
公正証書原本不実記載罪・電磁的公正証書原本不実記録罪とはどのような罪か
戸籍などの公的な書類を作成するときに、公務員に虚偽の内容を伝えて、事実と異なる内容の記載をさせると「公正証書原本不実記載罪」や「電磁的公正証書原本不実記録罪」にあたります。
- 公正証書原本不実記載罪とは
- 電磁的公正証書原本不実記録罪とは
- それぞれの罪が成立する要件
- 刑罰の重さ
この記事では、これらのポイントについて詳しく解説します。
目次
公正証書原本不実記載罪とは
戸籍などの公的な書類を作成するときに、公務員に虚偽の内容を伝えて、事実と異なる内容の記載をさせると「公正証書原本不実記載罪」にあたります。
電磁的公正証書原本不実記録罪とは
戸籍などの公的な書類を作成するときに伝えた虚偽の内容が、コンピューターなどに記録された場合には「電磁的公正証書原本不実記録罪」にあたります。
公正証書原本不実記載罪が成立する要件
公正証書原本不実記載罪が成立する要件は、「公務員に虚偽の申立て」をして、以下のようなことをする場合です。
- 権利・義務に関する公正証書の原本に事実と異なる記載をさせる
- 免状や鑑札、旅券に事実と異なる記載をさせる
「権利・義務に関する公正証書の原本」とは
「権利・義務に関する公正証書の原本」とは、公務員が職務として作成する文書のうち、権利や義務に関する事実を証明する効力がある文書です。 たとえば、以下のような文書があります。
- 登記簿
- 戸籍簿
- 住民票
- 外国人登録原簿
- 公証人が作成する公正証書
「免状や鑑札、旅券」とは
ここでいう「免状」は、国や地方自治体の役所や公務員が作成する証明書のことです。自動車運転免許証や狩猟免許などが免状にあたります。 「鑑札」とは、役所に許可・登録されたことを証明する文書のことです。犬の鑑札や質屋の許可証などが鑑札にあたります。 「旅券」とは、パスポートのことです。
公正証書原本不実記載罪の刑罰
公正証書原本不実記載罪の刑罰は、権利・義務に関する公正証書の原本に事実と異なる記載をさせた場合、5年以下の懲役か、50万円以下の罰金です。
免状や鑑札、旅券に事実と異なる記載をさせた場合は、1年以下の懲役か、20万円以下の罰金です。
公正証書原本不実記載罪は、未遂でも処罰されます。
電磁的公正証書原本不実記録罪が成立する要件
電磁的公正証書原本不実記録罪が成立する要件は、公務員に虚偽の申立てをして、権利・義務に関する公正証書の原本に使われる電磁的記録に事実と異なる記録をさせることです。
「公正証書の原本に使われる電磁的記録」とは
「公正証書の原本に使われる電磁的記録」とは、登記簿・戸籍簿・住民票・外国人登録原簿・公正証書などの文書の内容を、コンピューターで扱うためにDVDやCD、フロッピーディスクなどに記録したものです。 住民基本台帳ファイルや戸籍簿ファイルなどがあります。
電磁的公正証書原本不実記録罪の刑罰
電磁的公正証書原本不実記録罪の刑罰は、5年以下の懲役か、50万円以下の罰金です。
電磁的公正証書原本不実記録罪は、未遂でも処罰されます。