わいせつ物頒布等罪はどのような犯罪かl罪が成立する要件と刑罰の内容

わいせつな小説や画像を、売ったり、貸したりすると、わいせつ物頒布等罪という犯罪にあたります。 販売したり有料で貸したりする目的で、わいせつな文書やデータなどを所持・保管した場合も罪に問われます。 この記事では、わいせつ物頒布等罪がどのような場合に成立するのか解説します。

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目次

  1. わいせつ物頒布等罪とは
    1. 「わいせつ」の定義
    2. 「文書、図画、電磁的記録にかかわる記録媒体その他の物」とは
  2. わいせつ物頒布罪とは
  3. わいせつ物公然陳列罪とは
  4. わいせつ電磁的記録等送信頒布罪とは
  5. わいせつ図画販売目的所持罪とは
  6. わいせつ電磁的記録有償頒布目的保管罪とは
  7. わいせつ物頒布等罪の刑罰

わいせつ物頒布等罪とは

わいせつ物頒布等罪は、次のようなことをしたときに成立します。

  • わいせつな小説・写真集・DVD・データなどを売ったり、貸したり、譲り渡したりするなどしたとき(わいせつ物頒布罪)
  • わいせつな小説・写真集・DVD・データなどを店舗などに陳列したり、わいせつな映画を上映したり、インターネット上に公開したりしたとき(わいせつ物公然陳列罪)
  • メールやFAXなどの通信を利用して、わいせつな小説・写真集・DVD・データなどを売ったり、貸したり、譲り渡したりするなどしたとき(わいせつ電磁的記録等送信頒布罪)
  • 有償で売ったり貸したりする目的で、わいせつな小説・写真集・DVDなどを所持したとき(わいせつ図画販売目的所持罪)
  • 有償で売ったり貸したりする目的で、わいせつな画像などのデータを記録媒体に記録したり、外部のレンタルサーバーなどに保存してたとき(わいせつ電磁的記録有償頒布目的保管罪)

「わいせつ」の定義

「わいせつ」の定義について、最高裁の判例は、次の3つの要素をみたすものとの判断を示しています。

  • いたずらに性欲を興奮させたり、刺激したりするもの
  • 一般の人の正常な性的羞恥心を害するもの
  • 一般の人の性的道義観念に反するもの

ただし、何が一般人にとって「正常な性的羞恥心を害する」のか、「性的道義観念に反する」のかは、時代や社会に応じて変化しうるものと考えられます。 そのため、その時代の価値観や道徳観などによって、実際の裁判でも、わいせつ物にあたるかどうかの判断は流動的に変わる可能性があります。 過去の裁判ではいったん「わいせつ物」だと判断されたものが、現代では、普通に誰もが手に取ることができるものもあります(イギリスの小説『チャタレイ婦人の恋人』など)。

「文書、図画、電磁的記録にかかわる記録媒体その他の物」とは

文書とは、小説などです。 図画とは、漫画本や写真、絵画、映画フィルム、ビデオテープなどです。 電磁的記録にかかわる記録媒体とは、パソコンによって情報を記録できるディスクなどのことです。具体的には、DVDやCDなどです。 その他の物の例としては、彫刻や、録音テープなどがあげられます。

わいせつ物頒布罪とは

わいせつ物を、不特定または多数の人に頒布した場合に成立します。頒布というのは、販売したり、譲り渡したり、貸したりすることです。有償か無償かは問われません。 グループの会員限定など、一見特定の人に限定して頒布しているようにみえる場合であっても、誰でもそのグループに入会できる場合は、不特定の人に頒布したと判断した裁判例があります。

わいせつ物公然陳列罪とは

わいせつ物を公然と陳列した場合に成立します。公然と陳列するというのは、不特定または多数の人が認識できる(見たり聞いたりできる)状態にすることです。 たとえば、ビデオや映画の上映、録音テープの再生などです。わいせつな画像をインターネット上に公開することも、「公然と陳列する」にあたるとした判例があります。

わいせつ電磁的記録等送信頒布罪とは

メールやファックスなどによって、不特定または多数の人に、わいせつな画像や映像を送信するなどした場合に成立します。 わいせつな画像や動画のデータファイルを、海外のサーバーに保存して、不特定の人にダウンロードさせてパソコン上に保存させることも、頒布にあたるとした判例があります。

わいせつ図画販売目的所持罪とは

わいせつな物を、有償で頒布する、つまり販売したり有料で貸したりする目的で所持した場合に成立します。 「タダで人にあげる」「無料で貸す」など、有償で頒布する以外の目的で所持している場合には罪にはなりません。 ただし、所持しているものが児童ポルノにあたる場合には、自己の性的好奇心を満たす目的があれば、所持しているだけで改正児童買春・児童ポルノ禁止法で定める児童ポルノ単純所持罪が成立します。

わいせつ電磁的記録有償頒布目的保管罪とは

わいせつな映像などのデータを、販売したり有料でレンタルしたりする目的で、パソコンのサーバなどに保存・保管した場合に成立します。 「タダで人にあげる」「無料で貸す」など、有償で頒布する以外の目的で保管している場合は罪にはなりません。 ただし、保管しているデータが児童ポルノにあたる場合には、自己の性的好奇心を満たす目的があれば、保管しているだけで改正児童買春・児童ポルノ禁止法で定める児童ポルノ単純保管罪が成立します。

わいせつ物頒布等罪の刑罰

わいせつ物頒布等罪が成立する場合の刑罰は、2年以下の懲役または250万円以下の罰金もしくは科料(1000円〜9999円の金額を納めさせる刑罰)です。懲役と罰金の両方が科せられる場合もあります。

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