強制執行妨害目的財産損壊罪が成立する要件と刑罰の内容

財産が差し押さえられることなどを妨害するために、財産を隠したり、壊したりすると、「強制執行妨害目的財産損壊罪」にあたる可能性があります。 この記事では、犯罪が成立する要件や罪の重さについて詳しく解説します。

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目次

  1. 強制執行妨害目的財産損壊罪とは
    1. 「強制執行」「金銭執行」とは
    2. 「隠匿」とは
    3. 「損壊」とは
    4. 「譲渡を仮装」とは
    5. 「債務の負担を仮装する」とは
    6. 「現状を改変」して、財産の「価格を減損」させたり、「強制執行の費用を増大」させる
    7. 「無償その他の不利益な条件」で「譲渡」または「権利の設定」ををする
  2. 強制執行妨害目的財産損壊罪の刑罰

強制執行妨害目的財産損壊罪とは

強制執行妨害目的財産損壊罪は、強制執行を妨害する目的で、強制執行の対象となっている財産に対して、次の行為をひとつでもすると成立します。

  • 財産を「隠匿」する
  • 財産を「損壊」する
  • 財産の「譲渡を仮装」する
  • 「債務の負担を仮装」する
  • 財産の「現状を改変」して「価格を減損」させたり、「強制執行の費用を増大」させたりする

また、次の行為は、強制執行の中でも金銭債権の強制執行(金銭執行)を妨害する目的でなされた場合に罪が成立します。

  • 財産を「無償その他の不利益な条件で、譲渡」する、または「権利の設定」をする

強制執行と金銭執行について簡単に説明したあとで、それぞれの行為について解説していきます。

「強制執行」「金銭執行」とは

「強制執行」には、次のような手続きがあります。

  • 民事執行法による強制執行
  • 担保権の実行としての競売
  • 民法・商法その他の法律の規定による換価のための競売
  • 民事執行法の規定を準用する裁判の執行(民事保全法による仮差押えや仮処分の執行など)

犯罪が成立するには、実際に強制執行を受けるおそれのある客観的な状態が存在することが必要です。

「金銭執行」とは、金銭債権についての強制執行です。次のような手続きがあります。

  • 民事執行法の「金銭の支払いを目的とする債権についての強制執行」
  • 担保権の実行としての競売
  • 民事保全法の仮差押え

「隠匿」とは

「隠匿」とは、財産の発見を不可能にしたり、困難にしたりすることです。 誰が財産を所有しているかをわからなくするような場合も含まれます。

「損壊」とは

「損壊」とは、財産を物理的に破壊するなどして価値を減少させることです。

「譲渡を仮装」とは

「譲渡を仮装」とは、実際には譲渡されていないのに、譲渡されたように装うことです。 たとえば、次のような場合があります。

  • 実際には譲渡するつもりがないのに、第三者と口裏を合わせて財産の名義を移転する
  • 第三者が、債務者と特に口裏を合わせることなく、強制執行の目的財産を譲り受けたとウソをつく

「債務の負担を仮装する」とは

「債務の負担を仮装する」とは、実際には債務がないのに債務を負担しているように装うことです。 たとえば、次のような場合があります。

  • 第三者からの借用証書を作成する
  • ニセの債権者を仕立て上げる
  • 債務を負担していると見せかけるために抵当権を設定する
  • 第三者が、債務者と特に口裏を合わせることなく、ウソの債権の存在を主張する

「現状を改変」して、財産の「価格を減損」させたり、「強制執行の費用を増大」させる

「現状を改変」とは、強制執行の対象となる財産の状況に物理的な変更を加えることです。 たとえば、次のような場合があります。

  • 強制執行の対象となる建物に増改築を行なう
  • 強制執行の対象となる土地に建物や工作物を作る
  • 強制執行の対象となる建物の中に動産や廃棄物を搬入し、放置する

こうした行為の結果、財産の価値を著しく下がったり、強制執行のためにかかる費用が著しく増えたりするおそれがある状態になることが必要です。

「無償その他の不利益な条件」で「譲渡」または「権利の設定」ををする

「その他の不利益な条件」には、たとえば次のようなケースが該当します。

  • 非常に安い価格で譲渡する
  • 一等地をごくわずかな賃料で常識的にあり得ないほど長い期間貸し付ける

事情を知って、財産を譲り受けたり、権利の設定を受けたりした者も処罰されます。

強制執行妨害目的財産損壊罪の刑罰

強制執行妨害目的財産損壊罪の刑罰は、3年以下の懲役、もしくは250万円以下の罰金、またはこれらの両方です。 報酬を得る目的で、または報酬を得させる目的で、自分以外の債務について強制執行妨害目的財産損壊罪にあたる行為をすると罪が重くなります。5年以下の懲役、もしくは500万円以下の罰金、またはこれらの両方が科されます。

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