
【浄水汚染罪・水道汚染罪】飲料水に関する犯罪が成立する要件と刑罰の内容
飲み水に泥などを混ぜて汚して飲むことができないようにしたり、毒などを入れたりすると、浄水汚染罪や浄水毒物等混入罪といった犯罪が成立します。 この記事では、飲料水に関する犯罪それぞれの内容や刑罰について詳しく解説します。
目次
飲料水に関する犯罪とは
飲料水に関する犯罪は、次のようなことをした場合に成立します。
水を汚染したり毒物を入れたりした場合
- 井戸や貯水槽など飲料用にためた水を汚して飲めなくしたとき(浄水汚染罪)
- 水道やダムなどの水源を汚して飲めなくしたとき(水道汚染罪)
- 井戸や貯水槽など飲料用にためた水に毒物や病原菌などを混ぜたとき(浄水毒物等混入罪)
- 水道やダムなどの水源に毒物や病原菌などを混ぜたとき(水道毒物等混入罪)
人を病気にさせたり死亡させたりした場合
浄水汚染罪・水道汚染罪・浄水毒物等混入罪にあたる行為をして、その水を飲んだ人が病気になったり死亡したりした場合は、浄水汚染等致死傷罪が成立して、罪が重くなります。 水道毒物等混入罪にあたる行為をして、その水を飲んだ人が死亡した場合には、水道毒物等致死罪が成立して、罪が重くなります。
水道管を壊すなどした場合
水道管を壊したり塞いだりして水の供給を妨げたときは、水道損壊及び閉塞罪という罪が成立します。
それぞれの罪が成立する要件のポイント
汚染とは
浄水汚染罪・水道汚染罪でいう「汚染」とは、水を不潔にする行為全般が含まれます。ただし、毒物などでの汚染は、浄水毒物等汚染罪・水道毒物等汚染罪で規定されているので、汚染には含まれません。 泥やゴミなどで汚すなどの他、食紅で色を変える、尿を混ぜるなど、心理的に飲めなくすることも「汚染」にあたると考えられています。
毒物とは
毒物とは、青酸カリなどの毒物のほか、病原菌や寄生虫なども含みます。長期間にわたって身体に取り入れることで体内に蓄積され、体調を悪化させるようなものも含まれます。
浄水毒物等汚染罪・水道毒物等汚染罪は、毒物などによって実際に人の健康に害を与えたかを問わず、毒物などを混入したという事実があれば成立します。
飲料水に関する犯罪の刑罰
浄水汚染罪の刑罰
6か月以下の懲役か10万円以下の罰金
水道汚染罪の刑罰
6か月以上7年以下の懲役
浄水毒物混入罪の刑罰
3年以下の懲役
浄水汚染等致傷罪の刑罰
傷害罪の懲役15年が上限となり、下限はそれぞれの罪の下限となります。
浄水汚染等致死罪の刑罰
3年以上の懲役
水道毒物等混入罪の刑罰
2年以上の懲役
水道毒物等混入致死罪の刑罰
死刑または無期もしくは5年以上の懲役
水道損壊及び閉塞罪の刑罰
1年以上10年以下の懲役