公訴棄却・免訴とは|有罪でも無罪でもない判決を解説

刑事裁判は、必ず有罪か無罪どちらかの判決が言い渡されるわけではありません。どちらでもない形で決着することがあります。「公訴棄却」「免訴」といいます。 この記事では、公訴棄却や免訴について詳しく解説します。

目次

  1. 公訴棄却とは
    1. 公訴棄却となるケース
  2. 免訴とは
    1. 免訴となるケース

公訴棄却とは

公訴棄却とは、刑事裁判で有罪か無罪かの判断をしないで裁判を打ち切る制度の1つです。 刑事裁判を行なうためには、いくつかの条件を満たすことが必要です。たとえば、被告人が生存していることや、起訴状が被告人に送達されることなどがあります。 このような条件を満たさない場合には、裁判官は有罪か無罪かを判断することができず、裁判を打ち切らなければなりません。 公訴棄却はこのように裁判を打ち切るためになされます。

公訴棄却により刑事裁判が打ち切られた場合でも、検察官が条件を満たした上で改めて起訴した場合には、もう1度刑事裁判が行なわれます。

公訴棄却となるケース

公訴棄却には、検察官や被告人の言い分を聞かないで裁判を打ち切る場合と(公訴棄却決定)、検察官や被告人の言い分を聞いた上で裁判を打ち切る場合があります(公訴棄却判決)。 公訴棄却の決定がなされるのは、次のような場合です。

  • 起訴状の謄本が起訴後2か月以内に被告人に送達されなかった場合
  • 起訴状に記載された事実が真実であっても、犯罪となる事実が何も含まれていない場合
  • 検察官によって公訴が取り消された場合
  • 被告人が死亡した場合
  • 被告人となった法人が存続しなくなった場合
  • 同じ事件が複数の裁判所に起訴され、複数の裁判所で刑事裁判が行なわれる状態となった場合

公訴棄却の判決がなされるのは、次のような場合です。

  • 日本の裁判所が刑事裁判をする権限(刑事裁判権)が及ばない天皇・摂政、治外法権をもつ外国元首・使節・随員・家族、外国軍艦内とその乗組員の公務上陸中の犯罪が起訴された場合
  • 検察官が公訴を取り消した後、新たに重要な証拠がないのに再び起訴された場合
  • すでに起訴されている事件が、同じ裁判所に重ねて起訴された場合

このほか、起訴の手続きが規定に違反したため無効な場合にも、公訴棄却の判決がなされます。たとえば、次のような場合です。

  • 親告罪(告訴されなければ起訴できない犯罪)について告訴がない場合
  • 刑事裁判で審理の対象となる犯罪事実が特定されていない場合
  • 犯罪の内容を裁判官が前もって推測できるおそれのある書類などを添付・引用した上で起訴がなされた場合
  • 被告人が20歳未満の場合で、家庭裁判所を経由しないで起訴された場合
  • 道路交通法の反則行為について、反則金の納付の通告をしないで起訴された場合
  • 起訴をする権限がない者が起訴した場合

免訴とは

免訴とは、公訴棄却と同じように、刑事裁判で有罪か無罪かの判断をせずに裁判を打ち切る制度の1つです。 免訴判決により刑事裁判が打ち切られた場合には、検察官が改めて起訴することはできません。

免訴となるケース

公訴棄却の判決がなされるのは、次のような場合です。

  • 同じ事件について既に有罪・無罪・免訴の判決や略式命令が確定しているとき
  • 犯罪後の法令により処罰の根拠となる法律が廃止されたとき
  • 大赦があったとき
  • 時効が完成したとき

大赦とは、恩赦(国の恩恵により刑罰の効果を失わせる行政権の作用)の1つです。大赦が行なわれると検察官の公訴権が消滅し、免訴判決がなされます。

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