人気バンドのメンバーがそろって「職質」を受けていた――。氣志團のボーカル・綾小路翔さんが、ゴールデンボンバーの鬼龍院翔さんとともに、東京都内の路上で職務質問を受けたことをツイッターで報告し、話題となっている。
綾小路さんによると、5月20日。東京都内で鬼龍院さんと食事を終え、路上を歩いているときに警察官から職務質問を受けたそうだ。鬼龍院さんから「絶対翔さんのせいですよ・・・」と言われたため、「お互い様だろ!」と反論。警察官に職務質問を受けた理由を聞くと、綾小路さんの歩き方が不審だったからと告げられたそうだ。
今回、綾小路さんと鬼龍院さんは、素直に職務質問に応じたようだ。しかし、急いでいるなどの理由で、職質に応じたくない場合もあるだろう。そんなとき、断ることはできないのだろうか。刑事手続きにくわしい小西憲太郎弁護士に聞いた
●職務質問は「任意の協力」が原則
「職務質問について、警察官職務執行法2条1項は、次のように定めています。少し長いですが、紹介します。
『警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる』
この中に、警察官は『停止させて質問することができる』とありますが、職務質問は、対象者の『任意の協力』で行われるのが、原則です」
だったら、用事があって急いでいるような場合、断ってもいいのだろうか。
「任意の協力と先ほど説明しましたが、実際はそう簡単にはいかないかもしれません。
判例は、違反容疑の蓋然性(確実性)、職務質問をする必要性、緊急性、相当性があれば、『強制にわたらない限り相手方に対する説得を継続するために必要な範囲内』での一定の実力を行使することを認めています。
ですから、むげに断ってしまうと、『何らかの犯罪を犯し』たとの嫌疑が高まり、無理にでも引き留められるかもしれません。
そのため、警察官の職務質問には、なるべく誠実に対応したほうがよいでしょう」
小西弁護士はこのように述べていた。たしかに警察官に質問されて、毅然と断るのは難しいかもしれないが、職務質問があくまでも任意のものであり、強制ではないということは、頭に入れておいてよいだろう。