起訴・刑事裁判

弁護士監修記事 2019年10月01日

刑罰はどのように決まるのか | 刑事裁判の流れと事前に準備しておくこと

刑事裁判を控えて不安に思う人もいるでしょう。

  • 刑罰はどのように決まるのか
  • 刑事裁判の流れ
  • 事前に準備しておくこと

この記事では、このようなポイントについて解説します。

目次

  1. 刑事裁判とは
  2. 刑の重さはどうやって決まるのか
    1. 執行猶予
    2. 保護観察
    3. 刑の一部執行猶予
  3. 刑事裁判の流れと事前にやった方がよいこと
    1. 被告人の本人確認
    2. どのような犯罪の疑いで起訴されたのか確認する
    3. 犯罪を証明するための証拠を調べる
    4. 有罪・無罪や刑の重さについて検察側と弁護人側が意見を言う
    5. 判決を言い渡す
  4. 弁護人がいない場合の対処法

刑事裁判とは

刑事裁判とは、罪を犯したと疑われる人について、本当に罪を犯したのかどうか、有罪ならば刑はどのくらいなのかを判断する手続きです。 刑事裁判は、検察官が刑事裁判を求めた場合(起訴した場合)に行なわれます。 罪を犯したと疑われる人は、警察や検察に捜査されている間は「被疑者」と呼ばれていましたが、検察官に起訴された後は「被告人」と呼ばれます。 刑事裁判では、被告人がやったと疑われる犯罪を、検察官が主張し、証拠を提出して証明します。 被告人や、被告人を弁護する弁護人が検察官の主張に反論する場合には、反論を主張して、反論を裏づける証拠を提出することがあります。 また弁護人は、被告人が有罪だとした場合でも罪の重さが不当に重くならないようにするために、犯罪に至った経緯などの事情(情状)を主張して、証拠を提出します。 このように、検察官や弁護人側から出される主張や証拠をもとに、裁判官が、「被告人は有罪か無罪か」、「有罪の場合には刑はどのくらいか」を判断します。

被告人の罪や刑罰を決める刑事裁判とは別に、被害者が損害賠償請求を求める民事裁判があります。刑事裁判と民事裁判は別の手続きです。刑事裁判を求めて起訴できるのは、被害者ではなく、検察官だけです。ただし、被害者も「被害者参加制度」などを利用して刑事裁判に参加することがあります。

刑の重さはどうやって決まるのか

被告人が有罪だと判断された場合には、刑罰が科されます。 刑の重さは、犯罪ごとに法律で決められています。 たとえば、窃盗罪は10年以下の懲役または50万円以下の罰金と決められています(刑法235条)。 その刑の範囲内で、被告人の刑を実際にどうするかを、裁判官が決めます。

簡易裁判所で刑事裁判が行なわれる場合には、原則として死刑、懲役、禁錮の刑を科すことができません。ただし、窃盗、横領、遺失物横領、盗品譲受け、住居侵入、常習賭博などの一定の罪については、3年以下の懲役を科すことができます。

自分が有罪になった場合の刑の重さがどうなるかは、弁護人に相談しましょう。

執行猶予

執行猶予とは、有罪と判断されて刑が決められたけれど、一定の期間、刑の執行を猶予する制度です。 執行猶予の期間中に再び犯罪にあたる行為をして有罪とされ、その刑についての執行猶予がなかった場合など、一定の事情がある場合には執行猶予が取り消されます。執行猶予が取り消されると、刑を受けることになります。 執行猶予が取り消されずに期間が経過すると、刑の言渡しの効力がなくなり、刑を受けないことになります。 執行猶予をつけることができるのは、裁判官が決めた刑が3年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金だった場合で、かつ、犯罪に至った事情(情状)を考慮して裁判官が執行猶予をつけた方がよいと判断した場合です。 このように、執行猶予をつけるかどうかは情状により異なるので、必ずしも執行猶予がつくとは限りません。 執行猶予となった場合、刑が猶予される期間は1年〜5年です。 前科がある場合などには、執行猶予がつけられない場合があります。詳しくは次の記事をご覧ください。

自分が有罪になった場合に執行猶予がつく可能性があるかどうかは、弁護人に相談しましょう。

保護観察

保護観察とは、犯罪をした人が社会の一員として立ち直れるように、保護観察官や保護司による指導や支援が行なわれる制度です。 刑事裁判で有罪となり、執行猶予がついた場合に、保護観察となる場合があります。 保護観察になると、次のような、必ず守らなければならないルール「遵守事項」が課されます。

  • 再び犯罪をすることがないよう、健全な生活態度を保持すること
  • 保護観察官や保護司の面接を受けること
  • 生活状況を申告し、必要に応じて生活実態に関する資料を提出すること
  • 転居や旅行をする場合には、事前に保護観察所長の許可をうけること

遵守事項を守らない場合には、執行猶予が取り消され、刑を受けることになる場合があります。

刑の一部執行猶予

刑の一部執行猶予とは、刑の一部を受けたあとに残りの刑を一定期間猶予する制度です。 たとえば、刑が懲役3年で、そのうちの1年を猶予する場合には、まず懲役刑を2年受けて、残りの1年が猶予されることになります。 刑の一部執行猶予をつけられる条件は、次のとおりです。

  • 前科に関する条件をクリアしている
  • 今回課せられる刑が3年以下の懲役または禁錮にあたる
  • 犯情の軽重および犯人の境遇その他の情状を考慮して、再び犯罪をすることを防ぐために必要であり、かつ、相当だと認められる

前科に関する条件とは、次のどれかにあてはまることをいいます。

  • 今までに死刑・懲役・禁錮の刑に処せられたことがない
  • 今までに死刑・懲役・禁錮の刑に処せられたことがある場合でも、その刑の全部について執行猶予された
  • 今までに死刑・懲役・禁錮の刑に処せられたことがあっても、その刑の執行を受け終わった日またはその執行が免除された日から5年以内に死刑・懲役・禁錮の刑に処せられたことがない

規制薬物(覚せい剤、大麻、麻薬)や毒劇物(トルエンなど)の自己使用や単純所持などの場合には、前科に関する条件は不要とされます。

刑の一部が猶予される場合の猶予期間は1年〜5年です。

自分が有罪になった場合に刑の一部執行猶予がつく可能性があるかどうかは、弁護人に相談しましょう。

刑事裁判の流れと事前にやった方がよいこと

刑事裁判の流れは大きく次の5段階に分けられます。

  1. 被告人の本人確認
  2. どのような犯罪の疑いで起訴されたのか確認する
  3. 犯罪を証明するための証拠を調べる
  4. 有罪・無罪や刑の重さについて検察側と弁護人側が意見を言う
  5. 判決を言い渡す

各段階が1回の裁判で終わる場合もあれば、何回かの裁判で行なわれることもあります。 各段階の手続きと、ぞれぞれの段階で被告人がやること、事前にやった方がよいことを解説します。

被告人の本人確認

被告人や弁護人などの出席者は、刑事裁判が始まる前に法廷に着席するようにします。被告人は弁護人の席の近くに座ります。 被告人が勾留されている場合には、刑事裁判が始まる前に法廷に連れて来られます。裁判官が法廷に来る直前に被告人の手錠が解かれます。 裁判官が法廷に入ると「ご起立ください」と声が掛けられるので、傍聴席の人も含めた全員が起立します。 裁判官や周りの人がお辞儀をして着席し、刑事裁判が始まります。 被告人は法廷の真ん中の席へ移動するように裁判官に言われるので、そのように移動します。 裁判官は、被告人の本人確認を行ないます。具体的には、氏名や本籍地、住所、職業などを尋ねます。 被告人は、裁判官の質問に答えます。黙秘権を行使して、裁判官の質問に答えないこともできます。

どのような犯罪の疑いで起訴されたのか確認する

次に、被告人がどのような犯罪の疑いで起訴されたのかを確認します。 まず、検察官が起訴状を読み上げます。 そして、裁判官が被告人に、黙秘権があることを伝えます。次のようなことが言われます。 「あなたには黙秘権があるので、言いたくないことは言わなくても構いません。ただし、一度発言したことは、あなたの有利にも不利にも扱われる可能性があります」 続けて、先ほど検察官が読み上げた起訴状の内容をどう思うか、裁判官に質問されます。 被告人は「起訴状の内容はそのとおりです」とか「やっていないです」とか「たしかにやったけどわざとではないです」などと答えます。黙秘権を行使して、裁判官の質問に答えないこともできます。 そのあと、裁判官は弁護人に対しても意見を聞きます。弁護人は、被告人と同意見であることや、被告人が言えなかった法律上の論点などを補足します。 この段階で被告人が有罪であることを認め、一定の条件を満たす場合には、「簡易公判手続」や「即決裁判手続」が行なわれることがあります。詳しくは次の記事をご覧ください。

犯罪を証明するための証拠を調べる

起訴状の内容の確認が終わると、犯罪を証明するための証拠を調べる手続きに入ります。 証拠を調べる手続きは、検察官側と弁護人側に分かれ、検察官側から行なわれます。 まず、検察官が、証拠によって証明しようとする事実がどのようなものかを言います。 たとえば、窃盗罪にあたる事実を立証しようとする場合には、窃盗をした日時・場所、盗んだ品物や被害の状況、被告人の人物像などがあります。 裁判員裁判など、公判前整理手続があった裁判の場合には、公判前整理手続で話し合われた争点と証拠を裁判官が説明します。 次に、用意した証拠を裁判で調べてもらうように検察官が裁判官に求めます。 裁判官は、弁護人側の意見を聞いて、検察官が用意した証拠を調べるかどうかを決めます。 たとえば、警察官や検察官による取調べで被害者や目撃者などの証言を聞き取った際の記録は、弁護人側の同意がなければ、証拠として調べることはできません。弁護人側の同意がない場合には、被害者や目撃者などの本人を呼んできて、証人尋問によって直接話を聞くことになります。

どのような証拠があるのか、同意するか同意しないかは、裁判の前に弁護人と相談しておきましょう。

裁判で調べる証拠を裁判官が決めたら、それらの証拠を調べます。 証拠が書類の場合は、検察官が読み上げます。 証拠が物の場合には、検察官が真ん中の席に持っていき、弁護人や裁判官に見せます。 証人尋問が行なわれる場合もあります。 証人尋問では、証人が真ん中の席につきます。まず証人の本人確認をしてから、検察官と弁護人が証人に質問して、そのあとに裁判官が証人に質問をします。 弁護人側から提出する証拠がある場合には、検察官側の手続きと同じような流れで証拠を調べます。 たとえば、情状の証拠として、被告人が反省していることを証明するために、被害者に宛てた手紙を読み上げることがあります。また、被告人が社会に戻った際に問題なく生活を営むことができることや、二度と犯罪を繰り返さないことを証明するために、被告人の家族や勤務先の人を証人尋問することなどがあります。 被告人自身が、証人尋問のような形で、弁護人や検察官・裁判官に質問されることがあります。被告人は、質問に答えることもできるし、黙秘権を行使して質問に答えないこともできます。

弁護人側からどのような証拠を提出するか、被告人質問でどのように受け答えするかなど、裁判の前に弁護人と相談しておきましょう。

有罪・無罪や刑の重さについて検察側と弁護人側が意見を言う

証拠を調べ終わると、その結果を踏まえて、検察官側と弁護人側が意見を言います。 まず、検察官が、どのような事実が証拠から認められるのか、その事実にどの法律を適用すべきで、刑の重さはどのくらいが妥当かについて意見を言います。 たとえば、「被告人が何年何月何日にどこで何を盗んだという事実が認められるので、窃盗罪を定める刑法235条を適用すべきで、刑は懲役何年とすべきである」などです。 次に、弁護人も意見を言います。 たとえば、無罪を主張する場合には「被告人は無罪である。なぜなら〇〇だからである。」というようなことを言います。 罪を認めている場合には「被告人が何年何月何日にどこで何を盗んだという事実には争いがない。しかし、被告人は反省しているし、家族も被告人が戻ってきたときには社会復帰を支えると言ってくれているので、寛大な判決を求める」などと言います。 最後に、被告人の意見を尋ねられます。被告人は意見を言うことができますし、黙秘権を行使して質問に答えないこともできます。

弁護人にどのような意見を言ってもらうか、被告人の意見をどのように言うかは、裁判の前に弁護士と相談しておきましょう。

判決を言い渡す

ここまでの手続きが終わると、裁判官は判決を言い渡します。 判決を言い渡すには、判決書を読み上げる場合もあれば、判決書がまだできていない段階で裁判官が口頭で伝える場合もあります。 判決には、結論にあたる部分と、理由にあたる部分があります。 判決の結論にあたる部分は「主文」と呼ばれます。たとえば、「被告人を懲役何年に処する」という内容です。 理由の部分は、裁判官が証拠から認定した事実や、それがどの罪にあたるのか、被告人の刑の重さを決める理由となった事実(反省しているかどうかなど)があります。 判決で有罪となった場合には、判決に対して不服申し立て(控訴という手続き)ができること、控訴のやり方、控訴ができる期間も伝えられます。 判決の言い渡しの際に、裁判官が被告人に対して、「今後は反省して二度と同じことをしないように」などのメッセージを話すことがあります。 判決の内容に納得がいかない場合には、控訴の手続きをします。 控訴の手続きは、判決が言い渡された翌日から数えて2週間以内に行ないます。期間内に控訴しない場合、判決が確定して、変更してもらうことができなくなります。

保釈されている場合、有罪判決を受けると保釈の効力が失われて再び勾留されます。釈放されるには、再び保釈を請求することが必要です。有罪になる可能性がある場合には、再び保釈を請求するかなどを弁護人と相談しておきましょう。

弁護人がいない場合の対処法

弁護人がいない場合には、国選弁護人の選任を依頼することができます。 国選弁護人とは、経済的な理由などにより弁護士に依頼できない人に対して、国が選んだ弁護士が、国の費用で刑事裁判の弁護をしてくれる制度です。 一定の重大犯罪を除き、弁護人がいない状態でも刑事裁判に臨むことは可能です。しかし、先ほど説明したように、刑事裁判の前に弁護人と相談しておいた方がよいことがたくさんあります。

  • 有罪になった場合の刑の重さや執行猶予がつく可能性
  • 検察官から提出される証拠の確認、同意するか決める
  • 弁護人側から提出する証拠
  • 被告人質問での受け答え
  • 有罪・無罪について弁護人にどのような意見を言ってもらうか
  • 被告人の意見をどのように言えばよいか
  • 有罪になって勾留された場合の保釈請求の準備

まだ弁護人がいない場合には、国選弁護人の選任を依頼しましょう。依頼する際には、起訴状と一緒に送られてきた書類「弁護人選任に関する回答書」に記入して、裁判所に持っていくか郵送して提出しましょう。

国選弁護人を依頼するには貯金額などの要件がありますが、自分で弁護士を探して依頼したけれど断られたという事情がある場合には、貯金額が基準を超えていても 国選弁護人を依頼できます。

弁護人がいない状態で刑事裁判に臨む場合でも、裁判官の判断により、職権で国選弁護人が選任される場合があります。

国選弁護人が誰になるかは裁判官が決めます。自分で選んだ弁護士に依頼したい場合には、国選弁護人制度を利用せず、個人的に依頼することになります。その場合の費用は自己負担です。費用がいくらかは弁護士に相談しましょう。

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