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DHCに名誉毀損訴訟で「勝訴」したブロガー弁護士が会見「表現が萎縮するとまずい」
折本和司弁護士

DHCに名誉毀損訴訟で「勝訴」したブロガー弁護士が会見「表現が萎縮するとまずい」

みんなの党(解党)の渡辺喜美・元代表の8億円借入問題をめぐる「ブログ記事」で名誉を傷つけられたとして、化粧品大手「DHC」と吉田嘉明会長が、ブログ記事を書いた折本和司弁護士に対して、2000万円の損害賠償と記事の削除、謝罪広告の掲載を求めた裁判の判決が1月15日、東京地裁であった。

本多知成裁判長は判決で「(ブログの記述がDHCや吉田会長の)社会的評価を低下させるという原告らの主張は採用できない」として、DHC側の請求をいずれも棄却した。DHCの広報は弁護士ドットコムの取材に対して「会長とDHCは判決に不服があるので、控訴いたします」とコメントした。

●「青天の霹靂だった」と折本弁護士

勝訴した折本弁護士とその弁護団は、判決を受けて15日午後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いた。

訴訟で問題となっていたのは、折本弁護士が2014年3月29日に自らのブログに掲載した記事。「渡辺喜美が受け取った8億円の意味」と題して、DHCの吉田会長が渡辺元代表に渡したカネがどんな性質を持っていたのかを論じる内容だ。

弁護団の小島周一弁護士は、「ブログが名誉毀損にならないのは、読めば一目瞭然だ。判決も、名誉毀損に当たらないと明確に判断した」と述べた。さらに、「2000万円払えと訴訟を起こすことで、自らへの批判を封じようとしているのではないか。今回の判決を真摯に受け止めて、言論には言論で応じるという、本来の姿に立ち返るべきだ」と指摘した。

折本弁護士は「突然、青天の霹靂(へきれき)だった。気が重くなり、訴訟を起こされる立場のしんどさを実感した」と振り返った。今回、折本弁護士は、ブログを書いた約半月後の4月16日に訴訟を提起されたが、それ以前に、DHC側からの連絡は全くなかったのだという。

自ら書いたブログ記事については、「趣旨は、政治と金についての問題提起だ。今回のような問題に対して、みんなが意見を言えず、議論すらできないとなれば危険だ。表現が萎縮させられるのはまずいと実感している」と話していた。

●ほかにも同様の訴訟が起こされている

折本弁護士のほかにも、「8億円問題」についてブログを書き、DHCと吉田会長から名誉毀損で訴えられている弁護士がいる。6000万円の損害賠償を請求されている澤藤統一郎弁護士だ。同弁護士によると、同様の名誉毀損訴訟は、東京地裁だけで少なくとも10件起こされているという。

この日は澤藤弁護士も司法記者クラブで会見を開き、「今回の判決で裁判官は見識を示したと思う。仮に今日の判決で、請求が一部でも認容されていたら、大変なことだ。政治的な言論の自由が、あり得ないような世の中になってしまう」と話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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