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突風で「屋根」が吹き飛んだ! ケガ人が出たら、家主の責任はどうなる?
住宅の屋根が飛ぶなど、全国各地で突風の被害が報告されている

突風で「屋根」が吹き飛んだ! ケガ人が出たら、家主の責任はどうなる?

突如発生し、短時間で大きな被害をもたらす「突風」。埼玉県や千葉県をはじめ、全国各地でその被害が報告されているが、11月には秋田県で突風によって住宅の屋根が飛ぶ被害がたびたび起きている。

秋田市では11月7日、突風により住宅の屋根が剥がれ、電柱が折れるなどの被害があいついだ。市の中心部の住宅密集地で発生し、住民から不安の声があがった。また10日には男鹿市のホテルで、突風によってトタン屋根が飛ばされ、窓ガラスが割れるなどの被害が出た。

今回は幸いケガ人が出ていないようだが、飛ばされた屋根が人にあたれば、大ケガになることは想像に難くない。そのような場合、家主はどこまで責任を問われるのだろうか。損害賠償を求められることもあるのだろうか。田村ゆかり弁護士に聞いた。

●第一義的には「家の状態をコントロールできる人」の責任

「もしその家に『瑕疵(かし)』があったせいで瓦が飛ばされ、他の家や車が壊れたり、他人がけがをしたりしたら、その家の『占有者』が損害賠償責任を負うことになります。

たとえ強風や豪雨が原因でも、家に『瑕疵』があったせいで起きた事故であれば、責任を免れることはできません」

田村弁護士はこのように解説する。「瑕疵」や「占有者」とはどういう意味だろうか。

「『瑕疵』はこの場合、家が通常備えているべき安全性・設備を備えていなかったことです。『占有者』というのは、その家に住むなどして、家の状態をコントロールできる立場にある人のことです」

つまり、家の管理を担っている人が、適切なメンテナンス等を怠った場合には、重い責任がのしかかってくる、ということだろう。なお、借家などで、家の「占有者」と「所有者」が違う場合、話が多少複雑になるようだ。

「家の占有者と所有者が別の場合には、それぞれが負う責任の範囲が異なります。

占有者は、『損害の発生防止のために、必要な注意』をしていれば、損害賠償責任を免れます。

もし占有者が必要な注意をしていたのに、それでも事故が起きてしまった場合には、代わりに『所有者』が損害賠償責任を負うことになります」

田村弁護士はこのように解説していた。

いずれにせよ、その家を実際に管理している人の責任は重大だということだろう。他人に迷惑をかけないよう、家のメンテナンスには、十分に注意しなければならないと言えそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

田村 ゆかり
田村 ゆかり(たむら ゆかり)弁護士 でいご法律事務所
経営革新等支援機関。沖縄弁護士会破産・民事再生等に関する特別委員会委員。

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