環境省が推進する「スーパークールビズ」が6月から始まった。今年の特徴は「女性のクールビズ」を初めて提案したところだ。しかし、この「女性版」、あまり評判がよろしくない。報道やネットでも「いまさら」「おせっかい」「余計なお世話」といった反発の声が紹介されている。
注目すべきは「美しく」というポイントを打ち出している点だ。女性版では「涼やかな印象」を与える服や機能性素材の下着着用、「汗をかいても崩れにくい下地」のメイクなども推奨しており、「いったい誰目線での話なのか」という指摘もある。また、当初は洗濯用の香り付き柔軟剤や制汗剤の使用など「臭い対策」にまで言及していたが、市民団体から化学物質過敏症の患者への影響を指摘され、撤回することになったという。
このように散々な出発となった「女性版クールビズ」だが、国主導ということもあり、積極的に導入しようとする職場もあるはずだ。もし職場で、こういった女性版クールビズが半ば強制された場合、指示に従わなければならないのだろうか。三隅珠代弁護士に聞いた。
●「女性版クールビズ」ほど細かく強制すれば「違憲・違法」の可能性が高い
「服装は、原則として、個人の自由です。服装や髪型など個人の外見に関わることについては、自分自身で自由に選ぶことができます。
この権利は日本国憲法第13条の『自己決定権』で認められていると解釈されています。原則として他人が侵害することはできません」
――職場の制服は?
「ただし、職務の内容によっては、その必要性から髪型や服装が制限されることもありえます。典型的には『制服』です。しかしその場合も『自由を不当に制限する』と見なされるようなものはダメです」
――今回の女性版クールビズが、職場で強制されたら?
「一般的に考えて、クールビズをしているかどうかで、仕事の中身に差が付くとは考えにくいです。クールビズを強制すれば、服装や髪型の自由の侵害にあたる可能性が高いと思います。
とりわけ、今回環境省が推奨している『女性版クールビズ』は、髪型や服装、メイクなど、かなり細かいところにまで及んでいます。このように細かい点までを強制することは、違憲・違法の可能性が高いと思います」
当然TPOはあるだろうが、ここまで細かく強制するのは許されないだろうということだ。何が「美しい」のか、役人の考えにおつきあいする必要はどこにもないだろう。