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日本はお金に関する教育に淡白!?「納税を学校で教えるべきか」税理士57人に聞いた
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日本はお金に関する教育に淡白!?「納税を学校で教えるべきか」税理士57人に聞いた

テレビアニメ化されたネット小説「まおゆう魔王勇者」の原作者が約1億2000万円の所得を隠し、法人税約3000万円を脱税していたとして、東京国税局に告発されたというニュースが、4月に話題になった。報道によると、原作者が社長をつとめる会社の名義で印税を受領していたが、2011年の会社設立時から一切、「税務申告」をしていなかったという。

ツイッターでは「これから個人で創作をしたいという人間は、税金の事もしっかり勉強する必要がありますよ」「納税の義務というのであれば、税金の納め方もちゃんと学校で教えるべき」など、納税について学ぶことをめぐって、議論が起きた。

納税の義務があることだけでなく、納税の「方法」についても、学校で教えるべきなのだろうか。フェイスブック上で、税理士57人に聞いた。

(アンケートの選択肢と回答数)

1)税金の納め方を学校で教えるべき: 52人

2)税金の納め方を学校で教えるべきではない: 4人

3)どちらとも言えない: 1人

アンケートに対して、91%にあたる52人の税理士が「学校で教えるべき」と回答した。回答の中から、いくつかのコメントを紹介する。

●「税金の使われ方も含めて、学校で教えるべき」

李顕史税理士

納税は国民の三大義務のうちの一つです。税金で公務員やおまわりさんの給料が支払われます。一方で、納税額は少ない方が良いと思っている人が大多数でしょう。税金がどのように使われるのかも含めて、広報が必要なのではないでしょうか。広報手段の一つとして、学校で教えるべきだと考えます。

杉山靖彦税理士

納め方ではなく、仕組みを教えた方がいいと思います。

佐原三枝子税理士

私は税理士や会計とは異なる業界から社会に出たので、当時は自分の源泉徴収票を見ても意味すら解りませんでした。税金や投資のことなど、お金に関する教育について、日本の社会はあまりに淡泊だと思います。近畿税理士会でも租税教室を学校で行っていますが、税金の仕組みとそれに対する向き合い方をもっと学校教育に取り入れるべきだと思います。たとえプロに依頼するにしても、基本的なことがわかっているほうがよいと思います。

●「納税することは社会に貢献していることを理解してもらうべき」

風張広美税理士

小学校の租税教室を担当しております。1コマでは足りないです。大人のための租税教室も必要と感じています。

源泉徴収、年末調整のせいで納税意識が低い勤労者たち。納税道義が低い事業者たち。小さな負担で大きな政府を望む国民。納税の本義を理解する場が無いのです。大人のための租税教室が絶対に必要です。

藤井道明税理士

数年前から小学校や中学校の租税教室を行っています。

私の父親も税理士でしたが、30年以上前の私が小さい頃は、租税教室もなく、税理士=税務署と勘違いされ、いじめられるまではいかなくても、よく皮肉を言われたりしました。お父さんが公務員であった友達にも言われていました。(笑)

租税教室で初めて、みんなが快適に暮らしていくための最低限の費用負担が、税金を通して行われるということが分かると思います。私の地元でも、全ての小中学校でまだ租税教室が行われていませんが、一校でも多くの学校で行われるよう、税理士がその役割を担うべきだと思います。

冨田建税理士・不動産鑑定士

教育の肝は下記の5つだと思います。(5)が最も重要です。

(1)社会に存する公共のものは無条件に自然界に存在するものではなく、国民一人一人が支えて初めて存在し得る点

(2)税法は国民をいじめるものではなく、公平性、簡便性に配慮して国民目線にたった最低限の徴税をしている点

(3)世の中の税金には確定申告や法人税申告等、自分で正しく申告すべき税金がある点とその種類

(4)税務署員や税理士は決して国民をいじめる存在ではなく、むしろ適切な納税を支える貴重なアドバイザーである点

(5)稼いだ結果、より多く納税している人は、それだけ社会を支えているから、誇りに思うべきだという点

もちろん、税金が無駄に多いのはイヤですが、税務署員や税理士のアドバイスのもと、適切な申告を通じて公平・適切の範囲で税金を多く払えるということは、自分も稼ぎつつ、社会にも貢献できる意味で、尊敬されるべきことです。でも、それが感じられないからこそ、税務署員や税理士が考え付かないようなルール違反が行われるのだと思います。

ですから、税理士の存在や申告納税の種類を提示した上で、「適切に納税をする事は責任を果たし、社会に貢献している」ことを理解してもらう教育こそ、租税教育に必要だと思います。

(弁護士ドットコムニュース)

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