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日本の性風俗で働く「外国人セックスワーカー」 その「見えにくい」現状と課題とは?
神戸大学の青山薫教授は、外国人セックスワーカーの現状と課題を語った。

日本の性風俗で働く「外国人セックスワーカー」 その「見えにくい」現状と課題とは?

日本の性風俗業界では、日本人だけでなく中国人や韓国人をはじめとする多くの外国人女性が働いている。しかし、彼女たちの実態は公の場で語られることが少なく、それゆえに、その実際の姿が見えにくくなっている。そんな「外国人セックスワーカー」のリアルを知るためのシンポジウム「セックスワーク・サミット2014@大阪」が11月下旬、大阪・十三で開かれた。

一般社団法人ホワイトハンズが主催したイベントで、セックスワーカーを支援する団体「SWASH」と大学の研究者が、現状と課題を語った。ここでは神戸大学の青山薫教授の講演について紹介する。

●「母国で自分を認めてもらう手段」

「外国人セックスワーカーたちがはるばる日本にやってくる背景のひとつは、グローバル化が進み、情報・モノ・金・人の移動の『自由化』が急速に進んだことです。

開発途上国の農村部で貧富の差が広がるなかで、女性が積極的に海外に出稼ぎにいったり、移住してお金を稼ぐことが、当たり前になってきたのです。外国人セックスワーカーのなかには男性やトランスジェンダーの人もいますが、その多くは女性です」

神戸大学の青山薫教授は、このように説明する。性風俗業界で働く外国人女性が、出稼ぎ先として日本を選ぶ理由は何だろうか。

「特定の在留資格を持つ人を除いて、外国人が日本でセックスワークに従事することは、裏風俗でなくても、違法な行為です。しかし日本では、母国で働くよりも短時間でたくさん稼げますし、顔バレもしにくいです。

外国人セックスワーカーの中には、そうして稼いだお金を母国に仕送りして家族を養ったり、家を買ってあげたりする人もいる。それが、『母国で自分を認めてもらう手段』にもなっています」

●「セックスワークの非犯罪化を」

日本という異国の地で働く外国人セックスワーカーのなかには、暴力や恐喝などの犯罪被害にあっている人も少なくないという。

いま日本の性風俗業界では「デリヘル化」が進んでいて、セックスワーカーが客の自宅やホテルなどを訪問するケースが増えている。店舗型の風俗に比べ、第三者から見えにくい構造といえるが、青山教授は「見えなくなると危ない」と話す。

「普通の職場で性差別やセクハラ、マタハラをなくそうというのと同じように、性産業においても、セックスワーカー自身が『嫌なことを無理矢理やらされない』と主張できる社会にするべきです。

そのためには、彼女たちが行っている『性労働』を法律的にも社会的にも正当な労働として認める、つまり、人種や国籍に関わらず、セックスワークの『非犯罪化』を段階的に進めることが求められるでしょう」

セックスワークの「非犯罪化」とは、青山教授によると、性風俗についても他の労働と同じく労働基準法などで管理すべきという主張だ。

現在、セックスワーカーには風営法や売春防止法が適用されるが、彼女たちの権利を守ることを目的として作られているわけではない。だが、セックスワーカーに対する搾取や健康被害が横行するのを防ぐためには、他の業界の労働者と同じような扱いをすべきということだ。

「現場の人を中心に、セックスワーカーの働く環境をどう変えていくのか、考えることが求められています」

このように青山教授は語っていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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