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リクルート上場で注目される「ストックオプション」 そのメリットとデメリットは?
ストックオプションは、企業にどのような利益をもたらすのだろうか

リクルート上場で注目される「ストックオプション」 そのメリットとデメリットは?

今年最大の上場案件になるといわれているリクルートホールディングス(HD)の株式公開。10月16日に予定されており、時価総額は1兆6000億円にも達すると報じられている。

株式公開する企業で働く従業員が気になるのは「ストックオプション」(新株予約権)だろう。一定期間内に決められた価格で、自社の株式を購入できる権利のことだ。「ストックオプション」を付与された場合、上場で株価が大幅に上がれば、多額の利益を得られる可能性がある。

ただ、株価は長期的には下がってしまう可能性もある。ストックオプションには、どんなメリットやデメリットがあるのだろうか。注意すべきポイントについて、野口五丈税理士に聞いた。

●40%の税率が15%まで下がるケースも

「1997年に商法が改正されて以降、ストックオプションを導入する企業が増えています」

野口税理士はこう切り出した。どんなメリットがあるのだろうか。

「まず、所得が多い人にとっては『節税効果』が挙げられます。従業員が報酬をストックオプションで受け取るケースと現金で受け取るケースを考えてみましょう。

現金で報酬を受け取った場合の所得税率は最大で40%となりますが、一定の要件を満たせば税制優遇が受けられる『税制適格ストックオプション』の場合、ストックオプションを行使して取得した株式の売却益に適用される所得税率は15%となります」

それはなぜだろうか。

「現金で報酬を受け取った場合は『給与所得』として、他の所得と合算され、総合課税されますが、株式の売却益は『譲渡所得』として他の所得とは別に、分離課税されます。分離課税は総合課税に比べて、税率が低く抑えられています。課税の仕組みが異なっているのです」

ほかには、どのようなメリットがあるのか。

「『インセンティブ』があるでしょう。従業員が頑張って企業の業績が上がれば、株価が上昇するケースが多くなります。株価が上昇すれば報酬も増えるので、金銭面で従業員の努力が報われやすくなります」

では、デメリットはないのだろうか。

「『株価変動リスク』が考えられます。株価は企業の業績以外の要因で変動することもあります。たとえば、リーマンショックのように世界的に株価が下落するケースもありますし、地震などの天災や政治的な要因で株価が下落するケースもあります。

このような場合、従業員が頑張ったとしても会社の株価は下落することとなり、この点でデメリットがあると言えます」

メリットとデメリットを理解したうえで、うまく活用したいところだ。

【取材協力税理士】

野口 五丈(のぐちいつたけ)税理士

スタートアップ・ベンチャー企業の支援に特化した会計事務所。会社と共に成長することをモットーとし、節税だけでなく、ベンチャーキャピタルからの資金調達や補助金申請支援(創業補助金、ものづくり補助金)を強みとする。支援実績多数。

事務所名   :野口五丈公認会計士事務所

事務所URL:http://itsutake.com/

(税理士ドットコムトピックス)

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