出版契約書の無い書籍の、出版権の設定を解除する方法

公開日: 相談日:2018年09月20日
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出版社の者です。他の出版社Aから6点の語学書を出版している著者から相談を受けました。その6点の書籍はいずれも発刊から10年以上が経過し、毎年6点合計で3万部を超える増刷を続けています。

ただ、出版社Aが一切の改訂に応じてくれないため著者は不満を抱えています。さらに印税等の条件も悪いため、著者はAへの出版権の設定を解除をして、弊社で改訂版を出版したいとおっしゃっています。

ところが、著者とAとの間で出版契約書を取り交わしていないことがわかりました。Aはその6点の語学書のみで食い扶持を稼いていて、他に一切の出版活動をしていません。そのため、契約書が無いとはいえ、生命線である6点の出版権の設定解除に応じるとは考えられません。

しかも著作権法第八十四条の(出版権の消滅の請求)には「当該廃絶により出版権者に通常生ずべき損害をあらかじめ賠償しない場合は、この限りでない」とあります。

トラブルなくAへの出版権の設定を解除し、弊社が新たに設定を受けて出版するために、どのような手順を踏んだらよいのでしょうか?

709099さんの相談

回答タイムライン

  • 吉浦 洋一 弁護士

    注力分野
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    著作権法では、原則として、出版権の存続期間は、設定行為で定めるところにより(83条1項)、設定行為に定めがない場合には設定後最初の出版行為等があった日から3年を経過した日において消滅します(83条2項)。
    通常は、出版契約書に自動更新条項がありますが、今回は契約書がないとのことですので、出版契約の合意のときに、当事者間でどのようなやりとりがあったか、などの具体的事情で判断されると思われます。
    そのため、具体的事情に基づいて、弁護士に相談をしても良いかもしれません。

  • 中野 雅也 弁護士

    注力分野
    企業法務・顧問弁護士
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    「出版社Aが一切の改訂に応じてくれないため著者は不満を抱えています。」とのことです。著作者様から出版社Aに対して増刷の際に修正または増減請求を行い(著作権法82条1項)、それが拒否された場合、精神的損害について著作者が損害賠償請求を行い得るとする文献がございますが、修正増減の義務を履行しなかったとして、出版契約自体を解除するという法律構成もあり得ると思われます。いずれにしても、著作者様が出版社Aからの印税にて生活されているようですので、著作者様が様々なリスクを考慮した上で、出版社Aとの関係を続けるのかどうか等を決定することが肝要であろうと思います。弁護士に相談されてみてはいかがでしょうか。

    (著作物の修正増減)
    第八十二条 著作者は、次に掲げる場合には、正当な範囲内において、その著作物に修正又は増減を加えることができる。
    一 その著作物を第一号出版権者が改めて複製する場合
    二 その著作物について第二号出版権者が公衆送信を行う場合

  • 相談者 709099さん

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    混乱させてしまっているようですので、もう少しご説明いたしますと、著者はご自身で事業をされています。10%以下の印税率ですから、それだけで生活できるほどの稼ぎにはなっていません。逆に出版社Aは、改訂には一切応じず、6点を単純に増刷し続けるだけで、コストを抑えて大きな利益を手にしています。社長一人だけの出版社ですので、経営はそれで十分に成り立っているそうです。

    著者としては改訂をしたいという思いもありますが、まずは単純に増刷し続けるだけで大きな儲けを手にしているAの出版権を解除させたいと考えています。さらに自ら出版コストを負担することで、出版社が手にしている大きな売り上げがもらえる弊社のサービスを利用して出版したいと考えています。コストの負担はありますが、単純に印税率は6倍に跳ね上がります。それが実現した場合には著作者は印税だけで十分に生活ができるはずです。

    著作者にとってリスクとして考えられるのは、
    ・Aが出版権の設定解除に応じないこと
    ・Aから損害の賠償を要求される恐れがあること
    ・Aが著者名やタイトルをアレンジして、類似書籍を制作、販売する可能性があること
    ・参考書として高校などで大量に購入されているため、本来の著作者の書籍ではなく、Aの類似書籍が採用される可能性がること
    などが考えられます。
    それらのトラブルを回避し、著者の意向どおりに出版権の移行ができるものなのか、教えていただきたいのですが、それにはやはりこれまでの交渉の経緯が必要ということでしょうか?

  • 弁護士が同意
    1
    ベストアンサー
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    お困りのことと思います。

    >トラブルなくAへの出版権の設定を解除し、弊社が新たに設定を受けて出版するために、どのような手順を踏んだらよいのでしょうか?
    というご相談について、ご回答致します。

    ⑴ 考えられる方法
    出版権の設定契約を終了させる方法としては、大きく3つ考えられます。
    ①出版社Aと著者の「合意」により終了させる方法(合意解約)
    ②出版社Aの「義務違反」を主張し終了させる方法(債務不履行)
    ③出版権の「消滅」を主張する方法(消滅)

    結論としては③の「消滅」を出版社Aに通知することがよいと思いますが、以下、理由をご説明致します。

    ⑵ 方法①(合意解約)
    まず、著者が出版社Aと交渉し、出版契約を終了させる合意をすることが考えられますが、
    >Aは・・・出版権の設定解除に応じるとは考えられません
    とのことですので、別の方法を検討します。

    ⑶ 方法②(債務不履行解除)
    次に、著者には、増刷の際に出版物を改訂する権利(出版社Aの義務)があるため(著作権法82条1項1号)、
    >出版社Aが一切の改訂に応じてくれない
    という点から、「出版社Aの義務違反を理由に契約を解除する旨の通知をする」ことが考えられます。
    しかし、出版社Aが改訂に応じてくるなどの場合も考えられますので、方法③の方がより簡便かと思います。

    ⑶ 方法③(消滅)
    (別の合意が認められない限り)出版権は、最初の出版から3年で「消滅」します(著作権法83条2項)。
    そして、
    ・この「3年」は、増刷をしている場合であっても第1刷が販売された日から数えること
    ・3年が過ぎるだけでよく、特段の手続きを経る必要はないこと
    から、
    >弊社が新たに設定を受けて出版する
    場合、本来は出版社Aに対して何の手続きを取る必要もありません。

    もっとも、
    >トラブルなくAへの出版権の設定を解除
    するという観点から、著者から出版社Aに対し、
    ・出版契約が消滅していること
    ・今後の増刷には応じないこと
    を記載した書面を送付することが考えられ、ご相談のケースでは最も穏便な方法かと思います。

    ⑷ 備考
    なお、ご指摘の著作権法84条は、「著者の考えが出版時点から変わった」ことで出版契約を「消滅」させた結果、出版社に損害が生じた場合の規定なので、ご相談のケースには適用がないものと思います。

    以上、ご参考にしていただけますと幸いです。

この投稿は、2018年09月時点の情報です。
ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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