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インターネット回線の「解約電話」がつながらない!利用料金はどうなる?
解約したくても電話がつながらないときは、どうすればいいか?

インターネット回線の「解約電話」がつながらない!利用料金はどうなる?

サポート窓口に何度も電話をかけても、聞こえるのは「ただいま大変混雑しております」という応答メッセージだけ――。インターネット回線などの解約にあたって、腹立たしい思いをした経験はないだろうか。

そもそも、会社によっては解約手続きを電話でしか受けない場合もある。オペレーターとのやりとりを通じて解約を阻止させる狙いなのかもしれないが、手段が限られる分、申込みは集中する。ネットの相談サイトにはインターネット回線の解約電話がかかりづらく、「その間の使用料を請求されるのは腑に落ちない」という利用者の不満の声が寄せられている。

このように、解約を受け付ける会社側の体制に問題があって、電話がつながらない場合、利用者は「本来ならば解約できたはずだった」と主張して、それ以降の支払いを拒否できないだろうか。宮武洋吉弁護士に聞いた。

●解約するためには「解約通知」が運営会社に「到達」しなければいけない

「インターネット回線等の解約を行う方法としては、運営会社との契約に解約方法が定められている場合は、まず、それに従って行うことになります。解約方法としては、電話、メール、郵送等、様々な方法があり得ますが、事例のように、電話でのみ受け付けるとする運営会社もあるようです」

このように宮武弁護士は説明する。では、解約が成立するためには、どんな条件をみたす必要があるだろうか。

「契約を解約するためには、『解約します』という利用者側の意思表示が、相手方(運営会社)に到達していなければなりません。電話がつながらない場合、解約の意思表示が運営会社に到達していませんので、解約はできていません」

つまり、解約が成立するためには、運営会社に「解約の意思表示」が到達しなければいけないが、電話がつながらなければ、その条件はみたせないことになる。「解約できていない以上、電話をかけたあとも、利用料の支払いは拒否できないことになります」というわけだ。

●電話がつながらない場合、解約するにはどうすればいいのか?

しかし、それでは、利用者があまりにも不利だといえる。なにかほかに、利用者がとりうる手段はないのだろうか。宮武弁護士は「消費者契約法」をあげる。「加入者が個人の場合、運営会社との契約に、消費者契約法が適用されます」というのだ。

「消費者契約法10条では、消費者契約(消費者と事業者との間で締結される契約)の条項で、消費者の利益を一方的に害するものは無効とする、と定めています。

今回のケースのような『解約方法を電話のみに限定する』という条項は、実際に電話がかからないという状況に照らせば、消費者契約法10条によって無効とされる可能性があります」

このように、解約方法を電話だけに限定している条項が無効となる可能性を指摘したうえで、宮武弁護士は次のように説明する。

「問題の条項が無効とされた場合、解約方法に限定はなくなりますので、例えば郵送で解約する旨の書面を運営会社に送付して、それが運営会社に到達すれば、それ以降の使用料の支払いは拒否できることになります」

つまり、電話がダメなら、郵送で解約通知を送るという手段が考えられるのだ。しかし、そのような場合でも、解約の意思表示が運営会社に届いて初めて、解約が成立するという点は、注意が必要だ。これからインターネット回線の解約をしようと考えている人は、まず、契約書で解約方法を確認したうえで、どんな手段がとれるか検討してみてほしい。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

宮武 洋吉
宮武 洋吉(みやたけ ようきち)弁護士 立川北法律事務所
第二東京弁護士会多摩支部高齢者・障害者の権利に関する委員会委員長、国分寺市職員懲戒審査会委員、立川市社会福祉協議会第三者後見人等連絡会幹事

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