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これは私じゃない! フェイスブックで増加する「なりすまし」は犯罪でないのか?
友人や知人と簡単に情報を共有するツールとして便利なフェイスブックだが、「なりすまし」が増えているという

これは私じゃない! フェイスブックで増加する「なりすまし」は犯罪でないのか?

代表的なソーシャルメディアとして、日本でも多くのユーザーがいるフェイスブック。友人や知人と簡単に情報を共有するツールとして便利だが、「なりすまし」が大きな問題になっている。

フェイスブックの運営側も対策に乗り出しているが、グラビアアイドルの杉原杏璃さんはそのとばっちりを受けたという。自分が利用しているフェイスブックアカウントが「偽物」と判断され、強制的に停止されてしまったというのだ。これも「なりすまし」による被害といえるだろう。

そもそも、芸能人やスポーツ選手の名前と写真を使って、勝手に「なりすまし」のアカウントを作って情報発信することは、なんらかの犯罪にあたらないのだろうか。神田知宏弁護士に聞いた。

●「なりすましアカウント」の作成は禁じられている

「そのサイトで正確な本人情報が求められているかどうかにもよりますが、本人の情報を入力して偽アカウントを作る行為(会員契約の申込みをする行為)は、私電磁的記録不正作出罪(5年以下の懲役または50万円以下の罰金)になる可能性が考えられます」

神田弁護士は、こう説明する。

フェイスブックの場合、利用規約に《Facebookで虚偽の個人情報を提供したり、許可を得ることなく自分以外の人のアカウントを作成することはできません》とあり、正確な個人情報の提供が求められていると言えそうだ。

なお、たまたま知った本人のID・パスワードでログインして本人になりすます場合は、「不正アクセス禁止法の不正アクセス行為(3年以下の懲役または100万円以下の罰金)となります」と、神田弁護士は指摘する。

それでは、偽アカウントで情報発信する行為についてはどうだろう。これも犯罪にあたるのだろうか。

「偽アカウントを使って何らかの情報を発信すると、その情報発信行為が名誉毀損罪(3年以下の懲役もしくは禁固または50万円以下の罰金)や、信用毀損罪・業務妨害罪(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)になるケースが考えられます。

たとえば、他人を罵倒するような書き込みや、隠れた性癖を告白するような書き込みは、その人に対する社会的評価を低下させるケースもあり、名誉毀損罪となる可能性があります」

●本人から慰謝料などを請求される可能性も

なりすましの被害を受けた人から、民事で訴えられるケースもありそうだ。

「民事では、本人から、精神的苦痛に対する慰謝料や、逸失利益などの経済的損失を損害賠償請求される可能性があります。

慰謝料の金額は書き込みの内容にもよりますが、インターネットの名誉毀損一般では、100万円くらいの判決も珍しくありません。経済的損害は、なりすまされた本人の仕事にどれくらいの影響を与えたかによって金額が決まります」

神田弁護士はこのように述べ、注意を呼びかけていた。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

神田 知宏
神田 知宏(かんだ ともひろ)弁護士 小笠原六川国際総合法律事務所
発信者情報開示請求や削除請求などインターネット上で発生する権利侵害への対処を多く取り扱う。最高裁平成29年1月31日決定(グーグルに対する検索結果削除請求事件)の抗告人代理人をつとめる。2019年に『ネット検索が怖い ネット被害に遭わないために(ポプラ選書 未来へのトビラ)』を出版。 弁護士神田知宏ネット問題サイトURL:https://kandato.jp

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