起訴・刑事裁判

弁護士監修記事 2019年10月25日

控訴とは | 刑事裁判の有罪判決に納得がいかない場合の対処法

刑事裁判で有罪判決を受け、その判決の内容に納得がいかない場合には、「控訴」という不服申立ての手続きをすることができます。 この記事では、控訴について詳しく解説します。

目次

  1. 控訴とは
  2. 控訴ができるケース
    1. 裁判手続きが法令に違反した場合
    2. 誤った事実が認定された場合
    3. 認定された事実に対して誤った法令が適用された場合
    4. 刑が重すぎる場合
    5. 証拠が偽造だった場合など裁判をやり直すべき場合
    6. 刑の廃止・変更・大赦があった場合
  3. 判決後に示談が成立した場合も控訴できる
  4. 今までの弁護人は変わる可能性がある
  5. 控訴できるのは判決から14日

控訴とは

控訴とは、刑事裁判で最初になされた判決(第1審判決)に対して、判決が確定する前に不服申立てを行なう手続きのことです。 控訴審は高等裁判所で行われます。 控訴することによって、第1審判決で言い渡された刑より重い刑が言い渡されることはありません。

控訴ができるケース

控訴ができるのは、次のような場合です。

  • 第1審の裁判手続きが法令に違反した場合
  • 誤った事実が認定された場合
  • 認定された事実に対して誤った法令が適用された場合
  • 刑が重すぎる場合
  • 証拠が偽造だった場合など裁判をやり直すべき場合
  • 刑の廃止・変更・大赦があった場合

裁判手続きが法令に違反した場合

裁判手続きが法令に違反した場合とは、次のような場合をいいます。

  • 裁判所の構成が法律に従っていない(たとえば、裁判官が3人いなければならないのに1人しかいなかった)
  • 法令により判決に関与できない裁判官が判決に関与した
  • 審判の公開に関する規定に違反した(たとえば、審理を非公開にすべきなのに非公開にしなかった)
  • 法律に反して管轄を認め、または管轄違いを認めた(たとえば、地方裁判所で裁判をすべきなのに簡易裁判所で裁判をした)
  • 不法に公訴を受理し、または公訴を棄却した(たとえば、公訴棄却すべきなのに有罪無罪の判断をした。逆に公訴棄却の条件を満たさないのに公訴棄却した)
  • 審判の請求を受けた事件について判決をせず、または審判の請求を受けない事件について判決をした
  • 判決に理由を付けず、または理由にくいちがいがある

上記以外で裁判手続の法令違反がある場合には、「法令違反がなければ別の判決がなされていただろう」といえる程度に判決に影響を及ぼす場合に限り、控訴することができます。 たとえば、証拠にすることができる証拠を、証拠にできないとして却下した場合などがあります。

誤った事実が認定された場合

刑事裁判の判決では、検察官や被告人・弁護人が提出した証拠を裁判官が見て、証拠を評価し、このような事実があったと推理して、事実を認定します。 たとえば、被害者の血と被告人の指紋がついた凶器や、被害者の傷跡という証拠を裁判官が見て、「被告人が凶器を使って被害者にケガをさせた」という事実を認定します。 誤った事実が認定された場合とは、このように裁判官が証拠から事実を認定するにあたり、証拠から事実を推理する過程で通常では導かれない結論を導いてしまうなどして、誤った事実が認定されることをいいます。

誤った事実が認定されたことを理由に控訴する場合には、「法令違反がなければ別の判決がなされていただろう」といえる程度に判決に影響を及ぼす場合に限り、控訴することができます。

認定された事実に対して誤った法令が適用された場合

認定された事実に対して誤った法令が適用された場合とは、事実は正しく認定されたけれど、法令の適用を誤ったり、法律の解釈を誤ったりした場合をいいます。 たとえば、本当は背任罪とすべきところを、横領罪の規定を適用するような場合があります。

誤った法令が適用されたことを理由に控訴する場合には、「法令違反がなければ別の判決がなされていただろう」といえる程度に判決に影響を及ぼす場合に限り、控訴することができます。

刑が重すぎる場合

刑が重すぎる場合とは、判決で言い渡された刑が、他の似たような事件と比べて重すぎる場合をいいます。

刑が軽すぎるとして、検察官に控訴される場合もあります。

証拠が偽造だった場合など裁判をやり直すべき場合

証拠が偽造だった場合など、次のような場合には、判決が確定している場合でも「再審」という手続きにより裁判をやり直すことができます。 判決が確定していない段階でこのような事情がある場合には、控訴することができます。

  • 判決の証拠となった証拠書類・証拠物が偽造または変造であったことが別の裁判の確定判決により証明された
  • 判決の証拠となった証言・鑑定・通訳・翻訳が虚偽であったことが別の裁判の確定判決により証明された
  • 被告人への告訴が虚偽告訴だったことが別の裁判の確定判決により証明され、告訴した者が虚偽告訴罪による有罪の言渡しを受けた
  • 判決の証拠となった裁判が確定判決により変更された
  • 特許権・実用新案権・意匠権・商標権を害した罪により有罪を言い渡された場合で、別の裁判によりその権利の無効の審決が確定した、または無効の判決があった
  • 有罪の言渡しを受けたけれど実は無罪・免訴を言い渡すべきだった、刑の言渡しを受けたけれど実は刑の免除を言い渡すべきだった、または判決で認められた罪よりも軽い罪を認めるべきだったことが明らかな証拠を新たに発見した
  • 判決に関与した裁判官、判決の証拠となった証拠書類の作成に関与した裁判官、判決の証拠となった書面を作成しもしくは供述をした検察官・検察事務官・司法警察職員が被告事件について職務に関する罪を犯したことが別の裁判の確定判決により証明された

刑の廃止・変更・大赦があった場合

判決後に法令の改正があって刑が廃止されたり変更された場合、大赦があった場合にも、控訴することができます。 大赦とは、恩赦(国の恩恵により刑罰の効果を失わせる行政権の作用)の1つです。

判決後に示談が成立した場合も控訴できる

判決後に被害者に弁償したり、示談が成立したなど、被告人に有利な事情が生じた場合には、これまで説明した控訴できるケースにはあたりませんが、高等裁判所の職権により判決を破棄してもらうことを求めて、控訴することができます。

今までの弁護人は変わる可能性がある

第1審の裁判を弁護してくれた弁護人の権限は控訴を申し立てるまでです。第1審の弁護人に控訴を申立ててもらうことや、控訴を申し立てるまでの間に保釈請求をしてもらうことはできます。 控訴を申立てた後に控訴審を弁護してもらう場合には、改めて弁護人に依頼し直す必要があります。 今まで国選弁護人に依頼していた場合には、別の弁護士が控訴審の国選弁護人になる可能性があります。 国選弁護人制度を利用せずに個人的に弁護士に依頼していた場合で(私選弁護人)、同じ弁護士に控訴をお願いしたい場合には、改めて控訴を依頼することになります。また、弁護士費用も改めて支払うことになります。

控訴できるのは判決から14日

控訴できるのは、判決の言渡しを受けた日の翌日から14日間です。 期間の末日が土曜日・日曜日・祝日・1月2日・1月3日・12月29日〜12日31日にあたる場合には、それらの日は期間に数えません。 期間が限られているので、控訴の可能性があるかどうか、判決言渡しの前にあらかじめ弁護人に相談しておきましょう。

判決を言い渡された時点で保釈されていた場合には、有罪判決により保釈の効力が失われ、控訴をする場合でも、再び勾留されます。控訴中に再び保釈されたい場合には、もう1度保釈請求をして、保釈が認められることが必要です。このような手続きについても事前に弁護人に確認しておきましょう。

弁護士に見積り依頼をする

複数の弁護士にまとめて見積り依頼
費用対処方針比べて選ぶことができます。

  • 弁護士費用がいくらかかるか知りたい
  • 弁護士の選び方がわからない
  • 弁護士が何をしてくれるか知りたい
一括見積りをはじめる無料

依頼前に知っておきたい弁護士知識

犯罪・刑事事件を扱う弁護士を探す

起訴・刑事裁判に関する法律相談

  • 最高裁での告訴取り下げの影響

    最高裁判所での審理について教えて下さい。 友人(詐欺事件・被告)の刑事裁判が上告に至り、最高裁判所で審理されることになったのですが、ここに来て原告側が全面的に被告(友人)に罪がな...

    1弁護士回答
  • 偽証罪について教えて下さい

    略式起訴の供述調書を虚偽、偽証した場合には偽証罪になるんですか?

    1弁護士回答
  • 口座売買をしてしまいました。今持っている口座は全て今後凍結されますか?

    このたび口座売買をしてしまい、現在、起訴不起訴の処分を待っている者です。 質問なのですが、  今回起訴でも不起訴でも、今後一生その銀行では口座を作れなくなるのでしょうか。他の銀行...

    1弁護士回答
  • 万引き起訴後の保釈請求

    今の弁護士さんは私選でついています。本人は国選、私選がよくわかっていなくしかも、弁護士さんに原則私選ですと言われ言われるがままサインしてしまった感じでした。 私達も弁護士さんから...

    1弁護士回答
  • 弁護士費用についてなのですが宜しくお願い致します。

    今回事件で起訴され拘留中にお世話になった弁護士さんが、裁判の国選弁護人として再びつくことになったのですが、費用が掛かるかもしれないとのお話しでした。 もし国に裁判官をランダムに選...

    1弁護士回答
1 2 3 4 5 ... 30 ... 50

相談を絞り込む

起訴・刑事裁判の法律ガイド

関連カテゴリから解決方法を探す

弁護士に相談しようと思ったら…

弁護士に見積り依頼をする

複数の弁護士にまとめて見積り依頼

  • 最短3分で依頼完了
  • 依頼内容は非公開
  • 分野に詳しい弁護士から見積り依頼が届く
一括見積りをはじめる無料

依頼前に知っておきたい弁護士知識

犯罪・刑事事件のニュース

  1. 居酒屋の予約「無断キャンセル」で逮捕の衝撃...
  2. JASRAC「極めて悪質だ」、楽曲を無断利用した...
  3. マクドナルド従業員が「7億円」着服報道、会...
  4. 被害者支援、制度を使ってなぜ「つらさ」は増...
  5. 「アサヒカメラのカメラマン」名乗り、痴漢は...
  6. 「海外に売り飛ばすぞ!」風俗スカウト会社か...
  7. 「レオパレスを建築基準法違反で捜査して」 ...