社有車で従業員が起こした自損事故の修理費について

公開日: 相談日:2017年07月19日
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(簡潔な状況を記載します)
3週間前に従業員が仕事中に自社の車で単独事故を起こし、車の修理費が40万円かかります。
従業員の話では車の運転中にアクセルが戻らなくなり、ハンドル操作ができなく事故を起こしたとの事でした。ですが車のメーカーに説明をして調査をしてもらいましたが、異常が見当たらないとのことでした。
その車は車両保険の加入がないため、保険は使えません。
その修理費を従業員に半分の20万円は弁償してくださいと説明しました。
事故の3日後の朝に電話連絡があり、会社を退社しました。
現在、退社するまでの給料を支払っていません。
従業員は給料を今まで通りに振り込みで支払ってくださいと言っています。
先生方に質問がございます。

1.従業員に車の修理費を50パーセント支払わせることが出来るのでしょうか。
2.給料ですが、今までは振り込みで支払いをしていたのですが、同じように振り込みで支払わなければなら  ないのでしょうか。
3.給料から車の修理費を差し引いて足らないのですが、それでも給料を払わないといけないのでしょうか。
4.退社後、なかなか連絡がつきにくく給料を支払いをしたら車の修理費を支払ってもらえないのではないか  と思います。どのような対処をとればよろしいでしょうか。

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     説明の便宜上,①車の修理費を誰がどれだけ負担しなければならないか,②従業員が負担すべき場合に給料から差し引くことができるか,③今後の対応に分けてお答えします。

    ①について
     従業員が交通事故などを起こして損害を生じさせた場合,当該従業員が損害賠償責任を負うのはもちろんですが(民法709条),その事故が「事業の執行について」発生した場合(典型的には勤務中の交通事故),会社も損害賠償責任を負います(民法715条。使用者責任)。

     そして,会社が損害賠償を行った場合には,従業員に対して求償することができます(民法715条3項)。もっとも,会社が支払った賠償額全額の求償ができるわけではなく,信義則上相当と認められる限度においてのみ求償が認められます(判例)。ご質問のケースにおいては,従業員側の過失と会社の過失(社用車の整備不良など)を比較衡量して従業員側の過失が特に大きければ求償が認められる可能性があります(本件では整備不良はないとのことですので会社側の過失が問題となることはないと思われますが,調査報告書などを証拠として確保しておくべきでしょう)。

     ただし,求償が認められる場合であっても,裁判例では賠償額の数%~20%程度しか認められていないものが多いため,修理費の半分の20万円を従業員に負担させることは難しいでしょう。

    ②について
     給料については,全額払いが原則となっており(労働基準法24条1項本文),差し引くことも原則としてできないとされています。したがって,修理費を給料から天引きすることはできません。もっとも,修理費を給料から差し引くことについて従業員の同意が得られれば天引きすることが可能です。

    ③について
     従業員が会社に対して修理費の一部を支払うか,支払うとしていくら支払うか,給料と修理費を差し引くかどうかについて従業員と交渉し,合意書面を作成すべきでしょう。この際,合意しないと給料は支払わないなどの対応をすると,パワハラを理由として会社が損害賠償責任を負う可能性もありますので注意が必要です。

     給料の未払いが続けばそれだけ遅延損害金(年14.6%。賃金の支払いの確保等に関する法律第6条1項)が増えていくため,上記の点に合意することが難しいようであれば,給料は先に支払っておくべきでしょう。

この投稿は、2017年07月時点の情報です。
ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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