犯罪被害

弁護士監修記事 2016年05月26日

犯罪被害に遭った際に慰謝料や損害賠償をどのように請求すればよいのか

「傷害事件で怪我をさせられた」「脅迫されてカウンセリングに通っている」「恐喝されてお金を渡してしまった」このように犯罪の被害に遭うと、金銭の直接的な損失や、精神的なダメージを負うことになります。これらの被害が補償されないのは、被害者としては納得できないでしょう。ここでは、損害賠償の請求方法を説明します。

目次

  1. 犯罪被害での損害とは
  2. 慰謝料が請求できる犯罪と相場
  3. 損害賠償の請求方法
    1. 示談交渉
    2. 損害賠償命令制度
    3. 民事裁判

犯罪被害での損害とは

犯罪被害に遭ったら、加害者に対して損害賠償を請求できますが、そもそも損害とは何が含まれるのでしょうか。 損害に何が含まれるかは犯罪ごとに異なりますが、以下のものを考慮することができるでしょう。

  • 失った直接的な金品(お金や貴重品)の金額
  • 本来得られるはずだった利益
  • 精神的苦痛に対する慰謝料
  • 遅延損害金(利子)
  • 迷惑料

本来得られるはずだった利益とは、会社を休まざるを得ずに収入の減少があった場合(休業損害)や、後遺症によって将来の収入が制限される可能性がある場合(逸失利益)などを指します。 慰謝料は、暴行や脅迫による苦しみに対して支払われ、物的な被害しか発生しない犯罪では認められないのが一般的です。 遅延損害金とは、損害の発生から支払いまでに、長期間のタイムラグがある場合に発生する利子です。損害賠償全体に年利5%を上乗せしますが、多くの犯罪では発生しないでしょう。 また、迷惑料とは、名称も決まりがあるわけではありませんが、示談の場合に、交渉を円滑に進めるために支払われる、損害賠償金に上乗せする金額分を指します。

慰謝料が請求できる犯罪と相場

犯罪に巻き込まれた場合には、確実に迷惑を被っているのだから、慰謝料ももらいたいと思うことでしょう。しかし、前述のように、窃盗や器物損壊のような物的な損害しかない場合には、慰謝料は認められないのです。 示談においては、双方が納得できれば、名目の如何を問わず金額を決めることができるため、迷惑料などと称して、慰謝料に相応するものを取り決める場合もあります。 では、慰謝料が発生する犯罪にはどういったものがあるのでしょうか。慰謝料が発生するのは、傷害罪や強制わいせつ罪、恐喝罪など、被害者本人に対する被害がある場合です。 そうした犯罪の一例と、慰謝料の相場を下記にまとめました。相場はあくまで目安でしかなく、慰謝料以外の項目も存在するため、実際に取り決める際には、個々の事件に応じた金額を算定するように注意してください。

罪名 慰謝料相場
暴行罪 数万円から10万円程度
傷害罪 治療期間に応じる
殺人罪 3000万円から3500万円程度
脅迫罪 数万円から30万円程度
痴漢(迷惑行為防止条例違反) 10万円から40万弱
盗撮 10万円から30万円程度
強姦罪 100万円から600万円程度
強制わいせつ罪 30万円から100万円程度
恐喝罪 数万円から30万円程度
強盗罪 30万円から50万円程度

損害賠償の請求方法

加害者に請求できるものの見通しが立ったところ、その請求方法を見ていきましょう。損害賠償の請求方法は次の3通りがあります。

  • 示談交渉
  • 刑事裁判後の損害賠償命令制度
  • 民事裁判

示談交渉

示談交渉とは、加害者の間で、話し合いで金額や支払い方法を決めることを言います。実際には、加害者と直接話し合うのではなく、弁護士を通して行われることが一般的です。 刑事事件の流れの中で、加害者の方が弁護士を付けて申し入れてくるケースが多くあります。示談のメリット・デメリットを考えて交渉に望むべきでしょう。 犯罪被害者が示談交渉で注意すべきポイントやデメリット

損害賠償命令制度

損害賠償命令制度とは、傷害罪や強姦罪などの一部の事件で利用でき、刑事裁判を審理した裁判官が、引き続き損害賠償の審理を行う制度です。 民事裁判では、被害者側が加害者の非や被害額を立証しなければならないところ、損害賠償命令制度では、刑事裁判で利用した証拠を用いることで、立証責任が免除されます。被害者としては、この上なく有り難い制度なのです。

民事裁判

示談が不成立に終わったり、損害賠償命令制度が利用できない場合には、最終的には民事裁判を検討することとなるでしょう。前述の通り、民事裁判では被害者側に様々な立証責任があり、時間や労力を要するものとなります。 また、ほとんどの場合に弁護士に依頼することになるため、弁護士費用を上回る金額が見込めないのであれば、費用倒れに終わる可能性もあります。 損害賠償の総額どの程度になるのか、それは立証可能なのかを考慮して、裁判を起こすかどうかを決めるべきでしょう。

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