心神喪失で責任能力が否定されて無罪になるのはどのような場合か

精神的な障害により、自分の行為の善悪を理解する能力や自分の行動を制御する能力が失われた状態で犯罪にあたる行為をしても、心神喪失を理由に無罪になる可能性があります。 能力が不十分な場合は、無罪にならなくても、心神耗弱を理由に通常よりも刑罰が軽くなる可能性があります。 この記事では、心神喪失や心神耗弱について解説します。

目次

  1. 心神喪失・心神耗弱とは
  2. 裁判で争われた場合

心神喪失・心神耗弱とは

刑法では、犯罪にあたる行為をした人に処罰するためには、その人が、自分の行為の善悪を理解する力(是非弁識能力)と、自分の行動を制御できる力(行動統御能力)がなければならないと考えられています。 これらの能力は「責任能力」と呼ばれています。 精神的な障害などにより、是非弁識能力と行動統御能力のどちらかが欠けている場合は、「心神喪失」にあたり、無罪になる可能性があります。 どちらも欠けていなくても、能力が不十分な場合は、「心神耗弱」にあたり、通常よりも罪が軽くなる可能性があります。 酒に酔って暴力をふるったり、痴漢をしたりするケースで、被疑者が「酒に酔っていて覚えていない」などと供述することがありますが、単に酒に酔っていたという程度では、一般的には責任能力はあったと判断されます。

裁判で争われた場合

裁判で心神喪失・心神耗弱かどうかが争点となった場合、精神科医などの専門家による精神鑑定が実施されることが一般的です。 たとえば、統合失調症や躁うつ病といった精神病や、覚せい剤中毒などを理由に、被告人の心神喪失・心神耗弱を弁護人が主張するようなケースです。 精神鑑定を実施したからといって、裁判所は、必ずしも精神鑑定の結果に縛られた判断をしなければならないわけではありませんが、とくに合理的な事情がない場合は、鑑定の結果を十分に尊重して判断する必要があると考えられています。

記事のタイトルとURLをコピー