信書開封罪とは|犯罪が成立するポイントと刑罰の内容を解説

封がされた他人宛ての手紙などを、正当な理由がないのに開けることは、信書開封罪という犯罪にあたります。 この記事では、信書開封罪がどのような犯罪なのか解説します。

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目次

  1. 信書開封罪とは
  2. 信書開封罪が成立するポイント
    1. 信書とは
    2. 中身を読まなかったとしても、開封した時点で犯罪が成立する
    3. 開封することに正当な理由があれば信書開封罪は成立しない
  3. 信書開封罪の刑罰

信書開封罪とは

封がされている他人宛ての手紙などを、正当な理由がないのに開けると、信書開封罪という犯罪にあたります。 信書開封罪は、信書の差出人か受取人の告訴がなければ、被疑者を起訴することができません(親告罪)。

信書開封罪が成立するポイント

信書開封罪が成立するのは、正当な理由がないのに、封がされた信書を開けた場合です。

信書とは

信書とは、特定の差出人から特定の受取人に送られた文書のことです。郵便物に限らず、手渡しされた場合も含みます。 信書開封罪の対象は、封筒に入って糊付けされている文書など、内容が外から見えないようになっている文書に限られます。 そのため、たとえば郵便配達人が、ハガキなど封がされていない文書の内容を読んで他人に話しても、信書開封罪は成立しないと考えられています。

他人宛ての信書を隠すと、信書隠匿罪という別の犯罪が成立します。信書隠匿罪の対象は、封がされた文書に限られないため、ハガキなども含まれます。

中身を読まなかったとしても、開封した時点で犯罪が成立する

信書開封罪は、信書の封を開けて、差出人と受取人以外の第三者に信書の内容が知られる可能性がある状況をつくりだした時点で成立します。 文書の中身を読まなかったとしても、封を開けた時点で既遂になります。 一方、自然に糊がはがれて封が開いてしまった文書を読んでも、信書開封罪にはあたりません。

開封することに正当な理由があれば信書開封罪は成立しない

法律上、封がされた文書を第三者が開けることが認められている場合もあります。たとえば次のような場合です。

  • 子どもの親などの親権者が、子ども宛の信書を開封して読む行為
  • 何らかの理由で配達できない、差出人不明の郵便物を差出人に返すために、日本郵便の職員が郵便物を開封する行為
  • 受刑者を適切に矯正するなどの目的で、刑事施設の所長が、職員に命じて、受刑者から送ったり受刑者宛てに送られたりした信書を検査させる行為
  • 破産した人宛に送られた郵便物を、破産管財人(破産の手続きをスムーズに進めるために活動する人。裁判所が選んだ弁護士が就任する)が開封して中身を見る行為

信書開封罪の刑罰

信書開封罪の刑罰は、1年以下の懲役か20万円以下の罰金です。

信書隠匿罪の刑罰は、6か月以下の懲役か禁錮もしくは10万円以下の罰金か科料です。

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