「もうすぐ子どもが生まれるのですが、未だに婚姻届も出していません。相手は、籍も入れないし子どもの認知もしないと言っています」
弁護士ドットコムの法律相談コーナーに、ある女性からこんな投稿が寄せられていた。女性が言うには、相手の男性は当初、子どもを産むことに賛成していたそうだ。ところが今は、「籍を入れるのは俺のお金が目当てなんだろう」などと言って、入籍や産まれてくる子どもの認知を拒んでいるという。
女性は「今後、子供の認知は必ずさせたいのですが、強制認知とはどうしたら良いのですか?」と質問している。この「強制認知」とは、どんな制度なのだろうか。田中真由美弁護士に聞いた。
●「任意認知」と「強制認知」
「婚姻関係にない男女の間に生まれた子は、『嫡出でない子』または『非嫡出子』と言います」
このように田中弁護士は説明する。
「この非嫡出子は、父親と血縁上の親子関係はありますが、『法的な親子関係』はありません。法的な親子関係を発生させるには、『認知』が必要です」
では、「認知」をするには、どうすればいいのだろうか。
「認知をする方法は2つあります。1つは、父親が認知届を出すことによって行う任意認知。もう1つは、任意認知がない場合に、子から父に対して行う強制認知です」
もし父親が認知しなくても、強制認知であれば、父親の意思にかかわらず、子どもによって認知の手続きができるという。
●強制認知の決め手「DNA鑑定」
強制認知をするには、具体的にどうすればいいのだろうか。
「強制認知は、子のほか、その直系卑属(孫、ひ孫)又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができます。ただし、父親の死後3年が経つと提起できなくなるので、注意が必要です
手続きとしてはまず、家庭裁判所に対して、認知を求める調停を申し立てます。調停の段階でDNA鑑定を行う場合もあります。親子関係があることについて、父と子の間で合意が成立した場合は、その合意が正当かどうかの審判が行われ、認められれば認知が成立します。
もしも父親が合意せず調停が成立しなかった場合は、裁判により親子関係が判断されます」
裁判で親子関係が確定するとは、具体的にどういうことだろうか。
「調停不成立となったら、家庭裁判所に対して裁判を求め、同時に『DNA鑑定』を申し立てるのが一般的です。DNA鑑定の結果、生物学的な父子関係が認められれば、裁判によって認知が認められます。
しかし、父親がDNA鑑定に応じない場合、強制的に血液等を提出させることはできません。その場合、本人尋問等の証拠調べ手続きによって得られた証拠をもとに裁判所が判断します。父子関係がないことを証明したいのならば、鑑定に協力すべきだといえます。裁判所の勧告に協力しない場合、協力しないという対応も含めて裁判所が判断を行います」
田中弁護士はこのように説明していた。
【訂正】解説を一部、修正しました(2018年2月26日)