債務の承認があった場合は時効の援用が出来ない。ではこの場合は?

債務の時効を迎えた場合、時効を援用すれば債務履行はしなくてもよい、つまり一般的にいうところの「時効が成立した」となります。
しかし、援用が出来ない場合がある、と聞きます。
そのうちの一つが
「債務の承認があった場合」 具体的には、1円でも返済をすると「債務の承認」となるので注意が必要、
と聞きました。(間違っていたらご指摘ください)

では、債務者が
”返済や支払は一円もしていないが、支払の必要がある、との認識を示していた場合”
というのはどうでしょうか?
債務者が債権者に対して、あるいは第三者に対して
「いやー、あのカネはまだ払っていないんだけど、いずれは払わにゃいけないのかなー?」
という発言があったとして、これらが録音や電子メールや手紙などの形としてのこる証拠物になっていた場合、これは時効到来後の援用を妨げる「債務の承認があった場合」に該当するでしょうか?
あるいは前述の発言が
「いやー、あのカネはまだ払っていないんだけど、仮に時効到来後であっても、債務者との話し合いで支払の合意ができたら支払うつもりはあるし、反対に時効到来で支払不要となったら支払わないよ」
であった場合、つまり「支払う、踏み倒す、両方の意思があることを表明している場合」はどうなるでしょうか? 「債務の承認があった場合」に該当するでしょうか?
2019年01月25日 21時31分

みんなの回答

鐘ケ江 啓司
鐘ケ江 啓司 弁護士
弁護士ランキング 登録弁護士が過去30日における弁護士ドットコム内で行った活動(みんなの法律相談での回答など)を独自に数値化、ランキングしたものです。 福岡県1
ありがとう
正確には、時効期間経過以後の債務の承認については、それ自体で時効が中断して再開するといったものではないです。あくまで、債務の承認をすることで、「信義則上」時効援用出来なくなるというものです。
そのため、ご質問のような事例についていえば、それがそもそもいわゆる債務の承認にあたるのか、仮にあたるとしても信義則上時効が援用出来なくなるといえるのか、が問題になります。例えば、貸金業者が時効債権を請求して、少額だけ払わせて時効と言わせないようにした場合には、債務者の時効援用が信義則に反するとまではいえないということで時効援用が認められる、というパターンもありえます。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57740
事件番号
 昭和37(オ)1316
事件名
 請求異議
裁判年月日
 昭和41年4月20日
法廷名
 最高裁判所大法廷
裁判種別
 判決
結果
 棄却
判例集等巻・号・頁
 民集 第20巻4号702頁
原審裁判所名
 仙台高等裁判所 秋田支部
原審事件番号
 昭和35(ネ)153
原審裁判年月日
 昭和37年8月29日

判示事項
 一 消滅時効完成後に債務の承認をした場合において右承認はその時効の完成を知つてしたものと推定することの可否
二 消滅時効完成後における債務の承認と当該時効援用の許否

裁判要旨

 一 消滅時効完成後に債務の承認をした場合において、そのことだけから、右承認はその時効が完成したことを知つてしたものであると推定することは許されないと解すべきである。
二 債務者が、消滅時効完成後に債権者に対し当該債務の承認をした場合には、時効完成の事実を知らなかつたときでも、その後その時効の援用をすることは許されないと解すべきである。

2019年01月25日 22時18分

相談者
ご回答ありがとうございます。

えーと、私の質問が読みにくかったかもしれませんが、私の質問では
「時効期間経過以前」に、
支払の意向を表明した
あるいは
支払の意向と踏み倒しの意向の両方を表明した、
のであって、
「時効期間経過以後」に、
支払の意向を表明した
あるいは
支払の意向と踏み倒しの意向の両方を表明した、
のではありません。

頂いたご回答では

>正確には、時効期間経過以後の債務の承認については、それ自体で時効が中断して再開するといったものではないです。あくまで、債務の承認をすることで、「信義則上」時効援用出来なくなるというものです。

とありますが、時効期間経過以前ではどうなるでしょうか?

それとも
「払わにゃイカンとは思ってる」とか
「払わにゃイカンとは思ってるが、踏み倒せるなら踏み倒したい」
という事を口に出す、書面に残す、程度のことなら
そもそも
「具体的な行動には移っていないので
 その程度の意思の吐露は、債務の承認に該当しない。」
でしょうか?

引き続きご回答いただけたら幸いです

2019年01月26日 12時08分

鐘ケ江 啓司
鐘ケ江 啓司 弁護士
弁護士ランキング 登録弁護士が過去30日における弁護士ドットコム内で行った活動(みんなの法律相談での回答など)を独自に数値化、ランキングしたものです。 福岡県1
ベストアンサー
ありがとう
第三者に対するものではダメですが、債権者に対してであれば債務の承認になりえると思います。参考文献を引用します。

「我妻・有泉コンメンタール民法 第3版」(2013年)309頁

「消滅時効における「承認」とは、時効の利益を受ける当事者が時効によって権利を喪失する者に対し、その権利が存在することを知っている旨を表示することである。このような表示があれば、権利が存在することは明瞭になるばかりでなく、権利者がこれを信頼して権利の行使を差し控えても、権利の行使を怠っているということにはならないから、 これを中断事由としたのである。したがって、権利が存在していることを知っている旨の表示があればよく、時効を中断しようとする意思を必要としない(大判大正8・4・1民録25"643頁)。また、承認は、他の中断事由と異なり、なにも形式上の制限がない。支払いを猶予して欲しいという申込みは、つねに承認となる(大判昭和4.5.20裁判例(3)民86頁)。そのさいに、時効の進行状態を知っているかどうかは問題にならない(@146(3]参照)。利息の支払は元本の承認となり(大判昭和3・3.24新聞2873号13頁)、一部の弁済も、それが一部であることを認めてすれば、全部についての承認となる(大判大正8. 12.26民録25輯2429頁。なお、最判昭和36.8.31民集15巻2027頁は、償務の一部弁済として振り出された小切手が支払われれば、承認となるとしたものである)。訴訟上相殺を主張したことが受働債権についての承認と認められた場合は、相殺の主張が撤回されても、すでに生じた承認の効力は失われない(最判昭和35・ 12・23民集14巻3166頁)。手形債務の承認の場合にも債権者による手形の呈示は必要としない(前掲大判昭和3.3.24)。
ただし、承認は相手方に対して表示されることを要する。」

2019年01月26日 12時47分

相談者
ご回答ありがとうございます。

まだ質問したいことがあるのですが、一つの質問投稿に何度も質問を続けると、ややこしくなるので
また新たに質問を投稿することとします。
ご縁がありましたらまたよろしくお願いします。

2019年01月26日 21時05分

この投稿は、2019年01月25日時点の情報です。
ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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