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労働組合の組織率が4年連続過去最低――労組は社会的役割を終えたのか?
労使関係の潤滑油となるべき労働組合であるが・・・

労働組合の組織率が4年連続過去最低――労組は社会的役割を終えたのか?

労働組合の組織率が、4年連続で過去最低を記録した。厚生労働省が12月17日に発表した調査結果によると、今年6月末時点で、組織率の推計は前年同期より0.2ポイント低い17.5%。労働組合員数は2万6000人(0.3%)減の984万9000人だった。

労働組合の組織率は、雇われている人のうち、どれぐらいの人が労働組合に所属しているかという数値。1989年には約25%あったが年々減少。この4年間で組織率は1ポイント低下し、組合員は20万人減少した。

労働組合の組織率が低下している背景には何があるのだろうか。現代の労働者にとって、もはや労働組合は必要ないということだろうか。労働問題に詳しい白川秀之弁護士に聞いた。

●労働組合への加入は、働く人には大きなメリット

「組織率の減少は、正規労働者の減少と非正規労働者の増加が主な原因だと思われます。これまで、終身雇用で正社員が入社と同時に加入していたのが、派遣、契約社員等、非正規雇用が多くなるにつれて、加入する割合が減ってきたのです」

労働組合は、社会的な役割は終えたということだろうか?

「そうではありません。労働組合に加入することは、法律的には大きなメリットがあります。

例えば、労働組合が労働条件に関する交渉を求めた場合、会社はこれを拒否することはできません。 拒否した場合は、不当労働行為と言って違法になります」

働いている企業に組合がない場合はどうしたらいいだろう。

「自分たちで組合を結成することも可能です。

結成までは難しいという場合は、一人でも加入できる労働組合も多数あります。まずは、そこに加入して、後で労働組合を立ち上げることもできます」

自分の勤める企業と対立することになるのだろうか。

「企業から目を付けられると感じる人もいるかもしれませんね。しかし、もし会社が労働組合に所属した従業員を差別すれば、不当労働行為といって違法になります。

むしろ労働組合を作って、自分たちの労働条件について会社と交渉できてこそ、正常な労使関係と言えます。

労働組合は、労働者同士が仕事上の悩みを共有する場にもなります。また、労働条件を変更しようという場合、労働組合を窓口として交渉をすれば社員に話が通りやすいという点で、会社側にもメリットがあります」

労働組合というと古い時代のイメージがあるが…。

「現在でも労働組合の必要性は変わりないでしょう。むしろ、重要性は高まっているのではないでしょうか。会社が労働条件を改悪しようとしてくる場合には、あきらめずに労働組合に加入しての交渉をお勧めします」

白川弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

白川 秀之
白川 秀之(しらかわ ひでゆき)弁護士 弁護士法人名古屋北法律事務所
2004年弁護士登録。一般民事事件を幅広く行っておりますが、労働事件を専門的に取り組んでおります。日本労働弁護団常任幹事、東海労働弁護団事務局長、愛知県弁護士会刑事弁護委員会

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