犯罪・刑事事件

弁護士監修記事 2019年09月27日

不真正不作為犯とは|「しなかったこと」で犯罪になるケースを解説

「暴力をふるう」「モノを盗む」など、一般的に犯罪は、「何かすること(作為)」によって実現しますが、「何かをしないこと」が犯罪にあたることがあります。「不作為犯」といいます。 このうち、もともと法律では「作為」で実現することが予定されている犯罪を、不作為で実現することを「不真正不作為犯」といいます。 親が溺れている我が子をわざと助けずに死亡させてしまったような場合などに問題になります。 この記事では、どんな条件をみたすと不真正不作為犯として処罰される可能性があるのか解説します。

目次

  1. 不真正不作為犯とは
  2. 不真正不作為犯が成立する要件
    1. 法的な作為義務
    2. 作為の可能性・容易性

不真正不作為犯とは

一般的に、刑法など一定の行為に刑罰を科す法律は、「何かをすること」を禁止する形で定められています。 たとえば、「人を殺害する」行為をすると殺人罪として処罰されるし、「わざと人にケガを負わせる」と傷害罪として処罰されます。 一方で、こうした犯罪が「何かをしない」という形で成立する場合もあります。 たとえば、「死んでも構わない」と考えて、溺れている我が子を見捨てたりして死なせてしまうような場合です。 このように、本来は「何かをすること」で成立する犯罪が、「何かをしないこと」で成立することを「不真正不作為犯(ふしんせいふさくいはん)」といいます。

もともと、不作為の形で刑法で定められている犯罪もあります。「真正不作為犯」と呼ばれているもので、不退去罪や保護責任者遺棄罪などがあたります。

不真正不作為犯が成立する要件

溺れている人などを助けずに死なせてしまった人がすべて殺人罪にあたるという結論はおかしいと考える人もいるでしょう。 そのため、不真正不作為犯が犯罪になるのは、一定の要件を満たした場合だけと考えられています。 不真正不作為犯は、一般的には次の要件をいずれも満たす場合に成立すると考えられています。

  • 法的な作為義務があった
  • 作為の可能性・容易性があった

法的な作為義務

法的な作為義務とは、たとえば、溺れているなどで、保護が必要な人がいる場合、その人が死亡するという結果を防止する義務のことです。 次のような人に作為義務があると考えられています。

  • 保護者的な立場の人

典型的には、親子・夫婦などの近親者などがあたります。

  • 危険を生じさせてしまった人

自分の行為で危険を生じさせてしまった人には、結果が発生することを防止する義務があると考えられています。 最高裁の判例(昭和33年9月9日)では、職場で居眠りしている間に、自分が使用していた火鉢が火元になって職場が燃えてしまったというケースで、消化する義務があったという理由で不作為の放火罪(現住建造物等放火)の成立を認めました。 この判例では、被告人が、火鉢から他の物に火が燃え移ったことに気づいた段階で消火活動をしたり、通報したりすれば十分に消火が可能だったのに、自分の失敗がバレてしまうことをおそれて、職場が燃えてしまっても構わないと考えて放置したという事実が認定されています。

  • 管理者的な立場にある人

物を管理している人は、自分が管理する物から危険が生じた場合には、その危険を取り除く義務を負っていると考えられています。 たとえば、自分に落ち度はないけれど、来客のたばこの火の不始末で自宅が火事になってしまうようなケースです。 こうした場合に「保険金もおりるしちょうどいい」などと考えて自宅が燃えるのを放置した場合には、やはり不作為の放火罪が成立する可能性があります。

作為の可能性・容易性

作為義務があっても、義務を果たすことが不可能だったり、困難だったりした場合は不真正不作為犯にはあたりません。 たとえば、子どもが川で溺れても、父親にはカナヅチだったり、川が氾濫してとうてい助けに行くことが不可能だったような場合は、不作為の殺人にはあたりません。

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