
加重収賄罪が成立する要件と刑罰の重さ
公務員が賄賂を受け取るなどした結果、不正な行為をしたり、行うべき行為をしなかったりすると、「加重収賄罪」が成立します。 この記事では、加重収賄罪が成立する要件や刑罰の重さについて詳しく解説します。
加重収賄罪とは
加重収賄罪は、公務員が、収賄罪・事前収賄罪・第三者供賄罪を犯した結果、不正な行為をしたり、相当な行為をしなかったりした場合に成立します。
「不正な行為」「相当な行為をしない」とは
「不正な行為」「相当な行為をしない」とは、積極的な行為、または消極的な行為により、職務に違反する一切の行為のことをいいます。 不正な行為によって国などに損害を与えることまでは必要ありません。 「不正な行為」にあたると裁判例で認められた例には、次のようなものがあります。
- 公文書偽造罪に協力する
- 税務署職員が十分な調査をせずに、過少の確定申告を提出させて受理し、税務署長に取り次いだ
- 県地方事務所農地課長代理が災害復旧工事の指名競争入札に際し、土建業者らの依頼を受けて、工事予定価格を希望価格に決定させて通知し、希望価格で落札させた
「相当な行為をしない」として裁判例で認められた例には、次のようなものがあります。
- 村会議員がわざと欠席して議事に関与しなかった
- 巡査が被疑者の要望を受け入れて証拠品の押収を取りやめた
収賄罪・事前収賄罪・第三者供賄罪とは
収賄罪、事前収賄罪、第三者供賄罪については、こちらの記事をご覧ください。
加重収賄罪の刑罰
加重収賄罪の刑罰は、1年以上の有期懲役です。
犯人や共犯者、賄賂であることを知った第三者が受け取った賄賂は、没収されます。賄賂の全部または一部を没収することができないときは、その価格相当額の金銭が取り立てられます(追徴)。