事後収賄罪が成立する要件と刑罰の重さ

過去に公務員だった人が、公務員をしていたときに依頼を受けて職務上不正な行為をしたり、行うべきことをしなかったりした場合に、あとから賄賂を受け取ると「事後収賄罪」が成立します。 この記事では、事後収賄罪が成立する要件や刑罰の重さについて詳しく解説します。

目次

  1. 事後収賄罪とは
    1. 「請託」とは
    2. 「職務上」とは
    3. 「賄賂」とは
    4. 「収受」とは
    5. 「要求」とは
    6. 「約束」とは
    7. 事後収賄罪の刑罰

事後収賄罪とは

事後収賄罪は、公務員であった者が、その在職中に請託を受けて、職務上不正な行為をしたこと、または相当の行為をしなかったことに関して、次のような行為をした場合に成立します。

  • 賄賂を収受する
  • 賄賂を要求する
  • 賄賂を約束する

「請託」とは

「請託」とは、公務員が職務に関することについて依頼を受けて、承諾することです。

「職務上」とは

「職務」とは、公務員がその地位に伴い公務として取り扱うべき一切の執務のことです。 「職務」には、次のようなものが含まれます。

  • 法令により権限があると定められた職務
  • 法令で定められた職務に付随する職務
  • 法令で定められた職務に密接に関連する行為

公務員の職務は法令により定められています。 その公務員が実際に担当する職務ではなくても、一般的にその立場にある公務員であれば担当する権限があると法令に定められていれば(一般的職務権限があれば)、収賄罪の「職務」にあたります。

今は担当していないけれど、将来担当する可能性がある職務も、一般的職務権限の範囲内であれば、「職務」にあたります。

公務員が異動や出向により一般的職務権限の異なる職務に就いた後に、過去の職務について賄賂の授受がなされた場合でも、判例によれば「職務」にあたるとされています。

法令に権限がはっきりとは記載されていない職務でも、その職務に付随するような職務であれば、「職務」に含まれます。 たとえば、運輸大臣が民間の空港会社に対して特定機種の空港機の選定購入を勧奨する職務権限をもつことを前提として、内閣総理大臣が運輸大臣に対し特定機種の航空機を勧奨することは、内閣総理大臣の運輸大臣に対する指示として「職務」にあたるとされています。 法令上の職務とはいえない行為については、判例は、「職務と密接な関連がある行為」であれば「職務」にあたるとしています。 たとえば、公務員の職務権限の影響力を利用しようとするような場合です。 判例で「職務と密接な関連がある行為」と判断された行為には、次のようなものがあります。

  • 板ガラスを買うために必要な割当証明書を発行していた公務員が、証明書を受け取る者に対して、特定の店舗から板ガラスを買うよう仕向ける行為
  • 大学設置諮問委員会の委員が、教員予定者の適否を委員会の審査基準に従って予め判定したり、中間審査の結果を正式通知前に知らせたりする行為

「賄賂」とは

「賄賂」とは、職務行為と対価関係にある利益のことです。 賄賂を受け取る時期や価値の大小は関係ありません。 経済的価値があることは必須でありません。 判例上「賄賂」とされたものには、次のようなものがあります。

  • 芸妓の演芸
  • 酒食の饗応
  • 公私の職務その他有利な地位
  • 異性間の情交
  • 金銭の貸与
  • 債務の弁済
  • 保証人になったり担保を提供したりして融資を受けやすくすること
  • 新規上場に先立ち一般には公開価格で入手することが極めて困難な株式を公開価格で取得できる利益
  • 土地の早期売却を必要としていたが難航していた場合の時価相当額での売却

「収受」とは

「収受」とは、賄賂として提供された物を受け取ったり、利益を得たりすることです。 収受する時期は、職務行為の前でも後でも構いません。

「要求」とは

「要求」とは、公務員が賄賂の提供を求めることです。 要求した相手が要求を認識しなかった場合や、他のことと勘違いした場合、要求に応じなかった場合にも成立します。

「約束」とは

「約束」とは、賄賂の提供の申し出があった場合に、承諾することです。 約束したあとに、約束を取りやめた場合でも、成立します。

事後収賄罪の刑罰

事後収賄罪の刑罰は、5年以下の懲役です。

犯人や共犯者、賄賂であることを知った第三者が受け取った賄賂は、没収されます。賄賂の全部または一部を没収することができないときは、その価格相当額の金銭が取り立てられます(追徴)。

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