刑務所から逃走した場合の罪|逃走罪が成立する要件と刑罰の内容

有罪判決を受けて服役中に刑務所から逃げ出したり、被疑者や被告人として勾留されている施設から逃げ出したりすると、逃走罪という罪にあたります。

  • 逃走罪とは
  • 逃走罪が成立する要件
  • 刑罰の重さ

この記事では、これらのポイントについて、詳しく解説します。

目次

  1. 「逃走罪」とは
  2. 逃走罪が成立する要件
    1. 「裁判の執行により拘禁された既決の人・未決の人」とは
    2. 「逃走」とは
  3. 加重逃走罪が成立する要件
    1. 「勾引状の執行を受けた者」とは
    2. 「拘禁場や拘束のための器具を損壊」とは
    3. 「暴行や脅迫」とは
    4. 「2人以上で通謀」とは
  4. 逃走罪の刑罰

「逃走罪」とは

有罪判決を受けて服役中に刑務所から逃げ出したり、被疑者や被告人として勾留されている施設から逃げ出したりすると、「逃走罪」という罪にあたります。 逃走するときに、身体を拘束する器具や施設を破壊したり、施設の職員などに対して暴行・脅迫したりした場合や、2人以上で協力して逃走した場合は、より刑罰が重い「加重逃走罪」が成立します。 加重逃走罪と区別する意味で、通常の逃走罪のことは「単純逃走罪」と呼ばれています。

逃走罪が成立する要件

逃走罪が成立する要件は、「裁判の執行により拘禁された既決の人・未決の人」が「逃走」することです。

「裁判の執行により拘禁された既決の人・未決の人」とは

「裁判の執行により拘禁された既決の人・未決の人」とは、次のような人のことです。

  • 刑事裁判で有期刑(懲役・禁錮・拘留)や無期懲役、死刑が言い渡され、刑務所や拘置所などの刑事施設に収容されている人(労役場に留置された場合も含む)
  • 留置場や拘置所などの施設に勾留されている被疑者・被告人

「拘禁(こうきん)」とは、身体の自由が拘束されていることを意味しますが、次のような人も、拘禁されている状態に含まれます。

  • 刑務所の構外で農作業を行なっている人
  • 移送や出廷のために護送中の人
  • 病気やケガで病院などに入院中の人

逮捕されて収容されている人は「裁判の執行により拘禁された既決の人・未決の人」に含まれないので、逃走しても逃走罪は成立しません。ただし、逃走するときに器具・施設の破壊や、職員への暴行・脅迫などをした場合は、後ほど説明する「加重逃走罪」が成立します。

「逃走」とは

「逃走」とは、刑務所から逃げ出すなど、拘禁された状態から離脱することです。

加重逃走罪が成立する要件

加重逃走罪が成立する要件は、「逃走罪の対象となる人」または、「勾引状の執行を受けた者」が、次のようなことをして、逃走することです。

  • 拘禁場や拘束のための器具を損壊
  • 暴行や脅迫
  • 2人以上で通謀

「勾引状の執行を受けた者」とは

「勾引状の執行を受けた者」とは、次のような人のことです。

  • 尋問などのために、強制的に裁判所・警察署などへ連行されている被疑者・被告人
  • 正当な理由がないのに裁判所からの呼び出しに応じないため、裁判所へ連行されている証人
  • 裁判所から身体検査を行うために呼び出されたのに応じなかったため、裁判所などに連行されている被告人以外の人
  • 逮捕状の執行を受けた人(現行犯逮捕された人や、緊急逮捕されてから逮捕状が発行される前の人は含まれない)

「拘禁場や拘束のための器具を損壊」とは

「拘禁場」とは、被告人や被疑者などを拘禁する施設のことです。 「拘束のための器具」とは、被告人や被疑者などの身体を拘束するための器具で、捕縄や手錠、拘束衣などがあります。 拘禁場や拘束のための器具を「損壊」することが加重逃走罪の要件なので、鍵を使って手錠を外したり、扉を開けて逃走したような場合は、「損壊」したことにあたりません。

「暴行や脅迫」とは

ここでいう「暴行や脅迫」は、拘禁場の警備を行う看守者などに対して、逃走の手段として、暴行や脅迫をすることです。 看守者が逃走を阻止することを妨害できるほどの暴行・脅迫でなくても、加重逃走罪が成立します。

「2人以上で通謀」とは

「2人以上で通謀」とは、2人以上が同じ機会を利用して、逃亡しようとする意思を申し合わせておくことです。 逃走しようとしている人全員が、「逃走罪の対象となる人」か「勾引状の執行を受けた者」にあたることが必要です。 「逃走罪の対象となる人」か「勾引状の執行を受けた者」にあたる人が1人だけで、何人かが協力し、その人を逃がそうとすることは、「通謀」にあたりません。

逃走罪の刑罰

逃走罪の刑罰は、1年以下の懲役です。 加重逃走罪の刑罰は、3か月以上5年以下の懲役です。 これらの罪は、未遂の場合も処罰されます。

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