殺意を否定しても殺人罪にあたる場合|殺人罪の故意が認定されるポイント

人を死なせてしまった場合、殺人罪にあたるかどうかは、被害者を殺そうとする意思があったかどうか(殺意の有無)がポイントのひとつになります。 加害者に殺意がないと裁判官が判断すれば、殺人罪で有罪判決を受けることはありません。 この記事では、殺意があると認定されるポイントを詳しく解説します。

目次

  1. 殺意とは
  2. 故意の有無は証拠によって判断される
    1. 攻撃した身体の部分や攻撃の程度
    2. 凶器の種類や使い方
    3. 殺人の動機や犯行前後の言動

殺意とは

殺人罪にあたるかどうかは、殺人の「故意」があったか、つまり、被害者を殺そうとする意思(殺意)があったかどうかがポイントのひとつになります。 人を死なせてしまっても、裁判官から「加害者に故意がなかった」と認定されれば、殺人罪で有罪判決を受けることはありません。

ただし、殺意が認められずに殺人罪にあたらないケースでは、傷害致死罪(傷害を負わせた結果、被害者が亡くなった場合に成立する犯罪)などの罪にあたる可能性があります。

故意とは、一般的には「ある行為をわざとする」という意味です。 しかし、法律的な意味の故意は、少し異なります。「犯罪にあたる事実を認識し、かつ、認容している」といえる場合に故意が認められます。 たとえば、人の首を狙ってナイフで刺して死なせてしまったケースで、殺人罪の故意があるかを考えてみましょう。 まず、人の首をナイフで刺したことは自分でわかっているので、殺人罪にあたる事実の認識はあります。 次に、「認容していること」、殺人罪の場合には「相手が死んでも構わない」などと思っていることが必要です。 相手を積極的に殺すつもりがあった場合は、当然、「相手が死んでも構わない」と思っているので、殺人を認容しているといえ、殺人罪の故意が認められます。 相手を積極的に殺そうと考えていない場合でも、少なくとも「死んでも構わない」と考えていた場合は、やはり殺人を認容したといえるので、殺人罪の故意が認められます。 このように、積極的に殺そうとまでは思っていないけれど、死んでも構わないとは思っているケースの故意を、「未必の故意」と言います。 これとは反対に、死んでも構わないとは思っていなかった場合、たとえば人をナイフで刺すときに腕を狙って単に「ケガをさせてやろう」とか「脅かしてやろう」という気持ちはあったけれど、まさか死ぬとは思っていなかったようなケースでは、殺人を認容しているとはいえないので、殺人罪の故意は認められません。

殺意が認められずに殺人罪が成立しない場合には、傷害致死罪などの罪にあたる可能性があります。

故意の有無は証拠によって判断される

加害者に殺人罪の故意があったかどうかについて裁判官は、加害者がどのような凶器を使ったかや、被害者の身体のどこを攻撃したかなどの証拠から判断します。 加害者が「被害者を殺すつもりはなかった」と主張しても、使用した凶器などによっては、「故意があった」と判断される可能性があります。 加害者に故意があったかどうかについて、裁判官は、次のようなポイントから判断します。

  • 攻撃した身体の部分や攻撃の程度
  • 凶器の種類や使い方
  • 殺人の動機や犯行前後の言動

それぞれのポイントについて解説します。

攻撃した身体の部分や攻撃の程度

首や胸、腹部などの身体の中心部を攻撃した場合、手足に比べて致命傷になる可能性が高いので、「故意があった」と判断される可能性が高くなるでしょう。 また、身体の深くまで傷をつけたり、何度も攻撃したりしたような場合も、故意があったと判断される可能性が高くなります。

凶器の種類や使い方

使用した凶器の殺傷能力の高さや、凶器の使い方によって、故意があったと判断されるかどうかが変わってくる場合があります。 たとえば、刃物を使って攻撃した場合を考えてみましょう。 刃先がとがっていない、または刃渡りが短い刃物より、刃先がとがっていたり、刃渡りが長かったりする刃物の方が、故意があったと判断される可能性が高まるでしょう。 凶器の使い方については、刃物で身体を突いたり、刺したりするなど、より致命傷になりやすい方法で攻撃した場合は、故意があったと判断されやすくなります。

殺人の動機や犯行前後の言動

被害者に対する強い怒りなど、殺意を抱く理由があったかどうかも、故意の有無を判断されるときのポイントです。 犯行前後の言動としては、犯行前や途中に「殺してやる」と叫んでいたような場合は、攻撃する意思が強かったとして、故意があったと判断されやすくなるでしょう。 また、犯行後、被害者が血を流して倒れているのに、手当をしたり、救急車を呼んだりするなど、救助するための行動をしていなければ、故意があったと認められやすくなります。

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