借金地獄の「かぼちゃの馬車」投資、なぜ賃料保証の掟破りが発生? 借地借家法を考察
かぼちゃの馬車Youtubeより

借金地獄の「かぼちゃの馬車」投資、なぜ賃料保証の掟破りが発生? 借地借家法を考察

「かぼちゃの馬車」などのシェアハウス投資では、スルガ銀行などの金融機関から1億円超の融資を受ける一方、長期の家賃保証で実質負担はないという営業トークで、多くの会社員がオーナーとなって投資を始めました。その数は約700人と伝えられています。

神奈川県の30代男性が結んだ契約書には「家賃保証期間は30年」との記載がありました。建てたシェアハウスは運営会社のスマートデイズ(東京)が一括借上をする「サブリース」での契約で、決まった家賃収入があることにオーナーたちは安心していたようです。

ですが、スマートデイズが約束を破り家賃収入は減らされ、2018年1月にはゼロに。頼りにしていた家賃収入がもらえず、かたや借金返済の義務は残り、途方に暮れています。毎月50万円程度の返済を迫られる場合もあり、自己破産を真剣に考える人は少なくありません。

今回、「長期の家賃保証」という投資を始めるにあたって最も重要な約束が、いとも簡単に破られてしまいました。借地借家法32条は「借賃増減請求権」として、「当事者は将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる」と規定しますが、こうした約束破りは許されていいのでしょうか。弁護士に聞きました。

サブリースのイメージ

●サブリースなら「賃料減額請求できない」と考えることも可能

「借地借家法32条は、経済事情の変動などにより家賃の額が不相当となった場合は、賃料の増額又は減額を請求することができると定めていますが、本件で問題になる賃料減額請求については、賃貸人(会社員などオーナー)を保護するために契約で減額請求できないと定めても、その定めは無効とされます。

しかし、いわゆるサブリース契約の場合、不動産の専門業者である賃借人が賃貸人を契約関係に引き込むことや賃借人を保護する必要性は薄いことから、一定期間、家賃を減額しない(家賃保証)との定めをしている場合にその定めは無効とならず、賃借人(業者)からの賃料減額の請求はできないと考えることもできます」

ーー裁判所はどのように考えているでしょうか

「最高裁は、サブリース契約の場合でも、たとえ一定期間、家賃を減額しないとの定めをしていても、賃借人は借地借家法32条により、賃料減額を請求することができるとの立場を取っています」

●借り手である業者が、貸し手であるオーナーを巻き込む特殊な構造

ーーサブリースには賃借人が賃貸人を引き込むという特性があります

「はい。サブリース契約の場合、オーナーと運営会社の賃貸借契約は実質的には運営会社の転貸事業の一部であり、オーナーがその転貸事業のために多額の資本を投下(建設資金の借入など)しています。ですから、それらの事情や、賃料額を決める際に賃貸人と賃借人が考慮した事情も、賃料減額が認められるかを判断するに当たって考慮すべきとされています。

これは、業者である賃借人が賃貸人を引き込み、賃貸人が多大な経済的負担をするというサブリース契約の特殊性に配慮したものであると言えます」

ーー民事上、どのような請求が可能でしょうか

「サブリース契約において、業者である賃借人から支払賃料を減額されたオーナーとしては、賃貸借契約に至る経緯、家賃保証、オーナーにも一定収益があることを前提として賃料額を決定したこと、オーナーの経済的負担(月々の返済額)などを主張して、業者が一方的に主張した賃料額は無効で、賃料が減額されていないことの確認や未払い賃料を請求していくことが可能であると考えられます。

ただし、先ほど述べたように、サブリース契約においても賃料減額請求自体は排斥されませんので、裁判所が賃料の減額を認める可能性はあります。しかし、その場合でも、オーナーが一定程度の収益が得られる程度までの減額にとどまると考えられます」

(弁護士ドットコムニュース)

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