<美濃加茂市長事件>贈賄側社長の知人が証言「渡すものは渡したと言っていた」
公判に赴く美濃加茂市の藤井浩人市長(左)と弁護団

<美濃加茂市長事件>贈賄側社長の知人が証言「渡すものは渡したと言っていた」

受託収賄罪などに問われている岐阜県美濃加茂市の藤井浩人市長に対する公判が10月16日、名古屋地裁で開かれ、検察側の証人尋問が行われた。贈賄側の浄水設備会社「水源」の中林正善社長に日ごろから金銭を貸していたという知人2人が出廷し、中林社長の言動について証言した。

2人の知人は、中林社長が融資詐欺などに手を染めていることを知らずに合計1億円以上もの金を用立てていた実態を明かし、「自分もだまされていた」と認めた。その一方で、藤井市長に対する現金授受については「(中林社長本人が)渡すものは渡したと言っていた」「どうしても渡したいと熱心だった」などと話した。(ジャーナリスト/関口威人)

●「恩を売りたいので金を渡したい」と頼まれた、と知人が証言

証人2人が中林社長と知り合ったのは、2000年ごろ。うち一人が経営する名古屋市内の飲食店に中林社長が通い始めたのがきっかけで、共通の友人となった。

その後、2006年ごろに、中林社長が当時勤めていた病院で「経理の件で『そそう』をしてしまった」と相談に来たため、2000万円ほど貸したという。以来、2人が中心となって、「水源」の設立資金を含めてた大小の金を工面して、中林社長に融通してきた。その額は、1年前の時点で1億2000万円にのぼった。

2人は「水源」の事業が順調であると思い込み、美濃加茂市での浄水プラント事業についても協力していた。そのうちの1人は昨年4月下旬、中林社長からプラント設置をめぐって「藤井さんに働き掛けをしている。恩を売りたいので金を渡したい」と依頼された。最初は断ったが、4回、5回と頼まれた。最後は「市長選の選挙運動が始まる前に50万円を渡したい」と急かされ、自宅にあった現金を中林社長に直接手渡した。その後、中林社長から「お金を渡すことができた。ありがとう」と電話で報告を受けたという。

だが、中林社長はこれまでの証人尋問で、このときの50万円は月末の生活費などの支払いを念頭に借り、藤井市長への資金工作に充てたのはそのうちの20万円だったとしている。そのうえで、「本当の理由を混ぜて借りた。それがウソだったかと言われたら(知人に)申し訳ない」と述べている。つまり、知人に語った資金の用途と実態にズレが生じていることを、自ら認めているのだ。

藤井市長の弁護人からこの証言を聞かされた知人は「結果としてだまされたのは残念だ」と声を落としていた。

●知人もだましていた中林社長の証言をどう評価するか?

もう1人の知人は太陽光発電に関連した事業をてがけていたため、昨年8月下旬に美濃加茂市内の中学校に設置されたプラントを見に行った。その際、中林社長は「選挙の応援や夜の店の接待などをして、優先的に設置してもらえるようにしている」「渡すものは渡している」と話していたという。金額を尋ねると「30万円ぐらい」と答えたとのことだ。中林社長は相手の名前を口にしなかったが、すでに市長に就任していた「藤井さんだと思った」と、知人は証言している。

この点は、中林社長が「最初に10万円、次に20万円の計30万円を渡した」と供述していることと符合する。しかし、この知人も、中林社長の融資詐欺の詳細を逮捕後の報道などで知り、「僕もだまされていた」と感じたという。

長年、尽力してくれた親しい知人をも欺き続けていた中林社長の証言は、客観的に見て信用性が極めて低いと思われる。だが、中林社長が藤井市長に現金を渡すため、周囲を巻き込んで手を尽くしていたという点については、これまでの証人尋問で崩れていないといえるだろう。

一連の工作は市長のあずかり知らぬところで行われた1人芝居だったのか。現金は藤井市長の目の前に突き付けられたのか。それとも――。次回の公判の被告人質問で、藤井市長が何を語るのか注目される。

(弁護士ドットコムニュース)

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