者に対して株式の割り当てを行い、A者から弊社指定口座への入金をいただくわけですが、その際に弊社指定口座を分割指定することは可能でしょうか?(たとえば、A者に対して、総額のうち、B銀行に○円とC銀行に△円を振り込んでいただく)。登記など、その他何か問題になるケースはございますでしょうか。
弁護士の回答新保 英毅弁護士
会社法208条1項では、「募集株式の引受人(現物出資財産を給付する者を除く。)は、第199条第1項第4号の期日又は同号の期間内に、株式会社が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、それぞれの募集株式の払込金額の全額を払い込まなければならない。」と規定されています。
あくまで私見ですが、条文上、指定口座を一つにしなければならないと明記されているわけではありませんし、2つの口座を確認すれば全額払込が確認できるのであれば、出資の履行(仮装払込の防止)という会社法208条の趣旨は満たしますので、違法とまではいえないと考えます。
ただし、かなり不自然だとは思いますが。