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未婚の母、13年前に去った「父親」をフェイスブックで発見 「認知して」といえる?
13年前に逃げた夫をフェイスブックで見つけたそうだ

未婚の母、13年前に去った「父親」をフェイスブックで発見 「認知して」といえる?

未婚で出産し、一人で子育てしてきたシングルマザーが、音信不通だった「父親」をフェイスブックで発見した。子どもを認知させられないか――。そんな相談が弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」コーナーに寄せられた。

この女性は13年前に男の子を生んだが、相手の男性は「逃げるかのように別れを切り出して」去っていったのだという。しかし最近になって、フェイスブックで男性を見つけた。その投稿をみると、「絵に描いたような幸せそうな人生」を歩んでいた・・・。

投稿者によると、当時の男性経験はその相手のみだという。子どもの戸籍を「空白のままにしたくない」ということで、その「父親」に認知をさせたいと望んでいる。

ただ、女性が出産したのは10年以上前のことだ。こうしたケースでも、「父親に認知してもらいたい」という要望は、認められるのだろうか。家族の法律問題にくわしい長森亨弁護士に聞いた。

●認知は「法律上の父子関係」を発生させる

「まず、認知という手続きについて、説明します。

結婚している男女の間に生まれた子どもだと、自動的に、法律上の父子関係が発生します。しかし、結婚していない男女の間に生まれた子、つまり『非嫡出子』の場合、そうはなりません。

そういった際に、法律上の父子関係を発生させるための手続きが『認知』です」

認知は、子どもが生まれてから13年後でも、可能なのだろうか。

「結論から言えば、子どもの誕生から13年が経っていたとしても、父親に認知をしてもらうことは可能です。ただし、そのためには、いくつか条件があります」

●認知の方法は2種類ある

認知してもらうための条件とは、どんなものだろうか?

「認知の方法は、2種類あります。

ひとつ目が、父親が自ら届け出る『任意認知』です。

任意認知には、届出期間の制限がありません。成人した子を認知する場合に、その子自身の承諾が必要という制限があるくらいです」

父親が自主的に認知してくれない場合は?

「そういった際、父親に認知を強制させる手続が『強制認知』です。強制認知は、子や一定の親族が、父親に対して訴えを提起して行います。

こちらも、特に時間制限はありません。最高裁は1962年4月10日に、『認知請求権はその性質上長年月行使しないからといって行使できなくなるものではない』と判示しています。

ただし、父親が死亡した場合には話が別です。強制認知の訴えは死亡の日から3年以内に起こさなければならないという、出訴期間の制限があります」

父親が生きている限り、認知してもらえるチャンスはあるわけだ。血縁上の父親としての責任は、年月が経ったとしても消えないということだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

長森 亨
長森 亨(ながもり とおる)弁護士 馬場・澤田法律事務所
企業法務、一般民事事件のほか、離婚、相続、成年後見など家事事件にも取り組む。日弁連民事裁判手続に関する委員会、同家事法制委員会委員。主な著作に「ストーカー・DVの問題Q&A」「離婚と子どもの問題Q&A」(中央経済・共著)。

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