公務執行妨害

弁護士監修記事 2016年05月26日

公務執行妨害罪とはどのような犯罪か?罰金や懲役の量刑相場や逮捕・勾留・起訴の流れ

警察官などの公務員に対して暴行や脅迫行為をした場合、公務執行妨害罪として処罰されます。ここでは、いかなる条件で公務執行妨害罪が成立するのか、どのような刑罰が科せられるのかについて説明いたします。 ※下記に記載する数値は、検察庁統計年報と司法統計に基づき算出しています。

目次

  1. 公務執行妨害とは
    1. 公務執行妨害罪の量刑相場
  2. 公務執行妨害罪での逮捕後の流れ
  3. 公務執行妨害罪における弁護活動

公務執行妨害とは

公務執行妨害罪とは、警察官などの公務員に対して、その職務を行わせないように妨害する行為に対して成立する犯罪です。刑法の条文では次のように規定されています。

公務員が職務を執行するに当たり,これに対して暴行又は脅迫を加えた者

刑法95条1項

条文にも記載がないように、必ずしも「妨害」という結果が生じなくとも、「妨害されそう」という危険さえあれば公務執行妨害罪は成立します。また、ここでの「暴行」とは、一般的な意味の「暴行」よりも幅広い意味を持ち、公務員の身体に直接触れなくとも成立します。 公務執行妨害罪に該当するような行為は次のようなものが挙げられます。

  • 役所で書類が受理されないことに腹を立てて職員を殴る
  • 職務質問を受けているときに警察車両を蹴る
  • 警察官が差し押さえた証拠物を奪い取って破壊する

公務の執行を妨害した際に、公務員に怪我をさせてしまった場合は、傷害罪も成立することになります。また、死亡させてしまった場合は傷害致死罪に問われることになります。 公務執行妨害罪を犯した場合の刑罰は、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金と定められています。

公務執行妨害罪の量刑相場

公務執行妨害罪の量刑相場は、まず略式起訴・略式裁判になるか、正式な裁判となるかで大別されます。 略式裁判とは、被告人が罪を認めることを前提に、一度裁判所に出廷するだけで手続きを集結させられる裁判のことを言います。略式裁判となった場合は罰金刑となります。そして、略式裁判とされた事件のうち、罰金30万円以上50万円未満がおよそ65%、罰金20万円以上30万円未満がおよそ25%となっています。 正式な裁判となった場合は、そのうちおよそ85%が懲役刑となっています。そして、懲役刑のうちおよそ94%が6か月以上2年未満となっています。また、懲役刑のうちおよそ65%は執行猶予つきの判決となっています。 正式な裁判のうち、残りのおよそ15%は罰金刑ですが、その相場は略式裁判における相場と同様なものとなります。

公務執行妨害罪での逮捕後の流れ

公務執行妨害罪で逮捕され、検察に送致された事件のうち、勾留により引き続き身体拘束される割合はおよそ75%となっています。勾留は逃亡のおそれや証拠を隠滅するおそれのある場合に認められる長期の身柄拘束です。 最長で20日間拘束されることになりますが、一般の被害者のいない公務執行妨害罪では他の犯罪よりも比較的拘留期間が短く、勾留事件のうち半数以上が10日以内の勾留となっています。 勾留後、起訴されるかどうかは検察官によって判断されます。検察に送致された事件のうち起訴される事件の割合はおよそ45%です。したがって、およそ55%は不起訴となり前科が付くことも処罰されることもありません。 起訴された場合は、正式な裁判か略式裁判のいずれかになります。罰金刑となるような場合は、検察官から説明を受けた上略式裁判となります。起訴された事件のうちおよそ54%が略式裁判となっています。 起訴後も証拠隠滅のおそれや逃亡のおそれがある場合は、勾留される可能性もあります。勾留された場合は、保釈金を準備し、保釈の申請を行います。裁判所によって保釈が許可されれば、開放されます。保釈金の額については、被告人の資産状況などを考慮して決められます。 裁判になったとしても、前科がなかったり、軽微な暴行等であれば罰金や執行猶予がつく可能性が高いです。一方、前科があったり、公務員に大きな怪我を負わせてしまった場合は執行猶予のない実刑判決が下される可能性が高まります。 実刑で懲役または禁錮が科せられた場合は直ちに刑務所へ行くことになります。執行猶予中の犯行であれば猶予されていた刑も合わせて科されることになってしまうので長期間刑務所へ行かなければならないことになります。

公務執行妨害罪における弁護活動

検察に送致された場合、検察官の取り調べなどを経て、起訴される割合はおよそ45%と他の犯罪と比較して低めとなっています。まずは不起訴処分を目指すことになります。特に軽微な暴行で公務員に怪我がないような場合は、反省の姿勢を示すことで不起訴で済む場合もあります。 起訴される場合であっても、事実を認めた上で反省の態度を示すことで、初犯であれば略式裁判となることもあります。略式裁判は、一度出廷するだけで終わるので、正式な裁判と比較した場合、被告人に対する負担は少ないです。しかし、証人尋問などをすることはできないなどと言った一定の制約もありますので、検察官からの説明をよく聞き、弁護士に相談するなどして慎重に判断しましょう。 正式裁判になる場合も執行猶予を獲得できれば、実刑の場合と違って刑務所へ行かずに済みます。犯行に及んでしまった経緯や悪質性が高くなかったことの他、反省の態度を示し、再犯を犯さないことなどを誓約することが重要です。公務執行妨害罪の場合、必ずしも弁護人が必要というわけではないので、一人で臨む場合は、一度弁護士からのアドバイスを受けるのも良いでしょう。

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