執行猶予とは?執行猶予の要件やメリット、獲得するための対処法

一時の気の迷いで犯罪を犯してしまったら、罪を認め反省し、罪を償う代わりに、刑務所に入りたくない、早く日常に戻りたいと思うことも多いでしょう。そういった加害者への更生の道として、「執行猶予」という制度があります。ここでは執行猶予とはどういった制度か、執行猶予を得るためにはどうしたら良いのかを説明します。

目次

  1. 執行猶予とは
  2. 執行猶予を得るための要件
  3. 執行猶予と前科や再犯
  4. 執行猶予を得るための対処法

執行猶予とは

執行猶予とは、有罪判決の一種ですが、刑の執行の前に1年から5年の猶予期間を定めて、その期間中に再び罪を犯さなければ、言い渡された刑が消滅するという制度です。実刑といわれる執行猶予の付かない刑と違い、刑務所に行かなくて済み、そのまま日常生活が送れます。 ただ、そのままの日常生活といっても若干の制限はあります。有罪であることには変わりなく、前科は付くこととなります。前科が付くと、資格取得や就職において一定の制限がかかってしまいます。詳しくは「前科・前歴とは?不起訴処分を獲得し前科をつけないための対処法」をご覧ください。 なお、執行猶予期間中に再度罪を犯し、禁錮以上の実刑に処せられた時には執行猶予は自動的に取り消しとなります。また罰金刑に処せられた時でも取り消しとなることがあります。

執行猶予と保護観察

保護観察とは、犯罪を犯した人に対して、刑務所などの刑事施設外での更生を促すために、刑を科さずに釈放した上で、「保護観察官」や「保護司」の指導・観察を受けさせるという処遇です。もっぱら、少年事件や仮釈放された場合に利用されることが多いのですが、この執行猶予に対しても活用されます。 執行猶予も保護観察もともに刑事施設ではなく、社会の中で犯罪を犯した人に対する更生を図っていく制度ということで、共通性があります。 裁判所の判断で執行猶予と合わせて保護観察処分を付けることができる他、執行猶予中に再度の執行猶予を付ける場合には、法律上保護観察を合わせて行うことが義務付けられています。 保護観察処分を受けると、保護観察官および保護司による指導監督を受ける義務があるほか、生活実態についての報告義務や、転居や7日以上の旅行などの際に許可を受ける必要があるなど、若干の生活制限があります。 なお、この保護観察期間中に重大な遵守事項違反があれば執行猶予が取り消しになることもあります。

執行猶予を得るための要件

判決に執行猶予が付けられるのは宣告された刑が、3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金刑の場合です。こうした比較的軽い刑に対して、裁判所の裁量で、「情状により」執行を猶予することができるのです(刑法25条)。 なお、法文上、罰金刑も掲げられていますが、罰金刑で執行猶予がなされるのは珍しく、懲役・禁錮の刑に付けられるのが一般的です。 初犯者が主な対象となりますが、前に禁錮以上の刑に処せられたことがあったとしても、その執行が終わったか、執行の免除を得た日から5年経過した人に対しても裁判所は執行猶予を付けることができます。 また、現在禁錮以上の刑で執行猶予中の人の場合でも、保護観察付きでない場合には、例外的に「再度の執行猶予」をすることができます。ただし、この場合、今回の宣告刑が「1年以下の禁錮または懲役」とより軽い罪に限られ、「情状に特に酌量すべきものがあるとき」と厳しく制限されます。現実にはこの「再度の執行猶予」がされることは稀です。

執行猶予と前科や再犯

執行猶予になり、期間が無事過ぎると、刑の宣告の効果は将来にわたって消滅し、その刑を受けることはなくなりますが、過去に遡って罪がなくなるわけではありません。したがって前科は消えません。 また、その後に再び罪を犯した場合、情状面で不利に判断されることになり、似た種類の罪を犯した場合には厳しい判決が予想されます。

執行猶予を得るための対処法

執行猶予はあくまでも裁判所の「裁量」で、罪の種類や罪を犯した人、あるいは被害者側の個別事情を汲んだケース・バイ・ケースの「情状」や「更生可能性」の判断が中心となります。

情状に訴える

執行猶予は裁判官の情状によって付けられるものです。「十分に反省し、罰せずとも罪を償うことができる」と判断される必要があります。 具体的には、被害者がいるのではあれば、示談交渉を通じて金銭で被害を弁償し、誠心誠意の謝罪によって許しを得ることで、当事者間で問題を解決しておくことが重要です。もし示談に応じてもらえなくとも、弁護士会への「贖罪寄付」によって反省を示すことは可能です。 また、謝罪と反省の気持ちを強く表すために、加害者本人が率直な気持ちを綴った上申書や反省文を提出することも有効です。

犯罪の内容から更生可能性を主張

執行猶予の目的が、社会の中で更生を目指すことであるため、更生可能性が高ければ高いほど執行猶予が認められる可能性が高まります。 計画的あるいは常習的な犯行ではなく、突発的な犯行であったり、共犯事件で首謀者ではないことを裁判所に納得させられれば、そうであった場合よりも更生可能性が高いと判断されやすいでしょう。 また、更生の意思を明らかにし、本人はもちろん家族や周囲の協力を宣誓し、今後の具体的な再発防止策を講じていることも重要です。

執行猶予を得るには、こうした活動が必要不可欠です。一方で、被害者と直接示談できることは稀で、弁護士を代理人としないと応じてくれないケースがほとんどです。また、更生可能性を主張することは簡単ですが、必ずしも信頼されるとは限らず、ときには証拠をもって証明する必要もあるでしょう。 限られた時間の中で、こうした適切な対処を行うのは難しく、いずれ弁護士の力が必要となるため、罪を犯してしまった、もしくはご家族が逮捕されてしまった場合には、なるべく早く刑事弁護に精通した弁護士に相談することをおすすめします。

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